みっつのねがい
なまえをみつけないまま、ティアはみっかめをむかえます。
だいじんになまえがみつかったか、とうと、だいじんも、みつからなかったと、うなだれました。
すまない。
あやまるだいじんに、ティアはいいのだとくびをふります。
すこし、ひとりになりたい。
ティアはひとり、へやにこもりました。
「にしのつき、しかづののルーン」
ささやくように、なまえをよびます。
「なまえはさがせたかい、ティツィアーナ」
「おねがいがあるの。にしのつき、しかづののルーン」
ティアは、ルーンをみすえました。
「わたしをだいしょうにするから、ねがいごとをみっつ、かなえてくれないかしら」
ルーンが、めをみひらきます。
「それが、だいしょうにみあったねがいならば、よろこんで」
「ありがとう、ルーン」
ティアはうなずき、いいます。
「ひとつは、おうじひさまとやくそくしたときの、なまえをおしえること」
「ひとつは、おしろのにわに、あのあかいはなをさかせること」
「ひとつは、みなのめのまえで、わたくしをさらうこと」
できるかしら。
ティアはルーンに、といかけました。
「できるけれど、どうして?」
「わたくしがこのくににいることは、ただしくないからよ」
ティアはめをほそめて、こたえます。
「ようせいでさえ、だいしょうなしにきせきはおこせない。それなのに、このくにのひとびとは、わたくしにきせきをもとめる。わたくしが、あなたのくれたきせきを、だいしょうなしにあたえてしまったから」
ティアはうつむき、ゆっくりとくびをふります。
「このくにのひとびとは、きづかなければいけないの。だいしょうがなくては、なにものもなせないことを。もし、だいしょうなくきせきがおきたならば、それはだれかの、ぎせいのうえになりたっていることを」
だからわたくしは、きえなければいけない。こうせきを、てにしたままで。
「あなたには、わるものになってもらうことに、なってしまうけれど」
かなしいかおになるティアのほほを、ルーンはそっとゆびさきでなでました。
「あなたがのぞむならば、わたしがわるものになるくらい、かまわないよ、ティツィ」
「ありがとう。ごめんなさい」
だいすきよ、ルーン。
ティアがめをおとし、それからあげて、すこしなさけないかおで、ほほえみました。
「あなたのとなりにいくりゆうが、これしかおもいうかばなかったの」
ほほにふれたままだったゆびを、ティアはとります。
「あなたのてをとるわ。にしのつき、しかづののルーン」
「にしのつき、しかづののルーンとして、ティツィアーナをだいしょうに、あなたのねがいをかなえましょう。わたしのティツィ」
ルーンがティアのてをにぎりかえし、そしてふたりは、ほほえみました。
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