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さくらとお揃いのピアスを買ってから約一か月が経ち、ようやくファーストピアスからお揃いのピアスを付けられるので、弥生はわくわくしていた。
朝、鏡の前で慣れた仕草でピアスを付けると、桃色に輝くローズクオーツの煌めきが光に反射してとても可愛い。
さくらと今日付けて学校に行くと約束したので、きっとさくらも今頃同じものを付けていることだろう。
登校中、弥生は浮かれたまま学校へ向かった。
それはさくらも同じだったようで、サイドの髪の毛を編み込みにして耳がよく見えるようにしていたのだ。さくらに挨拶をして、弥生も挨拶を返される。
「さくらちゃん、ピアスと編み込み似合ってるよ」
「弥生ちゃんも似合ってるよ。そうだ、今日はヘアゴムとヘアピン持ってきてるから、弥生ちゃんも私とお揃いにしない?」
さくらの素敵な提案に弥生は頷いた。
「弥生ちゃんの髪、さらさらだね」
「さくらちゃんには負けるよ」
「そんなことないよ、お手入れしてるのがよく分かるよ」
他愛もないやり取りをしながら、さくらはするすると編み込みをしていく。
手先が器用だなあなんて感心しているうちに、いつの間にか出来あがったようだ。
「はい、見てみて」
さくらのコンパクトミラーを借りて自分を見ると、さくらと同じくサイドを編み込みにして耳がよく見える髪型に仕上がっていた。
「ありがとう!」
「ううん、私がやりたかっただけだから」
ホームルームのチャイムが鳴り、担任の岩倉が教室に入ってきたのでみんな着席した。
今日は久しぶりの図書委員の仕事があるので放課後弥生はさくらと共に図書室へ向かった。
当たり前なのだが、図書室は静かで本のにおいがして居心地がいい。
司書の長谷川はお揃いの髪型にお揃いのピアスを付けている弥生とさくらを見て「最近流行りの双子コーデってやつかしら?」と朗らかに笑って図書室へと迎え入れてくれた。
「そうなんです、お揃い可愛いですよね」
「ええ、あなた達とても仲がいいからよく似合っているわ」
「ありがとうございます」
弥生とさくらは顔を見合わせて笑い合う。
弥生は掃除、さくらがカウンターで受付をしていると、クラスメイトの翔がユニフォームを着たままやってきた。
翔はあらかじめ借りたい本を決めてあったのか、迷うことなく本のある場所に向かい手に取ってカウンターで手続きをした。
「九条さん、これ、借りたいんだ」
「分かりました」
さくらは淡々と仕事をこなし、カードを受け取ってコンピュータに読み込ませる。
「はい、どうぞ」
無表情ながらも華やかな雰囲気までは消せないさくらに、翔は見惚れているのが分かった。
さくらは同性から見ても群を抜くレベルで美少女なので、翔もまたどうにかしてお近づきになりたいのだろう。
「佐藤くん、終わりましたよ」
「あ、ごめん! 九条さんのスマホ、そろそろ直った?」
そういえば、以前もさくらの連絡先を聞こうとしたら「スマホが壊れている」という、断る時に使う言葉を言っていたなあと弥生は思い出す。
さくらはあまり男子が好きではないようなので、ここは助けに行くかと思っていたら、司書の長谷川が「図書室では静かに」とやや怒った風に翔を注意していたので、翔は「うるさくしてすみません」と言って去って行った。
翔がいなくなると長谷川はため息をついて「九条さん、気にしなくていいからね」と先ほどとは打って変わって優しい声で宥めてくれた。
「嫌なら嫌って言っていいのよ。一応職員の私が言えたことではないけれど、男の子って言っても言葉が通じないお馬鹿さんもいるから気をつけなさい。もちろん高橋さんもよ。ここは私のテリトリーだから好き勝手させないから安心してね」
長谷川の優しい声とアドバイスに弥生とさくらは「ありがとうございます」と言って大人の女性の意見を大切にしようと思ったのだ。
時間より少し早く上がらせてくれた長谷川に、さくらは感謝の言葉を述べた。
「ありがとうございます」
「はい、お疲れ様です」
「先生、さようなら」
「はい、気をつけて帰ってね」
弥生とさくらはやや小走りで下駄箱まで向かい、ローファーに履き替えて下校した。
翔はサッカー部だ、グラウンドを見たらまだ部活動は行われてたのでそそくさと学校を出た。




