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転生されたら淑女になった 第20話
第20話:母の制動、家族の決意
アルベルトが腰を抜かし、謁見の間に不穏な空気が満ちたその時。
俺の肩に、柔らかい、だが抗いがたい魔力の「制動」がかけられた。
『ルイ。……そこまでにしておきなさい。壊してしまっては、再生もできませんわ』
母エシスの、慈愛に満ちた、しかし絶対的な命令。
俺は一瞬で殺気を霧散させ、元の「完璧な淑女」へと戻った。
(……失礼しました、母さん。つい、魔力を上げすぎたようです)
国王シェルズは、俺たちのやり取りの深淵に気づくこともできず、ただ戸惑うように玉座で身を固くしている。
父ガルロは、壁際で彫像のように立ちながら、すでに「もしもの時」の脱出経路を三十六通り確保し終えていた。
この国、この王城。
中身が腐りきった構造物は、一度すべて解体さなければならない。
俺は、震える手を隠そうともしないアルベルトと、事態を把握できていない国王を、憐れみすら込めた淑女の微笑みで見つめた。
(……さて。そろそろ、この不快な現場を切り上げるとしますか。……「あの方」の言葉を
借りるなら、ね)
俺の口角が、ほんの少しだけ吊り上がる。
次なる瞬間に放たれる「拒絶」の準備を、俺は淑女としての所作の中に、静かに、そして鋭く、忍ばせた。




