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第96話 出し惜しみなし!

 祭壇の加護が灯り続ける中、スケルトンたちは休みなく戦い続けていた。


 遠くへ探索に出していた十八体も、もう全員戻ってきている。祭壇の三つの入口には前衛が並び、その後ろから弓と魔法が飛ぶ。中央では大柄なスケルトンたちが、押し込まれそうになった場所へ次々と加勢していた。


 文明攻略戦の残り時間は、すでに一日を切っている。


「……あと二十三時間か」


 陸は表示を閉じると、サモンマップを開いた。祭壇から城まで、すでに通った道が記録されている。


「ここからだと……一時間四十分くらいか」


 ホバーバイクで飛ばしても、それだけはかかる。


 陸が地図を見たまま黙っていると、隣にいたエリナが顔をのぞき込んできた。


「リク、だいじょうぶ?」


「大丈夫! まだ間に合うって!」


 陸は笑って答えると、サモンマップを閉じ、すぐに目の前の戦闘へ視線を戻した。


 この何時間かで、軍団の姿はかなり変わっていた。


 Lv.30へ届いた個体は、そのまま必要な進化先へ進化させている。前衛、弓、魔法、ウルフ、ラビット、バット、ガーゴイル。高速探索に使っていた個体も含め、使えそうなスケルトンは次々とCランクへ上がっていた。


 ただ、Cランクになった途端、レベルの伸びは明らかに鈍くなった。


「やっぱCから全然上がんないな……」


 オークウォーロードも、あれだけ狩り続けてようやくLv.33だ。


 一体をさらに上げ続けるより、今は使えるCランクを増やした方がいい。


 陸は育った個体を確認しながら、次に進化させるスケルトンを選んでいった。


 やっているのはレベル上げだけではない。


 育ったスケルトンの中には、鍛冶や錬金を任せていた個体もいる。筋力や耐久、MPや賢さが上がった分、以前より良い装備を作れるようになっていた。


「これも作り直し。こっちも!」


 陸は鍛冶や錬金に使う個体だけを順番に戦闘から外し、作業者として選べる状態にしてから生産を進めていった。作業が終わればまた祭壇の戦闘へ戻し、次の個体と入れ替える。


 大柄な前衛には新しい武器と盾。弓を使う個体には強い弓。魔法系には杖。鍛冶で作った装備は錬金でもう一段強化し、仕上がったものから次々と入れ替えた。


 そして、使わなくなった装備は残さなかった。


「これも売る。これも……もういらないな」


 古い剣や盾、弓。余っている素材や、この先使う予定のないアイテムまで売却していく。


 増えたポイントは、そのまま祭壇へ捧げた。


━━━━━━━━━━━━━━

【祭壇】


ポイントを捧げました。

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 青白い光が祭壇の紋様へ流れ込み、周囲へ広がっていく。


「もっと上がってくれ……!」


 モンスターが来る。


 倒す。


 ドロップ品が増える。


 いらない物は売る。


 装備を更新する。


 また祭壇へポイントを入れる。


 その繰り返しだった。


 残り時間が減るほど、陸は残しておく物を減らしていった。


 新しい装備へ替えたことで不要になった物も売る。予備に取っておこうと思っていた装備も売る。使うかもしれないと残していた素材も、今必要でなければポイントへ変える。


「……よし」


 最後の売却を終え、陸は所持ポイントを見た。


━━━━━━━━━━━━━━

所持ポイント:0P

━━━━━━━━━━━━━━


「ゼロになった……」


「ゼロ?」


「うん。全部使った」


 エリナが心配そうに首を傾げる。


「だいじょうぶ?」


「大丈夫だって。勝てばいいんだから」


「かつ?」


「おう。ここまで来たんだから、一位取る!」


 口に出すと少しだけ気持ちが軽くなった。


 だが、ステータスを開けば、そこにある数字はまだ変わらない。


━━━━━━━━━━━━━━

佐藤陸

Lv.29

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「頼むから早く上がってくれ……」


 Lv.30になれば、召喚上限がまた十体増える。それは最初にスケルトンラッシュの詳細を見た時から分かっている。


 そして、Lv.10ではスケルトンフュージョン、Lv.20ではスケルトンストックが増えた。


 Lv.30でも、何かあるかもしれない。


 何かあってくれないと困る。


 陸はもう一度残り時間を見ると、すぐに表示を閉じた。


「まだ。まだ粘る」


 時間が過ぎていく。


 途中からは、テントもテーブルも寝具もすべて片付けた。調理器具もライトの一部も所持アイテムへ戻し、いつでも出発できるようにしてある。


 残しているのは、陸とエリナが座っている椅子くらいだった。


 スケルトンたちは戦い続ける。


 何度目か分からない敵の群れが倒れ、その向こうからまた次の足音が近づいてくる。


 陸は立ち上がったまま戦闘を見ていた。


「あとちょっとだろ……」

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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