神さま、キョドる。
いつもご覧頂きありがとうございます。
昨日更新分の誤字が余りにも酷かったようでΣ(ㅎωㅎ;)
大変申し訳ありませんでした。
ご報告、ありがとうございました。
ラクサリス村に住んでいる人達は、全員家族のような関係性で、事実、大抵のヒトはどこかしら何かしらの形で遠くても血が繋がっている。
そのためか、お互いの距離感が近く、それぞれの部屋を訪れる際、ノックをする習慣がない。
だが「スキル」で建てた小屋にノックもせずに突撃をかましてきた村長が、瑞基にこっぴどく怒られているのを見たからだろう。
旅の同行者に瑞基とセリアが増える事を、良しとするか否か。
その是非をカノンに問おうとしていた所に、扉を叩く音が響いた。
返事をしても開かないので、セリアが俺達を手で制して扉を開け、客人を招き入れた。
「ご歓談中失礼します」
言って入って来たのは、村長とハジメだった。
席を勧めようにも、中央に小さなカーペットが敷かれているだけの部屋だ。
既に、満員御礼と言える。
詰めれば座れない事も無いけれど、体育座りか正座が強制になる。
しかも対して親しくもない、今日会ったばかりのヒト達と、超至近距離で、肩をぶつけながらお話をするというのはいかがなものかと思う。
だからといって、立たせたままというのもなぁ……
村長は東西賢者の存在を認識していたから、瑞基は言わずもがな、カノンも偉いヒトだと知っている。
オプスクリス開拓村の次期村長であるセリアは、立ったままだ。
となると、この中でもう一人立つのであれば、位が一番低い俺だろう。
「いやいやいやいやいやいや!
立たんといてください!」
……今、何回「イヤ」って言った?
そんな固辞をされては、座る他ない。
呆気に取られながら、浮かしかけた腰を再び落とす。
何か他に敷物でもあるのかと思ったが、特に何も持っていない。
直接地面に座ったら、腰が冷えてしまうよな。
女の子を立たせたままなのもいけないと、村長が進言をしたため、セリアも再び先程の位置に座った。
……もしかして、俺の事も女と間違えていたりするのだろうか。
確かにオプスクリス開拓村よりも狩りが盛んなのか、この村の人達は屈強な肉体のヒトが、男女問わず多かった。
カノンは顔付きも身体付きも男にしか見えないけれど、俺は背が高めの女性に見えなくもない。
勘違いされていたら嫌だなぁ。
地面に直接座った二人は、不躾な態度を取った事の謝罪と、トシキを助けてくれた事のお礼を改めて言われた。
また村長は自分が村の案内を出来なかった事も詫びてきた。
カノンと二人でいえいえと適当に返事をし、瑞基の方にチラチラと視線を送りながら、ソワソワと落ち着きがない様子の村長に、本題にサッサと入るように促した。
青年達の前では、偉そうにドシッと構えていたのに。
身内の歳上女性の前で弱くなるのは、どこの世界でも同じか。
「えぇと……
もし違ってたら、大変申し訳ないんですが……」
東の賢者や精霊の使者に対して、何かお願い事があるのかと思ったのだけれど、そうではないのか。
何かの確認を取りたいらしい。
シドロモドロと指遊びをするだけで、一向に話し出そうとしないので首を傾げたタイミングで、痺れを切らしたハジメが村長の代わりに口を開いた。
「使者様って、魔王だったりする!?」
っゴン!
衝撃的な言葉に傾けた首ごとバランスを崩して、身体がそのまま横へ倒れてしまった。
そのせいで、カノンの肩当てに側頭部がメリ込んだ。
とても痛い。
痛む頭をそのままに、正面に座っている瑞基を睨みつければ、大海原を泳ぐかの如く、目が右へ左へ忙しなく動いている。
……絶対ェ、村長とハジメにも布教活動していやがったな、コイツ。
どうしよう。
肯定するか、誤魔化すか。
寄りかかった肩越しにカノンに視線で問えば、そのまま目線は瑞基へと向けられた。
イヤ、瑞基に任せたらアカンて。
当たり前のように「よく気付きましたね!」と目をキラッキラさせて二人を誉めちぎっている。
……どう収集を付ければ良いのだろうか、この状況。
頭を抱えたくなるが、やろうと思えば闇の精霊の術で記憶操作が出来るんだよな。
面倒臭い事になる位なら、パッと消してしまおうか。
しかし俺の思考がウッカリ漏れていたのか、カノンに「辞めろ」と止められてしまった。
側頭部に出来たタンコブを治しながら、「闇の精霊様の術は、副作用がある可能性を否定出来ない。だから、極力使うな」と俺にだけ聞こえる囁き声で告げられた。
特に自覚は無いのだが……
闇の精霊の術の特徴を挙げるとすれば、効果の割に霊力を使うよねって事くらいじゃなかろうか。
副作用的なものなんて、あったっけ?
「自覚が無いのか……」そう呟いたカノンは、コレ以上の言及はしないつもりらしく、ムッツリと黙ってしまった。
村長とハジメという第三者がいる中では、瑞基とセリアを同行させるか否かの話し合いは出来ないものね。
基本的にコミュ障な彼は、事態の収集を丸投げした。
「バッチャンの描いた絵姿まんまだもんな!
こんなヤツ本当にいるかよとか思ってた。
妄想じゃなかったんだな〜」
俺とカノンがヒソヒソ話をしている間に、瑞基がまたテンションアゲアゲで熱弁をしている。
ソレを受けて、、ケタケタ笑いながらハジメが何か気になるワードを口にした。
「……ちょっと待って。
ナニ、絵姿って」
「布教活動の一環です!」
なんと瑞基は俺がいないのを良い事に、ナマモノ――実在創作活動をしていたらしい。
カノン以上に長生きをしている上、子育てとも縁遠くなり、村の拡充や引越しをする時以外は時間を持て余しているからって、やって良い事と悪い事の区別も付かないのか!?
確かに生身の生きている人間も故人も‘’著作物‘’ではないから、二次創作には該当しないし、写真を使っていなければ不服申し立ても出来ないけれど。
そもそも、著作権法自体がこの世界には無いし。
「俺をモデルにした作品は全て廃棄しなさい」と命令をした所で、「似ていると思う人もいるかもしれなけれども私の妄想の産物です!」と断言されては、俺には彼女の作品の数々を燃やす権利は無い。
ツッコミ所は山のようにあったとしても、瑞基はその命令に従わねばならない理由が無い。
内容は吐かせた限りでは、文章に起こしていないから小説とは言えないか。
夢物語という名の妄想垂れ流しと、ハジメが言ったようにイラスト創作だそうだ。
「スキル」を使って、わざわざ絵の具まで作って着彩したというのだから、ご苦労な事である。
熱く語られる妄想と、どう考えたって実在しないだろと思わせる美化しまくりに誇張されたように描かれたイラストの数々は、布教の名に相応しく、魔王の話を熱心に聞いてくれた子供達に配って歩いていたそうだ。
村長とハジメも、なんとセリアまで持っていると言う。
セリアの渡されたものは、妄想が爆発し過ぎてバラを咥えたり羽根が生えてたりする、いかにもなイラストで、人間としての原型を留めて居なかったために、俺とイラストの人物が結び付かなかったようだ。
それでも雰囲気は似ているかも?と思ったと言うのだから、瑞基の画力、恐るべし。
ハジメのはそこまでぶっ飛んではいないが、デフォルメされた等身の低いキャラクターで描かれていたために、誇張された特徴が同じだなぁ、程度で済んでいたようだ。
だが、村長が持っていた絵が、見惚れる位に写実的だったそうだ。
在りし日の父親の姿を忘れないためにと、実物に近い絵を描く事に凝っていた時期の作品なのだと、作者から注釈が入れられた。
立体にも手を出していた時期で、村長の部屋には胸像まであるらしい。
……さすがにソレは、ぶっ壊しても良いかな?
罷り間違っても、BL創作なんてしてねぇだろうなと詰め寄れば、先程よりも盛大に目を泳がせて居たので、発見次第、闇に葬ろうと思う。




