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引きこもりの僕が男の娘ヴァーチャルライバーになった話 ~スカウトされた大手事務所には〇〇しかいませんでした~  作者: 狐のボタン


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ろくじゅーご



会社に引っ越して数日。

同期のお二人とのデビュー曲は明るい雰囲気の素敵な曲で、レッスン以外でもつい口ずさんでしまうほど。

トレーナーの先生のお陰で僕の音痴も克服されて、お二人と一緒におこなった合同レッスンでも足を引っ張らずにすんだと思う。

「アルジェちゃん本当に音痴だったの?」

「はい、それはもう酷かったんですけど…」

「全然そんな事ないじゃない。むしろよく通る可愛らしい声だから、次はメインボーカルやれそうよね」

「うんうん! もう次の曲も作られてるらしいし、楽しみだよね」

お二人からも褒めてもらえるくらいになれてよかった。本当にトレーナーの先生様々です。

仮収録したものを社長ちゃんやスタッフの方がチェックして、良さそうなら近いうちに本収録になる。

ダンスの方は3D収録をする部屋でもうMV用のものは撮影済み。


「そうそう、この後先輩達がご飯に連れて行ってくれるって言ってたけど、アルジェちゃんはなにか聞いてる?」

「あ、それでしたら回転寿司の事だと思います。ハーティ先輩がコラボしているチェーン店の」

「ああ! 限定メニューとか、特性寿司下駄とかあるやつね」

「はい。僕達のデビュー曲の前祝いだってお店を貸し切りにしちゃったそうですから」

「そうなの!? 確かに平日の昼間ならそれくらいの無理も通るかー」

「コラボした企業だから多少の無理はきくんでしょうね」


「となると、今日はアルジェちゃんの手料理食べられないのかー」

「せっかく会社に来たのに残念ね…」

「またいつでも作りますから」

「そういえばヴィオラはアルジェちゃんとのお料理配信参加するんだよね」

「ええ…。少しでも苦手を克服できたら…と思って。パルム先輩からも声をかけていただいたから」

「ボクも参加したかったんだけど、その日は案件だったから泣く泣く諦めたよ」

パルム先輩が参加者を募ったら結構な人数になったとかで、急遽専用の部屋を借りることになったと聞いてる。


「次までには会社内に部屋を用意するーって社長ちゃんがはりきってたけど、流石に今回には間に合わないか」

「はい。当日は別の場所までバス移動ですね。ヴィオラさん、酔わないように気をつけてくださいね」

「え、ええ…そうね。ありがとうアルジェちゃん」

会社から近いみたいだからよほど平気だとは思うけど、前に辛そうにしてたから心配。


「(まだあれを酔って気分悪かったってことになってるの?)」

「(本人には言えないわよ…。悪いのは私だけど、傷つけたくないの!)」

「(じゃあそういう事にしとくね)」

「(ありがとう、そうしてもらえると助かるわ)」


「どうかしました?」

「ううん。ボクは参加できないから完成した料理を少し残しておいてもらえないかと交渉してた!」

「なるほど…」

「頑張るけど多分無理よ。その場でなくなる気がする」

「だよねー」

まぁその時はまた会社の方で作ればいいだけだし。



「あ、3人ともいたいた! もう収録は終わり?」

廊下の向かいからやってきたのはパルム先輩。

「はい、お疲れ様ですパルム先輩」

「おつかれー。店へはもううちの子達が各自で向かったから、最後は私達。すぐ行ける?」

「はーい。先輩の奢りなんですか?」

「勿論だよマローネ。好きなだけ食って飲めー」

「やった! 先輩大好きです!」

「現金だなぁ。ま、いいけど」

「すみません、私バッグだけ取ってきます」

「あ、僕も。すぐ戻ります!」

「はいよー。マローネはいいの?」

「財布は持っていかない!」

「ははっ…。払わせたりしないから大丈夫だって」



部屋に財布やスマホを置きっぱなしだから取りに行かないと。

僕だけはエレベーターで上の方まで行かなきゃだからちょっと待たせてしまう…。


幸いにもエレベーターはすぐに来てくれたから乗り込む。部屋に戻ったらプライベートのと会社のと二つのスマホにお財布を鞄に入れて、またすぐに下の階へ。


やっぱり僕が一番遅かった…。

「すみません、お待たせしました」

「いいよいいよ。部屋が上の方だと仕方がないし」

「いいなーボクも会社に住めばよかった」

「契約書に部屋もあるって書かれてたの見逃したの?」

「ううん。…ほら、いきなり先輩達がいっぱいいるところに住むのは勇気いるなーって思って。でもすっごい家賃の安い部屋借りられたんだよね」

「こんな都心で? ちなみにいくら?」

「えっとねー …万円!」

「「それ、絶対に事故物件!」」

「不動産屋でそんな話されなかったけどなー。ただ、絶対にしばらくは住んでほしいって言われたけど」

「何が出たりしてない?」

「別に何もないですね」

「マローネの部屋だけは行かないわ…。絶対ヤバいもの」

じこぶっけん…?なんだろうそれ。



そんな会話をしながら、会社の入口に停まっていた車に乗り込んだ。

「マネージャーちゃん、よろしくね」

「おまかせください!」

この方がパルム先輩のマネージャーさんなんだ。何度か会社で見かけたことはあるけど、いつも忙しそうに走り回ってたイメージ。先輩のマネージャーさんなら当然か。


「うちのマネージャーちゃんは運転上手いから安心していいよ」

「下手なのなんて紲くらいですって…。私達はこうやって送り迎え等でタレントの方を乗せて走る事も多いですし」

「紲さん…ってアルジェちゃんのマネージャーちゃんだよね?」

「そうですね。まだ乗せてもらったことはないので知らないですけど…」

「あの子の運転は確実に酔いますから、タクシーを呼ぶか、手の空いてる者を使われたほうがいいですよ」

マネージャーさん仲間からの辛辣なお言葉…。どれだけなんですか、紲さん。不安になってきた…。


「あ、店が見えてきたね」

パルム先輩が指差す先には有名な回転寿司チェーン、寿司タローのお店が。

外にはハーティ先輩の姿がどーんと載ったのぼりがいくつもでてる。

「パルム先輩、コラボメニューってどんなのがあるんですか?」

「…それは見てのお楽しみ。あまり深く突っ込まないほうがいいけどね」

どういう事でしょう?でも楽しみ。回転寿司は久しぶりだし…。













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