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SS集  作者: 奈落魔
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十一~二十

十一、サプライズ


 明日は彼の誕生日だ。

 なので私はサプライズで明日、彼をお祝いすることにした。

 彼に似合いそうなプレゼントにケーキ、おいしそうなお肉も買ってきた。

 そして翌日。

 彼の誕生日だ。

 彼はサプライズで誕生日をお祝いしてもらって照れくさいけれど嬉しいそうな顔をしてくれた。お祝いしたこっちも嬉しなっちゃう笑顔だった。

 食卓に並んでいるケーキやステーキなどの料理を彼と一緒に食べる。

「このステーキ、おいしいね!何の肉?」

 彼がステーキを一口頬張って私に聞いてきた。

「おいしいでしょ。だってそれ私のお肉なんだもん」

 そう言って私は包帯が巻かれている二の腕を見せた。包帯からは少し血のように赤い何かがが滲み出ている。

 彼の顔からは笑顔が消えて驚愕の顔になった。

 彼は私のお肉だと気づいて気持ち悪くなってしまったらしい、トイレにと走って行ってしまった。

 私は彼がトイレに行っていなくなった食卓で私は包帯を取った怪我などもちろんしていない。包帯から滲み出ていた赤色もただの絵の具である。私のお肉なんてのは嘘だったのだ。


 だって今日は四月一日なのだから。






十二、痴漢


 ある日、いつもと変わらず会社に通勤する為にぎゅうぎゅう詰めの満員電車に乗っていると痴漢に間違えられてしまった。

 駅のホームに強制的に降ろされてしまう。

 あぁ、僕はまだ何もしていないのに痴漢に間違えられ程度の事で人生が終わるのかと思うと足がふらふらとして、誤って線路に落ちてしまい電車が運悪く来て僕の人生は終わってしまったのだ。






十三、偉い


 この世の中で一番、偉いのは人間だ。

 なぜなら動物を殺して食うために飼っていいのは人間だけたからだ。

 人間たちで殺しあうのも世界を平和にしようとがんばるのも世界を壊すのも全ては人間の勝手なのだ。

 だからこの世の中は人間、中心で動いているのだ。

 人間は偉いのだ。






十四、うそつきは泥棒の始まり


「こら、嘘はだめでしょ」

「嘘なんでついてないよ」

 少年は家の庭でお母さんに怒られていた。

「うそなんか言うと死んだ後、閻魔様に舌を抜かれちゃうわよ」

「へーんだ。そんなの嘘だよ。全く怖かねーよ」

 少年は全く反省の色がなかった。

「そうですよー。閻魔に舌を抜かれるなんで嘘ですよー」

 お母さんと少年はいきなりの若い男の人の声がしてお母さんと少年、二人は振り向いた。

 そこにはとても高いシルクハットに黒い礼服に蝶ネクタイという一見、手品師に見えてしまうようなハンサムな男だった。

「な、なんですか。あなたは…いきなり人ん家の庭に入ってきて」

「これはこれは失礼しています。それでー……君ー、確かに閻魔に舌を抜かれるなんで嘘ですよー」

 男はお母さんに一言だけ謝るとすぐに少年の方を向く。

「舌を抜くのは閻魔ではなくわ・た・く・し・ですよー」

 そう少年に男が言うと、男はポケットの中からベンチを取り出すと男は少年の顔を片手で力強く掴むとペンチを無理やり口の中に押し込んで舌を強く挟んだ。

「い、痛い。痛いよ。やめっ」

「ちょっとあなた、何してるのよ」

 少年は舌をペンチに挟まれ痛がり、お母さんは男の行動に驚き、すぐに辞めさせようと腕を剥がそうとするが男はびくともしない。

 男は少年の舌を挟んだベンチをぐっと引いた。

「はーい。いっきまっすよー」

「んあ゛い゛あ゛あああああああああああ」

 少年は言葉になってない叫び声を出した。お母さんは目を充血させる程、見開いて男を思いっきり殴っている。

 でも男は気軽な声を出しながら自分の行動を辞めようとはしない。

 少年の口から血が溢れてで、目からも涙が溢れる。

 もっと力を入れると舌が勢い良く千切れる。

 少年は後ろに思いっきり倒れる。

「おおっと。逝きましたー」


「じゃー。これでさよならー」

 男が去った後には何か起こったのかよくわからず唖然とたお母さんと口から血を出して倒れている少年だけだった。






十五、親の言う事


「つまんねぇな。この芸人、早く消えねぇかなぁ」

 休日の昼、父は息子と一緒にいながらも寝転がってテレビに毒ついている。

 息子はその父の姿をじっと見ていた。


 その数週間後、父が毒ついていた芸人が死んだ。

 殺した犯人の証言は

「父が消えて欲しいって言っていたから。父や母は親の言う事は必ず聞くようにって言ってたから」

 と言ったらしい。






十六、昇るエレベーター


 私は仕事が終わり自宅であるマンションのエレベーターに乗った。

 私の部屋は五階にある。

 いつも通りに五階のボタンを押すとエレベーターは昇り始める。

 エレベーターの中はこんな深夜なのだから私しか乗っていない。

 さて、やっと五階に着いた。しかしエレベーターは止まらずにそのまま昇り続ける。

 でも五階のボタンはきちんと押されている。

 私は怖くなった。全十階まであるエレベーターのボタンを全部押した。

 しかし止まらない。

 エレベーターは昇り続ける。

 十階まで行ってしまった。

 しかし止まらない。

 これ以上はないはずなのに……。

 私は怖くなってエレベーターの扉を叩いた。

「開いて!出して!お願い!」

 それでもまだ昇り続ける。

 エレベーターがないはずの三十六階を過ぎるとき、真っ黒でシミ一つない礼服を着た紳士が口が裂けるほどに右端、左端の唇をつり上げて不敵な笑みを浮かべていた。

 私はなぜかその姿を見て、死神という言葉を思い浮かんだ。

 私は背筋が寒くなるのを感じた。

 まるでそれは後ろに冷たい何かがいるような感じだ。

 そして後ろを振り向くと……。


 けれどその正体を見る事はできなかった。

 気絶してしまったから……。


 その後、どうなったかは私自身、分からない。






十七、スイッチ


 今、僕の目の前に一つのスイッチがある。真っ白なスイッチだ。

 僕は興味があるので押してみる。

 そのスイッチは世界中の核兵器が爆発するスイッチだった。


世界は滅んだ。






十八、嫌な先生


 僕は今、前で授業をしているこの数学教師が嫌いだ。

 もちろん理由なく嫌っているわけではない。

「おい、坂本!この問題解け」

「は、はい。え、えーと、答えは二です」

「んー。もう一回、言え」

「だから二ですって」

「えっ?“い”……違げーよ。バカ野郎」

 僕は滑舌がとても悪い。それは分かっている。

 しかしこんな風にバカにされるのは先生として信じられないし許せない。

「もう一回、言えよ。おい、」

 先生が馴れ馴れしく肩を叩いてバカにしてくる。

 僕は我慢できる限度を超えた。

 ほぼ無意識のように席を立ち上がる。

 そして先生に近づいていく、その右手には僕がいつも使っているシャーペンを握っている。

「おいっ。どうした勝手に立つんじゃない」

 僕は怒りの力で目を見開く。右手を挙げて先生の目玉にシャーペンを突き刺そうとした。

 しかし先生は間一髪で避けてシャーペンは眉間に突き刺さった。

「いてッ。つッ、てめぇ」

 先生の目が怒りで赤くなる。

 こっちに真っ直ぐ迫ってくる先生の目玉にぶっ刺すのは簡単だった。

「ぐッ。あ゛ああああああ」

 先生は潰された目を手で抑えながら叫んで後ろに倒れる。

 その先生に僕は馬乗りになる。

「死ね。死ねー!死ねーーー!」

「ぐあッ、あ゛ぎゃッ、ぎゃああぁあああぁあ」


 ガラッ


 教室の戸が勢い良く開いた。

 何人かの先生が入って来た。

「えッッ!?あッ。坂本ッ!なっ何をしているんだ」

 先生達はこの状況 を見て一瞬、声を失っていた。

 先生達が僕に何を言おうがどうでもいい、僕は今までの恨みを全てここでぶつけるしかないのだ。

「おい!」

 先生達の中の一人が僕を殴ってきた。僕は馬乗りになっていた先生から飛ばされてしまった。

 僕はまだ全ての恨みを晴らしてなどいない、もっともっと先生をやっつけなければならないのだ。

 しかしまだ先生に馬乗りになろうとした僕を他の先生が羽交いじめにされた。

 そして僕はそのままどこかに連れて行かれた。


 ……僕はその日以降、学校に行かなかった。






十九、世界一素晴らしいが虚しい恋


 僕には僕にびったりの素晴らしい恋人がいる。

 彼女と僕はいつも一緒だった。何もない時も悲しい時も辛い時も必ず彼女は側にいるのだ。


 でも僕は彼女の名前が分からない。

 知らないわけではない。

 僕には分からない事なのだ。


 彼女の両親も知らないしどうでもいい事だ。


 でも彼女と側に居ても虚しい。

 なぜなら彼女は僕の妄想の中にだけ存在するのだから……。

 僕は毎日、病院の限られた中にしか居てはいけないのだ。

 誰も来ないからとても寂しい。

 今日も誰も来ない……そう思うとため息が出てしまう。


 何だろうか、誰かの気配がする。


 病院の個室の寂しく白い部屋を見回す。


「……ッ!?」


 そこには窓の近くに立ち、窓から吹くそろ風に長い髪と清楚な感じをさせる純白のワンピースを靡かせている。

 ……そう、その女の子は僕の妄想の中にだけに存在しているはずの彼女であった。

 彼女は僕の目線に気づいてくれたらしい。

 彼女はニッコリと可愛らしくあり、美しくあり、守ってあげたくなる笑顔だ。

 彼女は背を向けると廊下の方へと行ってしまった。

「あっ…」

 僕は彼女が消えて欲しくなくて居ないと嫌だからベットから起き上がって彼女を追った。

 廊下に出ると彼女は階段のところまで行っていた。

 僕が彼女の姿を確認して追い掛け始めると彼女は階段を昇り始めた。

 僕は彼女を追い掛けるために階段を昇り続けた。

 昇り続けて屋上の扉の前まで来た。

 彼女が屋上に居るがと僕はドキドキしながら扉を開けた。

 扉は僕のドキドキと違って扉はあっさりと開いた。

 そして彼女は……いた。

 屋上のフェンスの向こう、空中に浮かんで僕に微笑みかけてくれていた。

 風に靡いている髪と白いワンピースでまるでその姿は天使のようだ。

 僕は彼女を追い掛けるためにフェンスに足を掛けて何もない空間に出る。

 そして彼女を抱きしめて話しをしたいから近づこうとするが重力の力に負け、奈落へと引っ張られてしまう。

 自然と出てしまう悲鳴を叫びながら僕は彼女を見た。

 彼女は微笑んでいる。

 そのおかげで僕の気持ちは穏やかになれた。


「ありがとう」


 そして地面に頭から激突して頭蓋骨が割れ、地面や病院の白い壁を赤色に変えて僕は死んだ。






二十、寝ぐせ


 やばい、寝坊してしまった。

 きちんと朝ご飯を食べている暇さえない。

 素早く着替えをすると私は外に飛び出した。

 なんとか会社に遅刻せずに来れた。

 会社のいつもの場所に座ると私は安堵のため息をついた。

「せんぱーい。おはようございます」

 最近、この会社に入ってきた後輩が挨拶をしてきた。

 私は疲れてはいたけど笑顔を作って挨拶を返した。

「あぁ、おはよう」

 後輩の顔はなぜだか面白い物を見ていて笑いを堪えるような顔をしていた。私はそんな顔をする後輩にムッとした。

「なんでそんな顔をしてるのよ」

「えっ!?だって先輩の髪、寝ぐせがあるんですよ」

 今日、慌て出たせいだ。全く気づかなかった。

 その寝ぐせのせいで皆にいじられてそのせいで仕事が手に着かなくなってしまい、私は会社を首になってしまった。

 寝坊さえしなければこんなことには……。


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