楽に婚約を破棄しようとしたがやばい事になった【前編】
菊池朱音...プリンツハートのメインヒロインの中でもトップクラスに人気のある奴だな。
でも、菊池って貴族の生まれだったっけ?
ゲーム時代では、平民生まれって聞いたけど...まさか、身分を隠してた?
んー、それしかないか...。
でも、何故身分を隠すような事を?
...こればかりは考えても分からんな。
そんな事を考えていると扉の向こうからノックのする音が聞こえてきた。
「どうぞ...。」
そう言うとメイドが入ってきた。
何か用かな?
そう、僕が質問すると
「はい、実は伯爵様と婚約者様がおいでなさってます。
ですから、御館様から至急客間まで来るようにと...。」
マジかよ......昨日だぞ?俺が伯爵家の娘と結婚はしたくないとお父様に伝えたのは。
まぁ、回りくどい言い方で...。
「う、うん...今から向かうよ、案内して。」
「はい、では着いてきてください。」
怖いなー、どんなこと言われるんだろう...仮にもあっちは伯爵家...上級貴族だ。
仲が悪くなったらこちらに不利益なことがあるかもしれない。
なるべく穏便に済ませなくちゃ...。
「着きました。」
そう、メイドが言って扉をノックする。
「入れ。」
と、お父様が言った。
正直、怖いな...。
何かありそうで怖い。
「し、失礼します。
僕の事をお呼びなさったと聞いて来ました。
その前に、初めまして伯爵家様、私は桐樹家三男の桐樹流輝と言います、以後お見知り置きを。」
前の小説では、こんな事を言っていたら大丈夫だったような気がする......多分。
「おお、ご丁寧にどうも、私は菊池家領主の菊池蒼弥と申します。
で、私の娘の...。」
「菊池朱音と申します。
流輝様よろしくお願いします。」
そう、丁寧に挨拶をしてくる、赤髪、赤目、色白美肌の美少女だった。
...いや、これは美幼女だな。
まぁ、こっちは既に朱音の事は朱音以上に知ってるから自己紹介とかは要らないかな。
そう、心でいった。
怖くて口には出せませんよ。
「おお、これは...美しい人ですね。」
取り敢えず、褒めとけばいいか。
「流輝、お前には少し話す事があるのだ。
菊池伯爵、少し息子と話がしたい。
席を外しても?」
「はい、席を外してくれて大丈夫です。」
「うむ、行くぞ流輝。」
「分かりました、お父様。」
そう言い部屋から退出してお父様と隣の部屋まで行くとようやくお父様が口を開いた。
「ふぅ...では、まず流輝...すまない。
婚約の事は結構手間取っている。
さっきの伯爵が第二婦人でもいいから貰ってくれと五月蝿くてな...。
流輝...第二婦人......どうだ?」
お父様が信じられない事を口にする。
まぁ、答えは決まっているがな。
「すみませんお父様...僕はハーレムなぞには興味がないので重婚は嫌です。
でも、結婚しないとヤバい事になると言うなら考えなくもないですが。」
嫌だと言うことは伝えた。
でも、俺が断った事でお父様が死刑になる事がある場合は俺もこの結婚を受け入れる。
「別にヤバくは無いが...伯爵家の娘さんが結婚したいしたいと五月蝿いらしいのだ。
なんでも、お前の写真を見て一目惚れしたのだとか。
全く...色男め。」
そんな事言われてもな......。
まぁ、好意を持ってくれているのは嬉しいけどさ...でも、生憎こちらは先輩にしか興味が無い。
「すみません。
お父様ご迷惑をお掛けして。」
「大丈夫だ、心配するな。
この件は俺に任せておけ。
なんの心配もするな。」
「お父様...。」
格好良い...惚れそう。
あっ、俺はそっち系じゃないので。
「お父様!僕も手伝います。
この件は僕が起こしたのですから。」
「嗚呼、一緒に頑張ろうではないか...流輝よ。」
「はい!」
こうして、俺とお父様の婚約を穏便に破棄しよう作戦が決行された。




