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【百万PV感謝!】転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界を制覇する!  作者: なつのさんち
第二十八章:お忍び旅行

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お忍び旅行のお誘い(非公式)

 スタジアムでの騒動があった翌朝。

 温泉旅館に泊まったものの、摩耶(まや)は温泉には浸かれないまま朝を迎えた。

 アルティアン王国には日本から入浴文化が伝わっており、代わりにアルティアン王国から日本へサウナ文化が伝えられている。

 摩耶もお湯に浸かるのが好きで、王宮内にある大浴場で家族と入る風呂が好きだった。


 そんな風呂好きの摩耶だが、 アルティアンの王宮からひっきりなしに現状報告と今後の方針に対する微修正指示が入っており、入浴時間どころか睡眠さえまともに取れていない。

 自分を次期女王へと推す勢力の鎮静化、日本政府への謝罪、世界各国へ向けての釈明などの対応について、問題は山積みになっている。


 王宮からの報告は精査して改めて報告するから休んでほしいと侍女から申し出てがあったのだが、摩耶自身が落ち着かず、精神的に休める状態ではないからと断っていたのだ。

 それに合わせて、姉である(りつ)から命じられた、早く伊吹との子供を身籠れという言葉が摩耶の心を激しく揺さぶっている。


「結局どうしたら良いのかしら……」


 律からは身籠るまで帰国するなと言われたものの、王宮内での話し合いの中で摩耶の早急な帰国を求める声もあり、アルティアン王国として非常に難しい判断を迫られている。


「王太女殿下が駐日大使に対して、日本政府に今後の対応についてお伺いを立てるようにと指示を出しておられます。

 もう間もなく大使が返答を受け取るかと」


 伊吹が両国の間に亀裂は生じていないという振る舞いをしてはいたが、それとは別に、日本政府が裏でどのような事を求めて来るかが読めていない。

 むしろ、アルティアン王国としては伊吹のお陰で全面的に助かっているのだから、謝礼であれ賠償金であれ、アルティアン側から申し出て支払う必要があるという話も出ている。


「お金で解決しようとする方が失礼に当たるような気もするけれど……」


「ええっ!?」


 摩耶が睡眠不足で痛み出した頭に手を当てていると、侍女の一人が突然叫び声を上げた。


「何事ですか!?」


「す、すみません! これをお読み下さい」


 叱られた侍女が先輩侍女へとノートパソコンを見せる。

 そして、先輩侍女も思わず叫び声を上げそうになり、咄嗟に口を押さえた。


「どうしたの?」


「殿下、伊吹殿下がお見えになります」


「え……?」


 侍女が何を言っているのか分からず、摩耶が首を傾げる。


「ですから、間もなく伊吹殿下がマヤ殿下をお忍び旅行へお誘いに来られるとの事です!

 今すぐにご準備を致しませんと!!」


「今すぐにと言っても、東京からここまで移動するのに四時間近く掛かるでしょう?」


「ですから四時間以上前に出発されているという事です!!」


「え……?」





 伊吹は燈子(とうこ)と一緒に生配信でフットボールの親善試合を応援しつつ、裏で智紗世(ちさよ)紫乃(しの)達が首相官邸や皇宮とやり取りをして、逐一伊吹へと状況を伝えていた。

 日本政府としては大会で勝手な事をされたという事以外で目立った実害があった訳ではないので、アルティアン王国からの謝罪があれば形式上は水に流す事を決めていた。


 それとは別に、伊吹はアルティアン王国内の第二王女派を刺激したのが例の華僑であるとすでに突き止めており、首相官邸へと報告を上げていた。

 アルティアン王国政府にどれだけ華僑の息の掛かった人物がいるか不明である為、日本の動きを悟られないようアルティアン王国政府にも詳細を知らせないまま、今後の対応について話し合っていた。


「アルティアン王国との友好にヒビを入れようというのが目的なんだから、今回の件でより絆が強固になったと示せば良いんじゃない?」


 という伊吹の一声で、翌日の伊吹と摩耶の予定が決まった。

 仲睦まじくお忍び旅行をしている二人を、日本の報道機関に撮らせて世界へ向けて報道させる。

 これ以上の手はないだろうと伊吹が主張したが、首相官邸は難色を示した。


「街中での警備計画が全くない状態では容認出来ないと言っておられます。

 ご主人様はもちろん、他国の王族をお守りする準備には最低でも二週間は掛かると思われます」


 智紗世も伊吹の案には反対であるので、伊吹に対してどうすれば実現出来るかについて提案を出さないでいる。


「僕達が絶対に危害を加えられないよう警備計画を立案してくれる存在がいると思うんだけど」


「確かに、治様が未来の出来事を元に各員へと指示を出されれば、ご主人様はご無事に過ごせるのでしょう。

 ですが、私の中で完全に理解出来ていない以上、どうしても不安になるのです……」


 伊吹は智紗世を抱き寄せて、背中をポンポンと撫でる。


「大丈夫、僕の身には何も起こらないよ」


 治が立案した警備計画を智紗世から首相官邸へ提出され、それを元に伊吹と摩耶のお忍び旅行が決定された。



 そんなやり取りをした翌朝早く、伊吹は教子(のりこ)(つかさ)、智紗世と紫乃(しの)美子(よしこ)がヘリで空港へと向かい、飛行機で関西へと移動。

 さらにヘリで摩耶が泊っている旅館の近くのヘリポートまで移動。そこから車に乗って、温泉旅館へ到着した。


『親父殿、摩耶お母様は徹夜していて、風呂にも入っていない状態だ。

 親父殿と会う事を拒まれるだろう』


 試作された骨伝導型のイヤホンから、治が伊吹へ報告する。


「なら僕も摩耶に会う前に朝風呂に入って身を清めるとしようかな」

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