第65話 ボス部屋発見!
エリナと一緒に過ごすようになってから、さらに数日が経った。
ゲームをしたり、映画を見たり、ご飯を食べたり。家ではそんな時間を過ごしながら、第6階層では二十体のスケルトンたちに探索を続けさせている。
その日の夜も、陸は何気なくサモンマップを開いた。
「どれくらい広がったかな」
青白い地図が視界の前に広がる。探索済みの通路は前に見た時よりさらに伸び、いくつもの道が複雑に枝分かれしていた。
陸は地図を動かしていき、ふと見慣れない表示で手を止めた。
━━━━━━━━━━━━━━
ボス部屋
━━━━━━━━━━━━━━
「……え?」
一瞬止まってから、陸は表示を拡大する。
「見つかってるじゃん!」
「なに?」
近くにいたエリナが顔を上げた。
「ボス部屋。ずっと探してたやつ見つかったんだよ」
「ぼす?」
「強いやつがいるところ」
「つよいやつ?」
「そうそう」
エリナが地図を覗き込むように陸の隣へ寄ってくる。
ボス部屋の近くには、探索中のスケルトンたちの印もあった。そこから第6階層入口まで地図を戻し、入口とボス部屋を順番に指定する。
探索済みの道に沿ってルートが繋がり、移動距離と徒歩での推定所要時間が表示された。
「……一日?」
陸は思わず表示を見直す。
「遠っ! めちゃくちゃ遠いじゃん!」
「とおいの?」
「かなり遠い。朝から歩いても、着くのは明日の朝くらいになりそう」
「いっぱいあるく?」
「めっちゃ歩くことになりそう」
エリナは少し考えたあと、翼をぱたぱたと動かした。
「つかれたら、とぶ!」
「それできるのいいな」
陸は少し羨ましくなりながら、もう一度ボス部屋の表示を見る。
「明日行ってみようと思うんだけど、エリナも一緒に行く?」
「いく!」
返事はすぐだった。
「じゃ、一緒に行くか」
「うん!」
「とりあえず、みんな戻ってきてもらわないとな」
陸は玄関へ向かい、ダンジョンへ入った。
通路へ出たところで意識を集中させる。
第6階層入口まで戻ってこい。
「これでよし」
家へ戻ってサモンマップを確認すると、散らばっていた印が少しずつ向きを変え始めている。
「戻ってきてるな」
陸は地図を眺めながら頷いた。
「出るのは明日の朝だな」
「あした?」
「うん。朝から行こう」
「わかった!」
陸はマップを閉じ、その日は明日の準備を軽く済ませてから休むことにした。
翌朝。
陸とエリナは第6階層入口へ移動した。
青白い光が消えると、岩肌の続く大きな洞窟が広がる。その近くでは、戻ってきた二十体のスケルトンたちが待っていた。
「よし、全員いるな」
陸は前方へ視線を向けた。
「じゃ、行くか!」
二十体のスケルトンたちと一緒に、ボス部屋へ向けて出発した。
何体かは先へ進み、別の何体かは陸とエリナの周囲へ残る。さらに後ろにも数体がつき、前後を警戒しながら進んでいく。
第6階層の道は相変わらず歩きにくい。平らな場所は少なく、緩い坂を上ったと思えば岩の段差が続き、その先ではまた道が下っている。
しばらく進んだところで、前方から何かがぶつかるような音が聞こえた。
「ん?」
陸が足を止める。
少しして先へ進んでいたスケルトンたちが見えてきた。その足元には、倒れたブラックウルフが二体転がっている。
「もう終わってるし」
陸たちが追いつく頃には、戦闘は完全に終わっていた。
近くの死体へ手を向ける。
「スケルトンラッシュ!」
青白い光がブラックウルフを包み、二体のスケルトンが起き上がる。陸はそのまま管理画面から二体を選び、ストックへ入れた。
「よし」
「いなくなった!」
「今のは取っといたんだよ」
「とっといた?」
「あとで出せるようにした」
「へえー」
エリナが面白そうに、スケルトンの消えた場所を覗き込む。
そのまま進んでいくと、今度は岩場にケイブリザードが倒れていた。少し先にはゴブリンソルジャーもいる。
まだ残っている死体は、見つけるたびにスケルトン化してストックへ入れていく。ただ、全部が残っているわけではない。スケルトンたちが先に倒してから時間が経ったものは、陸たちが着く前に消えているらしい。
「まあ、残ってる分だけでいいか」
戦闘そのものはほとんど陸のところまで来ない。前から魔物が来れば先行しているスケルトンたちが倒し、横道から現れた魔物も近くにいる護衛がすぐに動く。後ろから何かが来ても、後方にいるスケルトンが先に反応した。
陸とエリナは、その真ん中を進んでいくだけだった。
それでも楽ではない。
「はぁ……ちょっと待って」
長い坂を上りきったところで、陸は岩壁へ手をついた。
「リク、つかれた?」
「疲れた……」
横を見ると、エリナはまだ元気そうだった。
「エリナは平気なの?」
「へいき!」
「マジかよ」
エリナはしばらく歩いていたかと思えば、段差の多い場所ではふわっと飛び上がり、そのまま少し先へ着地する。
「それずるくない?」
「リクもとぶ?」
「飛べないんだよ」
「そっか」
悪気なく返され、陸は笑った。
スケルトンたちにも疲れた様子はない。さっきから同じ速度で歩き続けている。
「こいつらも元気だな……」
休んでいるのは陸だけだった。
何度か休憩を挟みながら進んだものの、ボス部屋はまだ遠い。洞窟の中では外の明るさは分からないが、かなりの時間を歩いた。
陸はマップを確認し、残った距離を見て息を吐く。
「今日はここまでにするか」
少し先に、周囲より平らな岩場が広がっている。
「ここなら休めそうだな」
「ここでねるの?」
「そう。今日はここでキャンプしよう」
「きゃんぷ?」
聞き慣れない言葉に、エリナが首を傾げた。
最後まで読んでいただきありがとうございます!
面白かった、続きが気になると思っていただけましたら、ブックマークや☆評価、感想で応援していただけると励みになります!




