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【百万PV感謝!】転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界を制覇する!  作者: なつのさんち
第三十章:ワーク・ライフ・インテグレーション

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三世代で入浴

 仏間での報告が終わった後、伊吹は伊織(いおり)を連れてVividColors本社ビル内を見せて回った。


「このビルは来客用の機能が充実してるんだ」


 伊織のリクエスト通り、伊吹が最初に見せたのは(しょう)の塔のマジックミラールームだ。

 今後も賢章(けんしょう)が使う可能性があるので、ベッドは出されたままだ。


 その他、電車の車両内を再現した部屋や、回転する丸いベッドが置かれた部屋などを案内される伊織。


「まんま風俗店じゃねぇか!

 来客用ってメインで使うのお前だけだろ……」


「今後はどうか分からんけどな」


 伊吹のヤリ部屋を離れた後、伊織は皇太子としての立場から気軽に行く事の出来ないレジャー施設に触れる事が出来た。

 カラオケルームで月明かりの使者の曲を歌ったり、映画館ミニシアターでライブ映像を鑑賞したり、室内庭園などを見て回るなどした。


 途中で昼時になったので、()の塔に戻り食堂で昼食を摂る事に。


「皇太子って普段何食べるか分からんから、逆に定番メニューを用意するようお願いしておいたんだ。

 カレー牛丼かつ丼ラーメン焼肉あたりならすぐに出せるぞ」


「ぜ、全部食いてぇ……」


「じゃあちょっとずつ持って来てもらうか」


 そう言うだろうと思っていたので、伊吹は侍女に小皿で色んな料理を提供してほしいとお願いしていた。


 伊吹は人の目が少ない方が良いだろうと、食堂内の個室に伊織を案内する。

 伊吹の妻達は、たまには親子水入らずで食事を楽しんでほしいと遠慮したので、この場にはいない。


「うめぇ……、うめぇ……」


「お茶、ここに置いとくぞ。

 ゆっくり食えよ、まだまだあるから」


「おんあおおいっえお……」


「食べながら喋らない」


 伊織は伊吹に世話されつつ、涙を浮かべながら次々に小皿を平らげていく。

 その様子を、伊織の侍女達が目を丸くして見つめていた。



「やべぇ、食い過ぎた……」


 伊織が腹を抑えて苦しそうにしている。


「ちょっと横になるか? 時間があればだけど」


「今日は一日何の予定も入れていないから、ゆっくりさせてもらうつもりだ」


 伊織は藍吹伊通(あぶいどお)り一丁目に来る為に、昨日と一昨日に皇宮内で出来る公務を前倒しで終わらせていた。


「それなら風呂入りに行くか? 背中流してやるよ」


「お、いいな。

 着替えとかって用意してあるか?」


 伊吹より、時間に余裕があれば大浴場に案内したいとあらかじめ打診されていたので、伊織の侍女達はしっかりと伊織の着替えを用意して来ているので、侍女達は伊織に対して頷いて答えた。


咲哉(さや)伊月(いづき)が起きてたら一緒に入れてやろうかな」


「え? 俺、赤ちゃんを風呂に入れてやった経験がないんだが……」


「侍女さんに手伝ってもらえば良いよ」


 しかし、伊吹のこの発言についてはあらかじめ聞かされていた内容ではなかった。

 伊織の侍女達に緊張が走る。


「誰か、生後半年未満の男性様の入浴のお世話をした事のある者は?」

「おりません……」

「このままでは三ノ宮家(さんのみやけ)の侍女にお任せする事になります」

「殿下のお身体を第三者へ晒す訳には……」

「……伊月様のご入浴をお断りするしかないのでは?」


 伊織の侍女の中に、男児の新生児を世話するに値する資格を有している者がいなかったのだ。


 目に見えて狼狽し、コソコソと相談している伊織の侍女達を見かねて、伊吹が声を掛ける。


「咲哉も伊月も僕が洗うから大丈夫ですよ」


「で、ですが、それであれば我らが伊吹殿下のお身体を目にしてしまう事になるのですが、よろしいのですか?」


「僕は気にしません」


 伊吹が当初、一ノ宮家(いちのみやけ)の侍女達に伝えていたのは、伊吹と伊織の二人で入浴する可能性があるというものだった。

 男性様とはいえ、伊織が自身の身体を洗えるのを知っている侍女達は、自分達が入浴の世話をする必要がないものとして考えていた。


 しかし、咲哉と伊月も一緒に入浴させるつもりであり、伊吹が侍女にその手伝いをさせるつもりだと聞いて、伊織の侍女達が混乱してしまう。


 男性様の裸を目にするのは、その男性様の妻か愛人、そしてお付きの侍女に限られるはずである。

 今をときめく三ノ宮伊吹が、副社長が、慈音(じおん)様が、他家の侍女に裸を見られても気にしない、だと……!?

 伊織の侍女達にはそのような雰囲気が漂っている。


 一方、伊吹からすると、別に女性に見られて困るような体型でもなく、また、伊織の侍女達は年齢が比較的少しだけ高めのお姉様達なので、伊吹自身が変な気を起こす事はないだろうと確信していた。


 結局、伊織の侍女達は伊吹の侍女、美子(よしこ)から問題ないとお墨付きを得て、伊吹と伊織の入浴に付き添う事となった。

 ちょうど良い事に、咲哉と伊月はお昼寝から目を覚ましたところで、とても機嫌が良いらしい。


 こうして、三世代での入浴が実現する事となった。



「こうやって腹に座らせて、首と背中を太ももで支えてやると安定するんだ」


「慣れたもんだなぁ、伊月が全く嫌がってない」


「首の皺に汗とか埃とかが溜まるんだ」


 伊吹が手早く咲哉を洗っていく。

 浴室内は暖房で温められており、秋が深まって来た今の季節でも寒さを感じる事はない。


 伊月は掛け湯をされた後、伊織に抱かれて湯船に浸かっている。


「あぁ~」


 手を動かすとお湯がパシャパシャと鳴るのが楽しいらしい。


「何と尊い……」

「天国ってこういうところなのかしら」

「もう何も思い残す事はありません」

「クラクラして来ました……」

「ただの湯あたりでは?」


 伊織の侍女達は、三ノ宮家の侍女達から浴室用エプロンを借りて、浴室の隅で四人の様子を見守っている。

 伊吹が手を借りたいと声を掛けるまで、待機するように言われている。


「本当は美紅(みく)雪橘(せっか)咲智(さち)も一緒に入れれば良かったんだけど、うちの妻達を一緒に入浴させる訳にはいかないからな。

 よし、お姉ちゃんはキレイになったから次は伊月なぁー」


 伊吹は待機している伊織の侍女に咲哉を預け、湯船にいる伊織の腕から伊月を抱き上げる。

 そして、伊織の侍女が伊織の腕へと咲哉を預けた。


 伊吹は普段から、タイミングが合う限りは子供達と一緒に風呂に入るようにしている。

 本来であれば咲哉と伊月の侍女が二人の世話をするところだが、伊吹の第三夫人である橘香(きっか)と第四夫人である美哉(みや)は、国家認定特級侍女師の資格を持っている。

 美哉と橘香がいる以上、咲哉と伊月の侍女が自分の役割であると主張する事は出来ない。


「何と言うか……、ただの大家族みたいだな」


 伊織は前世でたまに見た、大家族の生活に密着した特番を思い出した。


「ん? その通りだぞ。

 伊穂は難しいにしても、前世の記憶がある俺とお父様はただの大家族だって顔で生活しないと。

 皇族ってのがちょっと引っ掛かるかも知れんが、男だってだけで偉くて敬われて当然みたいな風潮は出来るだけなくして行きたいと思ってる。

 そうじゃないと、いつまで経っても男女比率は埋まらん」


 希少だからと男性が大事にされれば、その分女性と出会う機会が減ってしまう。

 伊吹は出来るだけ早く、男女比が一対一に近付くようになれば良いと思っている。

 でないと、自分の娘達が地獄のような日々を送らなければならないからだ。


「……なるほどな、そんな事を考えてたのか」


「当たり前だろ? 俺達が前世の記憶を持ったまま生まれたのは、この歪な世界をどうにかする為じゃないのか?

 まぁ知らんけど」


「知らんのかい。

 でもまぁ、そうなのかも知れんな」


 伊織は程よく桜色になっている咲哉の頬を撫でた。


「だから、祐子様との子供が生まれたら、お父様が洗ってやるんだぞ」


「………………善処する」

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