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スキル『会話』で万物の声が聞けるようになったので、商人として成り上がります。 〜この鉄は剣にはなりたくないみたいです〜  作者: 赤金武蔵


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第1話 スキル授与

 コミュニケーションはクソだ。


 1対1で話せば、必ず認識の齟齬が生まれる。

 1対多で話せば、必ずこっちが悪者にされる。

 大人数でいる時は、必ずハブられる。


 何度でも言う。

 コミュニケーションはクソだ。


 その点、物はいい。何も喋らない。何も語らない。ただそこにあるだけ。



「……美しい」



 自室の棚に並んでいる植物や鉱石を眺める。


 駄目だ。ニヤニヤが抑えられない。

 あぁ、どうして君たちはそんなに美しいの?


 ……彼らと会話ができたら、どれだけ嬉しいか。はぁ~……。


 彼らの手入れをしていると、急に扉がノックされ、誰かが入ってきた。

 まあ、誰かなんて、見なくてもわかるが。



「ちょっと、ディーレル! 今日スキル授与の儀式なのよ!? 早く広場に行かないと!」



 入ってきたのは、幼なじみのルーフェン。

 俺の3つ年上の、今年で18歳の女だ。


 そこら辺の大人よりも大人っぽい体つきと、町娘とは思えない美貌に、町のみんなのアイドル的存在だ。


 そして、両親のいない俺の親代わりでもある。頼んでないけど。



「ルーフェン。せめて返事してから入ってくれ。俺が下半身丸出しだったらどうするんだ」

「あんたのチ○ポなんて子供の頃から見飽きてるわよ。それよりほら、さっさと準備して!」



 年頃の女が堂々とチ○ポとか言うんじゃねぇ。


 仕方なく立ち上がり、上着を羽織る。


 この世界の住人は、15歳になる年に女神様からそれぞれスキルを与えられる。


 果たして、どんなものを貰えるのか気にはなるが。

 正直、なんだっていい。どうせ誰かの為に使うなんて、高尚なことはしないし。


 ルーフェンに連れられて、広場に向かう。


 アナン町にいる15歳は、全部で6人。

 もう全員のスキル授与は終わっているのか、広場には女司祭のホプレンさん以外誰もいなかった。



「すみません、司祭様。遅刻小僧を連れてきました」

「大丈夫ですよ、ルーフェンさん。さあディーレル君、こちらへ」



 はぁ……さっさと終わらせよう。


 司祭さんの前に両膝をついて、目を閉じる。


 俺の頭の上に手が添えられ、手に持っていた聖本を開く音が聞こえた。



「主よ。我、司祭ホプレンの名において、彼に祝福を」



 待つこと数秒。

 徐々に胸のあたりが暖かくなり、熱くなり……次の瞬間、弾けた。


 ……これは……?



「今、スキルの授与が終わりました。詳細を聞きますか?」

「……いや、大丈夫っす。あざっす、ホプレンさん」



 スキル授与の恩恵なのか、効果や使い方が感覚で理解できた。


 スキル『会話』。


 万物の声を聞くことができる……まさに、俺の求めていたものだった。



「ねえ、ディーレル。どんなスキルだったの? お姉ちゃんに教えてよ」

「誰が姉だ」



 けど、そうだな……試しに使ってみるか。


 スキル『会話』、発動。


 ジッと、ルーフェンの服を凝視した、その時。



『か、体が引きちぎれるぅ!! 胸デカすぎてばっつんばっつんになるぅ!!』



 お……おお。すげぇ、本当の服の声が聞こえた。



「ルーフェン、また胸でかくなったろ。服がちぎれそうだって叫んでる」

「んなっ……!?」



 顔を真っ赤にして、自分の胸を隠した。

 相当お怒りなのか、鋭く俺を睨みつけてくる。



「ま、まさか、人のスリーサイズを黙視する目……とかじゃないわよね」

「アホか。俺のスキルは『会話』。服の声を聞いただけだ」

「……『会話』スキル? あんた、人と話すの嫌いなのに?」



 余計なお世話すぎる。

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