心遣い
ホームルームが終わり大輝と合流した亮は、彼と肩を並べて校門を出た。
「三沢が顧問に話を通してくれるから、明日から部活に顔出してもいいってよ」
「入部届けもいらないって大分適当だな…。それにしても、大輝が文研部に入って何をするつもりなんだよ」
「一つはお前の後方支援。もう一つは、純粋に俺もサブカルチャーには興味がある」
小さい頃から亮の部屋に出入りしていた大輝は、オタク文化に対して偏見を持たない。たまに亮の部屋から面白そうなものを適当に持って帰っているぐらいだ。
「クラスの友達は本当によかったのかよ」
単独行動が基本である亮はともかく、常に取り巻きがいる大輝が文化研究部に入るというのは果たしてどうなのだろうか。
「俺は亮がうまくやってるかどうかたまに見に来るぐらいにしとくよ。頭数が欲しい時はいつでも連絡してくれ」
なんというか、ここまでくると呆れを通り越して感心してくる。やはりリア充というのは、周りと折り合いをつける術が自分とは圧倒的に違うのだろう。三人で行動するだけでもストレスを感じてしまう亮には、真似できそうもない。
「まぁ、せっかくお前に向いた部活に入れることになったんだ。楽しんでこいよ」
「あぁ」
大輝以上に亮の為を思ってくれている友人はいない。実際に口にはしないが、彼には心の底から感謝していた。
この気持ちが相手にも伝わっていればいいな、と亮は思った。




