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東方旧乱記  作者: オツリッサ
9/11

襲いかかる狂気(前編)

-紅魔館


幻月はふーっと息をついた。


幻月「気味の悪いやつだったわね。思わず何発か当たっちゃったわよ。」


それを聞いた夢月はふんっと鼻で笑った。


夢月「くだらない遊びなんかしてるからよ。それよりも折角だからここに一泊しない?幽香探しは明日にしてさ。」


幻月は真っ赤に染まった館を見て頷いた。


幻月「いいねえ!焦っても幽香は逃げないだろうし、ちょっと休んでいくかー!」


二人が館に向かって歩き出した時、館の扉が向こう側から開いた。二人は足を止め様子を伺った。すると中から静かな声が響いてきた。


???「あら?ここを誰の館と思ってるのかしら?好き勝手言うのは主を倒してからにしなさい。」


紅魔館の主、レミリア・スカーレットだ。


幻月「そういえば、さっきのメイドがお嬢様がどうのって言ってたわね。」


レミリアは倒れている咲夜をちらりと見ると、笑みを浮かべた。


レミリア「咲夜とあなたの戦いの一部始終は窓から見させてもらったわ。正直、咲夜があそこまでこけにれたのを見るのは初めてだったわ。変なハンデまでつけられてね!」


幻月は少し驚いた顔を見せた。


幻月「へぇ~…あの距離から片目を閉じてるのがわかったんだ!いい視力してるね!」


レミリア「吸血鬼の身体能力は並みではないわ。それにしても弾幕ごっこで片目を閉じるなんて結構な暇潰しになったんじゃない?」


幻月「結構難しいのよ。あれがおかしくなって。あのー…えっと…なんだっけ?えん…えんなんちゃら…」


夢月「遠近感。」


夢月は幻月に助け船を出しながら疑問に思うところがあった。『弾幕ごっこ』という言葉。ここらの妖怪は戦いを遊びとでも思っているのだろうか?


幻月「そう!それ!遠近感。」


幻月は嬉しそうに笑い、レミリアに目を向けた。


幻月「あなたも片目で倒してあげようかな?」


レミリアはにやりと笑い、手を空に向けて開いた。と、その時突然どこからともなく紅い霧がやってきて空を覆いつくした。


レミリア「ごめんなさいね。私、吸血鬼だから太陽に弱いの。」


レミリアは空を見、倒れている咲夜を見、幻月に向き直って吐き捨てた。


レミリア「あなたは本気で殺す。」


次の瞬間、レミリアは幻月に飛びかかった。幻月に向けて爪を降り下ろす。が、幻月は素早い動きでかわし、至近距離から弾を発射した。レミリアは10m程吹き飛んだ。


レミリア「うー…」


レミリアは腹を抱えてうずくまった。


夢月「弱っ…これは期待外れね。」


幻月「まあ、たしかにさっきのメイドよりはキレがあったみたいだけど…どっちも同じようなもんね。」


二人はやれやれといった足取りで館に向かった。その時、レミリアがあえぎながら叫んだ。


レミリア「待ちな…さいよ!そこを…誰の…館と思ってるの?」


二人は歩みを止め、レミリアを見た。


夢月「じゃあ私は先に休んでるから、後はよろしくね姉さん。」


幻月「ふん!この借りはいつか返すのよ?夢月。」


そう言うと幻月はレミリアに向かって歩き出した。レミリアは立ち上がると幻月を睨み付けた。


レミリア「本番は…これからよ!」


レミリアは力を溜め叫んだ。


レミリア「紅符『スカーレットシュート』!!」


紅い大玉に続いて大量の中玉がばらまかれた。幻月はそれを淡々とかわしていく。今度は幻月が弾を一発レミリアに打ち込んだ。レミリアもそれをかわす。夢月はそれだけ見届けると紅魔館の中に入っていった。




夢月「まさか中まで紅一色とは…目がどうかしちゃいそうだわ。」


夢月は紅魔館の廊下を歩きながらつぶやいた。さて、どこか休むとこを見つけないとね。ぶらぶらするだけではさすがに幻月に悪いわ。

夢月が独り落ち着ける場所を探しているとき、突然廊下の奥から声がした。


???「待たせたな!似せメイドの発狂悪魔め!」


夢月「!?」


夢月は慌てて構えをとった。廊下の奥をじっと見つめる。すると七色の翼を持った吸血鬼がゆっくりと近づいてきた。フランドール・スカーレットだ。


フラン「どうしたの?遊んでくれるんじゃないの?」


夢月は激しく動揺していた。何故私が『発狂』持ちの悪魔だとわかった?しかもそれがわかっているなら何故あんなに余裕なんだ!


夢月「私は戦う気はない。」


それを聞いてニヤリと笑うフランの目を見て夢月は気づいた。


フラン「あははっ!逃がすわけないよ。久しぶりの遊び道具なんだから!」


そうか…こいつ。こいつも私や姉さんと同じ『発狂』の素質を持っているのか。だったら納得だ。同じ類のもの同士は直感でわかることがあるからな。

夢月はふふっと笑ってフランに言った。


夢月「私なんかに構ってるより、あなたの姉さんの援護に行ったほうがいいんじゃない?早く行かないとあなたの姉さん本気で殺されるわよ?」


フランは一瞬ショックを受けたような顔をして、慌てて外へ飛び出していった。


夢月「子供には少し冗談がきつかったかしら?」


夢月はフランが飛び去った方向を見つめると笑みを浮かべた。正直、あれくらいだったら片手で捻り潰せただろう。だが、夢月はフランの『発狂』の可能性を見て倒すのが惜しくなったのだ。


夢月「ふう…」


夢月はため息をつくと歩き始めた。あの吸血鬼…次会ったときには…

夢月はくすくすと笑い、つぶやいた。


夢月「面白くなるかもね!」











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