秘密の彼氏
突然、俳優の中でも大好きだった男の子が彼氏になるお話です。
是非、読んでみて下さい!!
それは、突然やってきた。
「転校生を紹介する。神崎蒼士君だ。仲良くするように」
担任の永山先生が、みんなに紹介する。
教室中、歓声が響いた。
そして、あたし、西本優愛も、その中の独りだ。
蒼士君は、今、人気俳優でCDも出していて歌も上手い。
あたしも、蒼士君のファーンで、出演している放送は、かかさず観ている。
「席は、西本の後ろの空いている席に座るように」
えっ、あたしの後ろ!?
蒼士君は、あたしの横を通り過ぎて、後ろの席に座った。
「そ、蒼士君。あたし、西本優愛。わからないことがあったら、何でも言ってね」
あたしは、後ろを振り向くと、ドキドキしながら声をかけた。
「よろしく」
蒼士君は、ボソッと一言、言うだけで、あたしとは目も合わせない。
テレビで観る蒼士君のイメージとは、全然、違って見えた。
でも、蒼士君も転校初日で緊張しているだろうし、そう見えても変じゃないかー。
休み時間になると、蒼士君を見ようと、他のクラスからもどっと集まってきた。
女子が話しかけても、やっぱり、蒼士君は無口のまま本を読んだりしている。
「蒼士君って、テレビで観るのと違うよね」
独りの女子が、友達と話しているのが、聞こえてきた。
「本当ー。何か無口だし、がっかりー」
次々と、言いたいほうだいだ。
「みんな、言いたい放題だね。神崎君も可哀想」
横にいた高野美緒が、呆れた顔で溜め息をつく。
「珍しいね。蒼士君のこと気になるなんて」
あたしが、蒼士君の話をすると、美緒は、蒼士君のことが、あまり好きじゃないみたいで、いつもそっけないのに、今回は違うみたいだ。
「あたし、今まで神崎君ってチャラチャラした人なんじゃないかと思って、好きじゃなかったけど、そうじゃないてわかって、興味わいてきちゃった」
「あはは、美緒らしい」
あたしは、思わず苦笑いをする。
美緒みたいな子だったらいいけど、そんな子ばかりじゃないみたいだから、蒼士君のイメージダウンにならないか心配だ。
「ねえねえ、蒼士君。良かったら、サインちょうだい!」
「あたしも!」
蒼士君の周りにいた子が、言い出すと、みんなが言い出した。
あたしだって、まだ貰ってないのに!
思わず貰いに行こうとしたけど、蒼士君は、表情を変えずに、
「そういうのやめてくれるかな?」
と、言うと、席を立って教室から出て行ってしまった。
「何よ、気取っちゃって、ケチッ!」
サインを貰えなかった女子が、口を尖らせた。
「ちょっと、やばいんじゃない?イメージダウンになりかねないかもよ」
美緒は、眉をひそめた。
確かに、それはありえる。
その夜。蒼士君が出演している今、急上昇のドラマ「ラブヒット」を観ていたら、やっぱり、テレビの中の蒼士君は違う世界の人に感じちゃう。
ドラマのエンディングも、蒼士君が歌っている。声は甘い声だから、ますますファーンの子も多いのに、学校ではファーンが減るなんてありえない。
でも、そんな心配はどこへやら、他のクラスでは、クールな感じがいい!とか、付き合ったら大切にしてくれそうとか、噂が広まって、人気が急上昇していた。
「西本。神崎、教室にいないけど知らないか?」
トイレに行った帰り、教室へ戻ろうと美緒とお喋りをしながら、廊下を歩いていたら、永山先生に呼び止められた。
「さあ?知りません」
「休み時間、いつもいないし、どこかで寝てるのかも知れませんよー」
あたしと美緒は、冗談半分で言った。
「じゃあー、西本。神崎にあったら、職員室にくるように言っておいてくれないか」
「えっ、どうして、あたしなんですか?」
あたしは、不満そうな顔をさせた。
「席は、お前の後ろだしな」
「今は、関係ないと思うんですけど」
「そんなこと言わずに頼むよ!」
永山先生は、必死に頼むと、急いで職員室へ戻って行ってしまった。
あたしも蒼士君も窓際の席。でも、蒼士君の席の横にはいないので、先生があたしに頼むのは仕方がない。
でも、何度か蒼士君に話かけたけど、「ああ」とか「そうなんだ」とか一言で話が片付いてしまって、話が続かない!
テレビのインタビューでは、愛嬌よく応えていたのにー。
「ねえ、あそこにいるの神崎君じゃない?」
美緒に言われて、窓の外を見ると、校舎裏のベンチに蒼士君が座っているのが見えた。
ちょうど、木の陰になっているので、わからなかったのも当然かも。
「美緒。ちょっと、行ってくるね!」
あたしは、急いで校舎裏へ向かった。
いたいた!
「蒼……」
校舎裏に行くと、蒼士君に声をかけようとした。
遠くからだと見えなかったけど、近くまで来てみると、誰かと話しているみたいだ。
よく見ると、キャップのついた帽子を深めにかぶった男の子が、蒼士君の前に立っていた。
制服は着ていないし、うちの学校の生徒ではないみたい。
「蒼士。今日、頼むよ!」
男の子は、蒼士君に向かって、両手を合わせた。
何だか、せっぱ詰まっている感じだ。
あたしは、興味本位に、もう少し近づいた。
男の子の顔をよく見ると、どこかで見たことがある。
「あっー!」
あたしは、思わず声をあげてしまった。
どこかで見たことがあるじゃなくて、蒼士君にそっくりじゃない!?
あたしの声に、蒼士君と男の子は、こっちに注目している。
「あーあ。見られちゃったかー」
男の子が、大きな溜め息をついた。
「ど……、どうして、蒼士君が2人いるの?」
あたしは、驚いた顔で2人を見比べた。
「知りたい?実は、俺達、双子なんだ」
「蒼馬!」
蒼士君が、慌てて止めようとしたけど、蒼馬君と呼ばれた男の子は、ケロッとした顔で続けた。
「俺、神崎蒼馬。こいつの弟です。よろしく!」
蒼馬君は、握手をしようと、あたしに手を差し出した。
「あ、あたし、蒼士君と同じクラスの西本優愛です。よろしく」
おずおずと、手を出すと握手をする。
何だか、この愛嬌の良さ、テレビに出てくる蒼士君そのものだ。
まさか、テレビの蒼士君って、蒼馬君じゃー!
あたしの脳裏にピーンときた。
さっそく、蒼馬君に聞いてみた。
「正解!よくわかったね。蒼士から名前を借りた芸名なんだ。でも、エンディングの曲は、蒼士が歌っているんだけどね」
あたしだって、だてに、蒼士君のファーンをやっていもの!でも、エンディングの曲を蒼士君が歌っていたなんてびっくりだ。
「蒼馬!もう、仕事の時間だろ」
蒼士君は、不機嫌そうに言った。
「いけねぇ!じゃあね、優愛ちゃん!」
投げキッスをすると、蒼馬君は急いで行ってしまった。
テレビで観た通り愛嬌があって、そのままの人だった。
「びっくりしたー。ドラマの中の蒼士君が、蒼馬君だったなんて。最初、何か違う感じがしたんだー」
納得しながら、頷いて見せた。
「あのさ、俺が歌っているのも、双子だってことも秘密にしてらええないかな?」
蒼士君が、いつものようにクールな顔で言った。
「どうして?クラスのみんなだけには、本当のこと話したら?納得すると思うなー。それとも、今から、あたしが代わりに行ってあげようか?」
あたしは、教室へ行こうと、身体を翻した時、急に腕を掴まれた。
「秘密にしてほしいって言ってるのに、わからないのか?」
「どうして、そんなに秘密にしたいわけ?わかった!みんなを騙すことになるからいやなんでー」
あたしが、言いかけた時だった。
急に、蒼士君の唇があたしの唇に重なれられた。
……!?
あたしは、一瞬、何が起こったのかわからずにいた。
「やっと、静かになった」
ゆっくりと、蒼士君はあたしから顔を離す。
あたしは、ハッと我に返った。
「な、何するのよ!?」
あたしは、顔を真っ赤にして叫んだ。
「俺と、キスしたこと、ばれたくなかったら、さっきのことは秘密な。勿論、友達にも言うなよ」
蒼士君は、顔色も変えずに、さっさと教室へ戻っていった。
脅迫ってわけ?信じられない!あたしにキスしたこと、絶対に謝らせてやるんだから!




