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第92話 祭壇を発見!

 日が沈み始めても、陸たちは探索を続けていた。


 ホバーバイクを走らせながら何度目かのサモンマップを開く。自分たちの経路とは別に、七つの探索部隊が通った線もさらに遠くへ伸びていた。


「なんかないかな……」


 残り時間は三日と少し。城へ戻るなら、それまでにアイアンゴーレムを突破できるだけの何かが欲しい。


 マップを動かしていると、七部隊のうち一つがいる場所に見慣れない表示が増えていることに気づいた。


「ん?」


 陸はホバーバイクを止め、表示を拡大した。


━━━━━━━━━━━━━━

祭壇

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「……祭壇?」


「さいだん?」


「なんだこれ」


 今まで第11階層を回ってきた中では見たことがない。しかも、探索部隊がそこへ到達したことで初めてサモンマップへ記録された場所だ。


 陸はすぐに現在地との位置関係を確認した。


「結構遠いな……でも、行くしかない!」


 今日の午後から高速探索部隊を七方向へ出し、もう何時間も探し続けている。その先でようやく見つかった、今までとは違う場所だった。


「エリナ、ちょっと飛ばすぞ!」


「うん!」


 陸は周囲に残していた九体を一度ストックへ戻し、ナイトウルフを中心に速度のある個体へ入れ替えた。


 祭壇までの場所はもう分かっている。探索部隊が敵を避けたり地形を確かめたりしながら進んだ道を、そのまま辿る必要はない。


 サモンマップを見ながら、できるだけ真っすぐ進めるルートを選ぶ。


「よし、行くぞ!」


 ホバーバイクが草原の上を一気に加速した。


 丘を回り込み、低い岩場の間を抜ける。進行方向にモンスターの群れが見えれば大きく避け、戦闘はしない。


 走り続けているうちに、空は赤から濃い青へ変わっていった。


「暗くなってきたな」


 しばらくすると、地面の凹凸も遠くからは見えにくくなる。


 陸は速度を落とし、ショップを開いた。


「このままじゃ危ないな。ライト買うか」


 すぐに使えそうな高出力のライトをいくつか購入し、一つをホバーバイクの前方へ固定する。


 スイッチを入れると、白い光が前方の草原を広く照らした。


「お、これならいける!」


「まぶしい!」


「前見えるだろ?」


「みえる!」


 陸は再び速度を上げた。


 暗くなった第11階層を、ライトの光が細長く切り開いていく。


 それからも走り続け、サモンマップ上の祭壇がかなり近づいた頃には、空は完全に夜になっていた。


「もうちょい!」


 前方に岩山のような黒い影が見えてくる。


 その間を抜けると、急に視界が開けた。


「おお……!」


 陸は一度スマホを確認した。時刻は21時を少し回っている。


 周囲を高い岩壁に囲まれた、かなり広い空間だった。


 中央には、人の背丈より少し高い石造りの祭壇がある。何段かの台座の上に大きな石板が置かれ、その表面には細い溝のような模様がいくつも刻まれていた。


 先に到着していたナイトウルフ二体とエコーバット一体も、祭壇の近くで待っている。


「ここか!」


 陸はホバーバイクから降りると、そのまま中央の祭壇へ近づいた。


 石板へ触れると、青白い光が浮かび上がる。


━━━━━━━━━━━━━━

【祭壇】


ポイントを捧げることで、

祭壇周辺に一定時間の加護を与えます。


【加護】

・獲得経験値増加

・アイテム獲得率増加

・レアアイテム獲得率増加


捧げるポイント量に応じて、

加護の効果は強化されます。

━━━━━━━━━━━━━━


「……マジか」


 陸は表示を上からもう一度読んだ。


「経験値増えるの!?」


「けいけんち?」


「レベル上げやすくなるってこと!」


「おお!」


 経験値だけではない。アイテムも増え、レアなものまで手に入りやすくなる。


「これ、めっちゃいいじゃん!」


 陸は祭壇から顔を上げ、改めて周囲を見回した。


 中央はスケルトンを何十体並べても余裕があるほど広い。一方で、外へつながっている場所は岩壁の切れ目になった三方向だけだった。


「……しかもここ、香炉使うのにもめっちゃいいじゃん!」


 三つの入口すべてを前衛で塞げる。その後ろ、中央側に弓や魔法を使う個体を集めれば、どの方向から敵が来ても火力を集中できる。


 以前、誘魔の香炉を使った時も、入口の狭い場所を選んで前衛に止めさせた。それを三方向同時にやれるような地形だった。


 陸は祭壇を見ながら、城の中庭にいたアイアンゴーレムを思い出した。


 オークウォーロードとハイオーガまで入れて攻撃しても、まともに削れなかった。Cランクを増やせば今よりは強くなる。それでも、その先にさらにボスがいる可能性まで考えれば、それだけで足りるとは限らない。


「……これなら、俺も上げられるか?」


 陸は自分のステータスを開いた。


━━━━━━━━━━━━━━

佐藤陸

Lv.22

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「まだ22か……」


 文明攻略戦が始まった頃にはLv.21だった。それから第7階層を抜け、第8、第9、第10階層を進み、第11階層まで来ている。それでも、自分のレベルはほとんど上がっていない。


「俺、ほんと上がるの遅いんだよな……」


 これについては前から何度も気になっていた。


 自分自身がほとんど直接戦っていないからなのか。召喚しているスケルトンたちへ経験値が分かれて、自分に入る分が少なくなっているのか。それとも、人間とスケルトンでは必要な経験値そのものが違うのか。


 何度考えても、システムは経験値の内訳までは教えてくれない。


 条件を変えて何度も戦えば多少は調べられるかもしれないが、ボスバトルが終わってからは文明攻略戦が始まり、ランキングを追いながら階層攻略を続けてきた。わざわざ足を止めて検証している余裕もなかった。


「まあ、今も調べてる時間ないけど」


 陸はステータスを閉じ、祭壇へ目を戻した。


 Lv.10ではスケルトンフュージョンが追加された。Lv.20では召喚上限が増え、《スケルトンストック》も使えるようになった。


「30まで行ったら、またなんか増えるかもしれないんだよな」


 まだ八レベルある。普通に上げるなら、とても三日で届くとは思えない。


 だが、目の前には経験値を増やす祭壇がある。しかも、自分には《誘魔の香炉》まである。


「これしかないじゃん!」

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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