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押しかけメイドの距離感がバグっている件  作者: 蒼田
第1章 入学前の来訪者
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第12話 麗しのメイドさん

 俺とサキはマンションを通り大学を通り過ぎる。

 目的地である大型ショッピングモールへ行くには市電(しでん)に乗る必要があるのだが今はそれ待ち。

 しかし、予想外の——いやある(しゅ)予想通りの——場面に出くわし俺は顔から蒸気を出していた。


「メイド?! 」

「いやあれはプレイだろ」

「手を繋いでメイドプレイ?! 」

「レベルが高すぎるぜ」


 羞恥(しゅうち)で顔を上げることができない。


「だがあんな美人。この辺にいたか? 」

「ほら大学じゃないか? もう少しでシーズンだろ」

「なら同級生?! 」

「にしても隣のやつ平凡だな」

「変わってほしいくらいだぜ」


 まさかの同級生がいるだと?!

 一層の事俺を殺してくれぇ!!!


「どうしましたか、ご主人様。お顔から尋常ではない汗が出ておりますが」

「この状況でサキはよく平然としていられるな」

「メイドですから」

「理由になってねぇ」


 サキに手を引かれながら俺は進む。


「一応聞いておくが……何で俺は手を繋がれているんだ? 」

「婚約者ですから」

「そう言うと思ったよ」

「加えるのならば少々方向音痴な傾向が見られるので離れないようにしているのも理由の一つでございます」


 そう言われ更に顔を下に向ける。


 そうなのだ。

 この町は都会ほど複雑ではない。しかしそれでも来た当初道に迷ったのは確かで。

 以前に住んでいたとはいえかなり前。加えるのならば変わっている風景もかなりある。

 よって来た初めは道に迷い家に帰るまで苦労したのはサキの言う通りだ。

 どこから情報を入手したのかはわからないが、聞くと後悔しそうなのでやめておこう。


 まぁ……こういったもろもろの事情を差し引いても方向音痴が少し入っているのは否定できないが。


「胸を張ってください。堂々としていないとむしろ逆に恥ずかしいと思いますよ? 」

「確かにそうだが……」

「それともあれでしょうか。(はずかし)めを受けるのがご趣味と? 申し訳ありません。そちらは情報不足でした」

「俺がいつそんなことを言った?! 」

「言っておりませんが、この状況の最適(かい)だと考えます」

「最悪解だよ! 」

「そんなに大きな声で怒鳴って……。やはり()えて羞恥を受けるのがご趣味なようで」


 そう言われて気が付く。

 周りから少し引かれる雰囲気が。

 ち、ちくしょぉ! ()められた!


「ならば明日……いえ今日から趣向(しゅこう)を変えた方が良さそうですね」


 何か恐ろしい事を言い出したぁ?!


「やはり(むち)が必要でしょうか? いえ肉体的苦痛で快楽(かいらく)を感じるタイプではなく精神的な苦痛を快楽へ変換するタイプだとすると」

「俺はMじゃない! 」

「で、では攻めるのがお好きだと!? 申し訳ありません。それも情報不足でした。つまりご主人様は——」


 口を開けて、少し間を置くサキ。

 そして。


「両刀使いなのですね」

「ちがぁぁう! 」

「違うのですか? 」

「当たり前だ! それに言い方! 絶対にわざとだろ! 」

「はて何のことでしょうか。私は全くわかりませんが」

「白々しい! 」

「私疑われているのですね。サキは悲しゅうございます……オヨヨヨヨ」


 その瞬間周りから冷たい目線が刺さる。


「これ俺が悪いのか?! ]

「さて。私は「双方に適正がある」という意味で「両刀使い」と言ったのですがご主人様は違う理解をしたご様子。「両刀使い」とは他い一体どのような意味があるのでしょうか。教えていただけると勉強になるのですが」

「お、俺の口から言えと?! なんて恐ろしい女なんだ」


 震えが止まらねぇ。


「お、おちょくっているだろ」

「ええ。百二十パーセント」

「上限越えた?! 」

「主人をおちょくり、私が楽しむ。これが私のメイ(ドゥ)

「ポーズを取るな! は、恥ずかしいぃ! 」


 そう注意したくらいで市電が(せま)る音がする。

 ガタンゴトンと音が聞こえて目の前に止まった。

 周りの奇異(きい)なものを見る目線を浴びながらも少し背筋を伸ばして電車に入る。


「「「メイド??? 」」」


 運転手と先に入っていた乗客が一斉(いっせい)に驚いた。

ここまで如何だったでしょうか?


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