楽に婚約を破棄しようとしたがやばい事になった【後編】
どうしよう。
解決方法はない訳では無いが...。
でも、このやり方はむなぐそ悪いからできればやりたくたい。
でも、菊池朱音はちょっとやそっとじゃあ諦めない性格だ。
良し...悪いけどストレートに言ってみるか。
「菊池朱音さn「朱音!」......菊池さ「朱音!」......あか...ね...さん。」
どうやら下の名前で呼ばれたいお年頃のようだ。
朱音はニッコリ笑顔で此方を見ている。
でもね......目が笑ってないの...怖いです、助けてくださいお父様。
そう思い俺はお父様の方をチラッと見た。
だが、お父様は此方を見て目を逸らした。
(ちょっ、お父様!何故目を逸らしたのですか!
息子が今、色んな意味で怖がってるんですよ!)
そう、心の中でお父様に問いかける。
勿論、返事は帰ってこない。
だが、お父様は口パクで何かを言っている...なになに...じ、ぶ、ん、で、な、ん、と、か、し、ろ、...あっはい。
お父様なんて嫌いだ!嘘です。
「朱音さん正直に申し上げますと僕にはもう、好きな人が居ます。
なので今回の婚約の件はなかったことに...。」
良し!ストレートに言ったぞ!
どうだ!これで諦めてくれ!お願いだ。
「あら、そうですの?
でしたら、私は第二の妻でよろしいですわ。」
...お、おう。
俺、朱音に好かれ過ぎだろ。
でも、諦めない!
「申し訳ございません。
僕は、第二婦人や第三婦人とかには...妻は一人が良いので。」
これは、本当に俺の願っていることだ。
何故なら、妻が二人...即ち鬼嫁が二人、と言うことだから。
妻って怖いよね。
「あら、それはちょっと問題ですわね。
公爵家の人な必ず二人以上と結婚しないといけないのですよ?
もしかして、ご存知なくて?」
え?
「え?」
思わず心の声と口に出した声が一緒に出てしまった。
ちょっと、お父様どういう事!聞いてないよ、そんな事!
そう思いお父様の方を見た、お父様の顔は"あっ、そんなルール確かあったなー"と言う顔をしていた。
えっと...どうしよう。
こうなったら片っ端から俺の事を悪く言おう。
「そうなんですね。知らなかったです。
でも、生憎自分は働く気がありません。
なので、僕の妻になるのにそれ相応の覚悟がいるかと思われます。」
どうだ!働かない夫なんて嫌だろ。
さぁ、今回の婚約は無かったことにと言う言葉を聞かせておくれ!
「構いません。流輝様は公爵家の三男なのですから毎年大量の白金貨が貰えます。
なので、働かなくても暮らしていけます。」
ほぇ~、そうなのか~。
「で、でも、自分は部屋に閉じこもって、ずっと、本を読んだり寝てたりするから、構ってあげられないんだよなー。」
「構いません。部屋に籠るなら毎日、朝昼晩料理を持っていきます。
そして、私は流輝様に言うのです。
(大丈夫ですよ。
私は貴方のそういう所も全部好きなので、
でも、また声を聞かせて欲しいな。
いつでも、待ってるからね、あ、な、た。)
と!」
あれ?段々朱音の息が荒くなってきたぞ?
おかしいな...ゲームでの朱音はもっとお淑やかだったんだけど。
それに、こいつも今三歳だよな?
思考能力半端なくね?
「えと、えっと......。」
やばい...言う事が無い。
ヤバいよ、どうしよう。
やはり...最後の手を使うしか!
でも...でも......。
「朱音さん...ちょっと、中庭に散歩に行こ?」
覚悟を決めた。
朱音にどれだけ嫌われようと構わない。
彼女には幸せになって欲しいから。
おっと...中庭に着いたか。
「どうしましたの?流輝様...急に中庭に行こうだなんて。
まさか!告白ですの!困りますは~。グヘヘ...」
まさか、そんなロマンチックなことじゃない。
最低なことをするんだ。
人として有り得ないことを、良し...スカートは履いてるな......。
「それじゃあ、俺がここに連れて来た理由を話そう。
そう...こんな人の通らないところに連れてきた理由をね。」
あーー、嫌だー。
やりたくないなーー。
そう思いながら流輝は朱音に一歩また一歩と近づいていく。
「ど、どうしましたの?流輝様...そんなに近づいてきて、まさか、そんな、まだ早いです。
それは、大人になってから。」
そう言いつつも抵抗しない朱音。
「朱音...俺、もう我慢できない。」
そう言い俺は朱音を押し倒した。
この年齢のお陰で性欲がないから間違いが起きない。
それを、利用する!
「ちょっと...まさか......ここでヤルんですの?
そう言うのはもっと時間と場所を弁えてから。」
こいつ本当に三歳か?
エロ知識をめっちゃ知ってんじゃん。
「嗚呼...俺は我慢できない。
朱音...ヤルぞ?」
ここだ!ここで俺を拒絶してくれ!
お願いだ!!
最低なことをやってるのは分かってる。
でも...でも......。
「はい...どうぞ......。」
あれ?
え?
んっ?
おっかしいなー、空耳が聞こえた気がする。
「本当にいいんだな?後悔はないんだな?」
「はい。
やって下さい、私も我慢できません。
早く...。」
そう、朱音が言うと押し倒していた俺を逆に押し倒して来た。
「な、何をしているんですか?朱音さん。」
「何って?ナニ?」
アウトーーーー。
ヤバい、俺の心の中のブザーがなっている。
犯される...と......。
「す、すみません。
冗談が過ぎました、僕は先に客間室に戻ってますので失礼します。」
そう言い、俺は全力で走った。
後ろを振り返らずに走った。
十秒位走っていたらいつの間にか館に着いていた。
入ろう。そして...気分が悪いから部屋に戻るとお父様に言おう。
そんな事を考えながら扉を開けた。
「あら、流輝様奇遇ですね。
私達もうすぐ帰るところでして挨拶に行こうと思っていたので丁度良かったです。」
扉の向こうにはさっき別れたばかりの朱音が居た...。
え?別れた時は俺の後ろに居たよね?え?え?
「は、はい...すみません。
気分が悪く外の空気を吸っていました。」
怖い...菊池朱音......怖い。
最終手段を使ったのに意味なかったし。
「ふむ、お前達二人は中庭に行ったのではなかったのか?」
「そうだな、行って戻って来るまでが早すぎる。」
「いえ、ちゃんと中庭に流輝様と散歩を楽しみましたわ。
恥ずかしくて私が逃げてしまいましたの。
ね?流輝様?」
「う、うん...そうなんだ。」
放心状態になってたから全く話を聞いていなかった。
適当に返事をしとけばいっか。
「なるほど、おっと...そろそろ時間ですよ菊池伯爵。」
「そうですな、ではまた会いましょう。
失礼します。」
「では、流輝様"また"いつか会いましょう。」
ゾワッ...背筋にそんな感覚が残った。
「は、はい...またいつか。」
「今度はちゃんと最後までしましょうね?」
「ヒッ...。」
目に...目に.....光が........... ない。




