七話:エロ本について
エロ本。
友達の部屋に行った時に「ちょ! そんなんないから!」とか言って嫌がる友人を無視して探して見つけた時に友人を無表情にできる魔法のアイテム。
品野「俺? 自分家の1504室は開かずの間」
玄関で郵便小包というか大荷物を受け取った優子は、品野を放置してきた部屋に戻った。
そこで、見たものは。
絶賛家宅捜索中の品野だった。
「な~に~してるのか~し~ら~?」
「おう、おかえり。なにしてるかって? そんなん見ればわかるだろ? 異性の部屋に来た時の定番――――――――――」
そこで品野はこちらへ無駄に爽やかなスマイルを向けて、言う。
(なにかしらなにかしら!? 異性の部屋に行った時の定番って何かしらー!?)
「――――――エロ本探しだよ」
☆☆☆
「それ性別逆よー!?」
玄関から小暮さんが帰って来た。
手には大きな包みを持っていて―――――。
そして俺にツッコむついでか手が滑ったか、その包みが俺のもとに飛んできた。
あー。事故に遭う時とか、人間って時がゆっくりに感じられるって言うけど、本当みたいだなー。
おかげで、投擲された包みを観察する余裕がある。
細長い棒状のものを、布みたいなもので包んだ郵便物。
それの布がほどけながら俺の方へと突き進んでくる。
刺さったら痛いだろうな。
小暮さんの故意か偶然か、俺の眉間直撃コースのそれは、俺にぶつかる際、完全に包みがほどけた。
「日本とグベアッ!」
痛みに悶絶する。
「ちょ、大丈夫!?」
「うあー、うん、大丈夫」
別に投擲したわけでもないためかそれが額にあたってもそんなに痛くなかった。
落ちたそれを拾い上げる。
「日本刀?」
「それは大太刀ね。家の蔵に何本か同じようなものがあった、わ?」
最後小暮さんのセリフが疑問系になってしまったのは仕方がない。
なぜなら。
俺の手にした。日本刀――――刃渡り一メートル弱の大太刀が、光を放っているから。
「そういやさ、なんで家に来て欲しかったの?」
「いや! 現実逃避が過ぎるから! 流石にその話題転換にはついていけないから!」
「あ、晩御飯おごってくれる? 本当? ユリアも呼ぶけどいいよね?」
「こいつ……あくまで現実逃避する気だ!」
だってさ。
「だってさ、これ、凄い既視感があるんだよね」
大太刀の放つ光は収束して、一人の女性の形になった。
深海のような深い蒼の髪と瞳。
俺と同い年か一つ下くらいに見えるのに、胸はかなりの自己主張をしている。
顔の造作は高水準。ユリアといい勝負だ。
なめらかなミルクのような色の肌。
そして艶かしい肢体。
その女性が、一糸まとわぬ姿で俺の正面に顕現していた。
彼女は、俺の目を見据え、口を開いた。
「あなたは、勇者に選ばれました。勇者として、魔王の進撃を阻止及び魔王を討伐してください」
やっぱりな。
そんな気がしたさ。
「はあ? え? 何が起きてるの? クラスメイトが見知らぬお姉さん(全裸)に口説かれてる?」
小暮さんが混乱しているなー、とか現実逃避気味に思った。




