明けた朝
「えええッ!? 水瀬さん、引っ越しちゃうの!?」
朝から騒いでいるのは緒方。
「お、落ち着いて。再婚はするかもしれないけど、家も学校も変わらないから」
水瀬は、まるで馬を宥めるように机に身を乗り出してくる緒方を抑える。
しかし、騒ぎは収まるどころか増大する。
「そんな……今度、一緒にコスプレしようと約束しましたのに!」
目端に涙を溜める須藤。
「相談してくれても良かったじゃない」
悲しげに目を伏せる朝比奈。
「もう少し、水瀬先輩とはお話ししたかったです」
肩を落として酷く落ち込む相原。
「え、と。手紙書きます!」
急すぎて理解が追い付いていない橘。
天野以外の女子は完全に水瀬が引っ越すと思っている。
水瀬の机を囲んでどーして、どーしてと水瀬を困らせている。
「だから大丈夫だって! 引っ越さないから!? 緒方さん、それ取り出さないの! 危ないから渡しなさい!」
「だって、水瀬さんが居なくなっちゃうなら全部どうでも良いし 痛て!?」
「水瀬さんを泣かせるつもり?」
「朝比奈先輩、暴力は駄目ですよ!」
「ふぇ? 皆さん何してるんですか?」
「皆、一回落ち着いてえええええッ!」
水瀬たちの新しい日々が始まる。




