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私って、超鈍感だったんだ……。
自室のベッドにダイブした私は、そのまま足をバタつかせる。そうでもしないと平静でいられなかった。部室で皆といた時はどうにか取り繕っていたけど、一人になった途端、自分の愚かさに落ち込んだ。
……気付いてしまったんだ。
私、恋したこと無いなんて言っちゃってたけど……まさかアルジェント様に恋をしていたなんて!
メーラさんにフラれて、私で妥協するアルジェント様を想像したら、荒れ狂うような感情が私を襲った。アルジェント様にとって私は二番目なのだと改めて意識したら、だんだん悲しくなってきて……。
ぽろりと瞳から涙がこぼれた。
……馬鹿だなぁ、私。今頃になって気付くなんて。
アルジェント様がメーラさんにフラれたら、私は何事も無かったようにアルジェント様と結婚できる。自分を第一に考えるなら、アルジェント様とメーラさんの応援なんてしなければいい。だけど……それでアルジェント様と結婚できても、私は生涯彼に罪悪感を持つことになるだろう。そんな生き方、私は嫌だ!
ゴシゴシと乱暴に目元をぬぐった。めそめそ泣くのは私のガラじゃないわ!
アルジェント様とメーラさんの仲はしっかりと取り持つ! 二人が上手くいったら、私はきちんと笑顔で祝福しよう。もしアルジェント様がフラれてしまったら……その時に私の気持ちを正直に打ち明ければいい。
どちらにせよ、私とアルジェント様はもう、今までと同じ関係ではいられない。
私は、変わらなければいけないんだ。
「リモーネ。今日は少し目が赤いようだが……何かあったのか?」
「んぐふっ!」
パンが喉に詰まった! ゲホゲホ咳き込む私に、アルジェント様が水をくれる。
危うく今日のランチセットのローストビーフサンドを落としてしまうところだった。
「え、っと、実は久しぶりに推理小説を読んでて……ちょっと夜更かししちゃって……」
「へぇ、そんなに夢中になる作品なのか? 私も読んでみたいな」
やめて! 深く追求しないで! アルジェント様への恋心に気付いたせいで泣いてしまったなんて言えるはずがない。
ただでさえ、今までの距離感が分からなくなってきて、いつも通りふるまうのも大変なのに!
私は読んでもいない本のタイトルを聞かれる前に話題を変えた。
「アルジェント様……相談なのですが、そろそろ一緒にランチをとるの、やめません?」
「えっ!?」
私の言葉に、アルジェント様がぽかんと口を開ける。そんな信じられない! みたいな顔をされると、私が非常識なこと言ってるみたいなので勘弁してほしい。
「……リモーネは私と食事をするのが嫌なのか?」
うわわわわ! すっごい傷ついた顔させちゃった!
「違います! そうじゃなくて、こうして私と毎日ランチしてたら、結局私たちが婚約者同士だと勘違いされてしまいます。これからメーラさんにアプローチするのに、誤解されては困るでしょう?」
「え? メーラ嬢にアプローチ……? 私が?」
他に誰がいるんだよ! と怒鳴りたくなったけど、我慢我慢。私はにっこりと微笑んだ。
「そうですよ。私だったら、告白してきた男性が毎日幼馴染の女性と昼休みを共にしていたら、お断りしますもの。明日からランチは別々にとりましょう。では、私はこれで」
「ちょっ! ちょっと待ってくれ! リモーネっ!」
アルジェント様が呼び止めてきたけど、とっとと逃げる。
一緒の時間が減るのは寂しいけど、これも彼のため。
午後の授業で彼がこちらをチラチラ見てきたけど、心を鬼にして無視をした。




