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第34話 ボスバトルに挑戦!

「よし、行くか!」


 陸はイベント画面を閉じると、すぐに玄関へ向かった。さっきまで満腹でリクライニングチェアに沈んでいたのが嘘みたいに足取りが軽い。


 玄関の前まで来ると、目の前にウィンドウが開いた。


━━━━━━━━━━━━━━

【移動先を選択してください】


【通常ダンジョン】

【ボスバトル】

━━━━━━━━━━━━━━


「ボスバトル!」


 迷わず選ぶ。


 陸が玄関の扉を開けると、その向こうにいつものダンジョンとはまるで違う景色が広がっていた。


「おお……!」


 広い長方形の石床を、四方から高い灰白色の壁が囲んでいる。壁には扉も飾りもなく、観客席のようなものもない。天井もかなり高く、どこからともなく白い光が差して、フィールド全体を明るく照らしていた。


 岩も柱も段差もない。ただ広い床と壁だけがある。


「ゲームのバトルフィールドみたいだな! 意外とシンプル!」


 陸はすぐ中へ入り、何歩か進んで周囲を見回した。


 玄関の扉が背後で閉じる。


 その直後、陸の周囲へ青白い光が次々と浮かび上がった。


「おっ!」


 光の中から骨の姿が現れていく。スケルトンウォリアー、三体のゴブリンソルジャー、三体ずつのアーチャーとメイジ。ホーンラビット、シルバーホーンラビット、コボルト、コボルトウォリアー、ウルフ、二体のブラックウルフ、そしてケイブリザード。


 十八体が陸の周りに並んだ。


「おお、来た来た! こうやって連れてくるんだ!」


 ダンジョンにいたはずの軍団が、一瞬で目の前へ揃っている。陸は少し笑いながら十八体を見回した。


 正面に、新しいウィンドウが浮かぶ。


━━━━━━━━━━━━━━

【ボスバトル】


第一戦を開始します。

━━━━━━━━━━━━━━


「よし! 第一戦!」


 陸が正面を向く。


 フィールドの反対側へ青白い光が広がり、その中から次々とモンスターが姿を現した。


 ゴブリン三体。ホーンラビット二体。ウルフ二体。そしてスライム三体。


 合計十体。


「いきなり十体か!」


 見覚えのあるモンスターばかりだ。陸は一番近くにいるゴブリンへ鑑定を使った。


━━━━━━━━━━━━━━

ゴブリン

ランク:F

Lv.9

━━━━━━━━━━━━━━


「9レベ!?」


 続けて他のモンスターにも目を向ける。Lv.8、Lv.9。並んでいるのは、どれもFランク帯の上の方だった。


「第一戦からもうこのレベル出てくんの!?」


 陸が思っていたより、最初から敵のレベルは高い。


 だが、目の前にいる十体を見ても怖さはなかった。


「まあ、今のこいつらならいけるだろ! 前衛、行け!」


 ウォリアー、三体のゴブリンソルジャー、それに盾を持ったコボルト系二体が前へ出る。


 同時に、二体のウルフと二体のホーンラビットが地面を蹴った。


 四体が一気に前へ飛び込んでくる。


 ガンッ!


 コボルトスケルトンの小盾がホーンラビットの突進を受け止める。その横ではゴブリンソルジャーがウルフを剣で押し返した。残る二体にも前衛が回り込み、そのまま正面で受け止める。


「アーチャー、狙って! メイジも!」


 三体のアーチャーが弓を引く。


 骨矢が一本ずつ飛び、前衛とぶつかって動きの止まった敵へ突き刺さった。


 少し遅れて、三体のメイジが杖を構える。


 ファイヤーボールが敵の固まった場所へ飛び込んだ。


 ドォンッ!


 炎が広がり、ゴブリンとスライムをまとめて巻き込む。そこへ風の刃と氷塊が続き、前衛が押さえていた敵の数が一気に減った。


「いいね! そのまま!」


 横を抜けようとしたウルフへ、こちらのウルフスケルトンが飛びかかる。ホーンラビットスケルトンも一気に距離を詰め、逃げたゴブリンの横からぶつかった。


 十体いた敵は、次々と石床へ倒れていく。


 最後に残ったスライムへアーチャーの矢とメイジの魔法が重なり、青い身体が大きく崩れた。


━━━━━━━━━━━━━━

【第一戦クリア】

━━━━━━━━━━━━━━


「よっしゃ!」


 陸は倒れたモンスターたちを見回した。


「レベルは思ったより高かったけど、これなら全然いけるな!」


 すぐに次の表示が出る。


━━━━━━━━━━━━━━

第二戦へ挑戦しますか?


【はい】

【いいえ】

━━━━━━━━━━━━━━


「もちろん!」


 陸はすぐ【はい】を押した。


 倒れていたモンスターの姿が消え、再びフィールドの反対側へ青白い光が集まり始める。


 今度は四つ。


「四体?」


 光が消える。


 幅広の剣を持ったゴブリンソルジャー。大柄なコボルトウォリアー。黒い毛並みのブラックウルフ。そして銀色のシルバーホーンラビット。


「うお、第二戦でもうこいつら出るの!?」


 全部、以前はボスとして戦った相手だ。


 陸は順番に鑑定していく。


━━━━━━━━━━━━━━

ゴブリンソルジャー E Lv.10

コボルトウォリアー E Lv.16

シルバーホーンラビット E Lv.17

ブラックウルフ E Lv.18

━━━━━━━━━━━━━━


「うわ、18レベいる! 第二戦から飛ばしてんな!」


 ブラックウルフが低く身を沈める。


「来る! 前衛、止めて!」


 青白い光が黒い身体を包んだ。


 次の瞬間、ラッシュファングを使ったブラックウルフが一気に加速する。


 だが、陸たちも同じ相手を一度経験している。


「ブラックウルフ、追って!」


 二体のブラックウルフスケルトンが左右から駆け出した。一体が正面から進路へ入り、もう一体が横へ回り込む。


 敵のブラックウルフが方向を変えたところへ、骨の二体が食らいついた。


「よし!」


 反対側ではシルバーホーンラビットが走り出していた。


 ホーンラビットスケルトンとシルバーホーンラビットスケルトンがすぐに追う。三体が広いフィールドを一気に横切った。


 その間に、ゴブリンソルジャーとコボルトウォリアーが正面からぶつかってくる。


 コボルトスケルトンが小盾を構え、その横へコボルトウォリアースケルトンが並ぶ。


 ガンッ! ガキンッ!


 剣と盾がぶつかり、前衛同士の動きが止まった。


「今! アーチャー!」


 三本の矢が一直線に飛ぶ。


 一体へ狙いを集めた矢が、ゴブリンソルジャーの肩や胴へ次々と突き刺さる。


 さらにメイジたちも杖を構える。


「メイジも行け!」


 ファイヤーボールが前衛二体の間へ飛び込む。


 ドォンッ!


 爆発がゴブリンソルジャーとコボルトウォリアーをまとめて飲み込む。そこへアイスショットが一直線に突き刺さり、横からウィンドカッターが走った。


 炎の中から二体が飛び出してくるが、その正面ではウォリアーたちが待っている。


 スケルトンウォリアーの鉄剣が振り下ろされた。


 ゴブリンソルジャーが倒れる。


「一体!」


 コボルトウォリアーはまだ耐えた。


 第一戦の敵より明らかに硬い。


 それでも、前衛が動きを止めている間にアーチャーが一体へ矢を集め、三体のメイジもそれぞれの魔法を重ねていく。


 広いフィールドの端では、二体のブラックウルフスケルトンが敵のブラックウルフを追い詰めていた。


 青白い光が二体を包む。


 ラッシュファング。


 左右から一気に加速した骨の身体が、逃げ道を塞ぐように飛び込んだ。


 ドンッ!


 敵のブラックウルフが石床を転がる。


「ナイス!」


 シルバーホーンラビットも、こちらの高速組に追われて動きを止めた瞬間、遠くから一本の矢を受けた。


 そこへホーンラビットスケルトンが突っ込む。


 四体のEランクはしぶとかった。


 第一戦のように一気には終わらない。それでも一体ずつ倒していき、最後に残ったコボルトウォリアーへ矢と魔法が重なる。


 大柄な身体が石床へ倒れた。


━━━━━━━━━━━━━━

【第二戦クリア】

━━━━━━━━━━━━━━


「よっしゃあ!」


 陸は十八体を見回した。


「第一戦よりかかったけど、まだ全然いけるな!」


 目の前には、第二戦クリアの表示がまだ浮かんでいる。


 陸はその向こうの何もいなくなったフィールドを見た。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

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