第9話 鍛治とユニークスキル
俺は今日、フォル爺に工房の方へ呼び出されていた。
俺のここ二週間の生活はというと、
昼間は草原に行って素材集め、夜はフォル爺とロマン武器に関しての討論会、そして夜遅くに寝て、昼頃に起きるの繰り返しだ。
うん、困っちゃうくらい充実してる…
そんな感じの生活をおくっている俺を朝早くからフォル爺は呼び出したのだ。
少しウキウキしながら工房へ向かうと、昨日打ったばかりの日本刀とフォル爺がにらめっこしていた。
「フォル爺、きたよ〜」
俺はそんな感じの軽い調子で声をかける。
「おう、来たかボウズ。おめぇのおかげでワシは新たな段階に進めそうだよ…あらためて礼を言う」
そう言ってフォル爺は頭を下げた。
「おい、やめろってフォル爺。もうそんな中でもないだろ?」
「うむ.しかしなボウズ、ワシはお前のおかげでこの刀を打てるようになったんじゃ。どうしてもお礼がしたいんじゃよ」
「お礼なんていいよ、俺も好きでやってたわけだしさ。それにあんなに語り合えたのは始めてだしさ、めっちゃ嬉しかったんだ」
「ふっ、本当にボウズはいいやつだな」
そう言ってフォル爺は笑った。
「ワシはこの二週間の間ボウズと過ごしてきてな、ボウズならと思ったんじゃよ」
フォル爺は突然真剣な顔をしてそんな事を言ってきた。
俺がよくわからずにフォル爺を見ていると…
「ボウズ、おめぇはワシが何かを打っている時も武器について話している時も、とても楽しそうな瞳をしていた。だからこそワシはお前にこれを貰って欲しいんじゃ」
そう言うと両手首につけていた腕輪を片方外し俺に渡してきた。
「それをつけてみぃ」
「えっ、でもこれはフォル爺の大切なものなんじゃ?」
俺はフォル爺がいつもこれをつけていた事を知っていた。
そして大切にしている事も…
俺のそんな考えを知ってか知らずか、フォル爺はまだ腕輪のついている方の腕を俺に見せて笑顔で言った。
「ワシには一つしか必要ないからの。ワシは、それをボウズにつけて欲しいんじゃよ」
「えっ…でもよ…」
俺がまだ悩んでいると、
「いいからつけてみろボウズ…見える世界が変わるぞ」
俺はフォル爺の見える世界が変わると言う言葉に惹かれるように、腕輪を左手首につけた…
すると腕輪が輝き、輝きがおさまった時にはもう俺の腕にしっかりとはまっていた。
【鍛治精霊神の腕輪:この世界に一対だけ存在すると言われている神器の片割れ
STRに補正がかかる※プレイヤーレベル依存、全ての武器が使用可能になる、全ての生産に関わる行動ができるようになる、武器や生産に関わる道具、素材を自由に出し入れできる、意識を集中させると全てのステータスが見る事ができる】
ーーはい?
目の前にそんな情報が出てきて俺は唖然とした…
「フォ、フォル爺…本当にこんなの貰ってもいいのかよ…」
「もちろんだとも。どうじゃ、気に入ったか?」
「あぁ…やべえよよこれ。見える世界が変わる?そんなレベルじゃねえじゃん」
そう、これは見える世界が変わるとかそんなレベルじゃなかった。
特に目に映るもの全ての耐久値や防御率、攻撃力やその他諸々のステータスが手に取るようにわかるのだ。
「どうやら気に入ったようじゃう。早速じゃが鍛治でもしてみるかの?」
「おうっ‼」
俺は元気良く頷いた。
俺は早速工房にある炉の前に座っていた。
俺が最初に打つのは日本刀という事で決定している。
この世界の生産では自分の作りたい物を自由に作る事ができる。
腕輪から取り出した槌で素材を叩いて形を整えていく。
ここで俺のユニークスキルの恐ろしさが発揮されていた。
ーーここで俺のユニークスキルについて少し喋っておこう。
俺のユニークスキルは簡単に言うと“バカみたいに運がよくなる”だ。
あんまり凄そうではない?
おバカさん共め。
つまりだな、戦闘においては相手の部位破壊なんかも確率と攻撃のあたり具合によって変わるわけですよ。
例えば、綺麗に腕を切ったとしても腕が破壊されない事なんてざらなわけですよ。
しかしっ‼ 俺のユニークスキルの前では腕を切った…破壊成功。
ってなるんですわ。
まぁ、話を戻しますとね。
鍛治なんかの生産も運とテクニックが必要になってくる、俺がするとあら不思議、たちまち成功。
ってなるんですわ…
自分で自分が怖いです。
おい運営なにしてんだよ。
こんなのチートじゃんか‼
というわけで俺の初ゲーム内での生産は順調に進んでいっている。
後ろでフォル爺が震えているが気づかないふり…
そうしてしばらくすると俺の初作品が出来上がった。
【日本刀:品質10 、練習用素材で作成したため攻撃力はない】
後ろから何やら
「ひ、品質10じゃと…」
とか泣きそうな声が聞こえたが無視です無視。
ちなみに品質はその武器のでき具合のような物で1〜10までの評価がある。
つまり品質10は最高品というわけだ。
「できたよ、フォル爺」
「おいっ‼ ボウズ、お前は天才か⁉」
軽く声をかけると凄い剣幕でフォル爺がせまってきた。
「あそこまでの腕があるなら細かな工程もできるしのう…もしかしたらあの工程も可能かもしれん…」
とつぶやいたのが俺に聞こえたのがいけなかった。
「フォル爺っ‼ 俺、魔改造したいぜ」
俺はとっさにそう言い放った。
「ワシに任せておけっ‼ 」
フォル爺はとてもいい顔でそう言った。
そうして第一回ちきちき魔改造大会が始まるのであった。
魔改造は男の夢の一つですよね。




