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【百万PV感謝!】転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界を制覇する!  作者: なつのさんち
第二十七章:第二王女襲来!

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騒動後の姉妹

 大日本皇国代表対アルティアン王国代表のフットボール親善試合は、九十分の試合を終えて二対二の同点となった。

 十五分の延長戦を二回経て、結局同点のまま計二時間の試合が終了した。


 試合終了の笛が鳴った際、アルティアン代表の選手達はグラウンドに座り込み、まるで首が落とされるのを待つ武士のように見えた。

 日本代表選手はそんなアルティアン代表に手を貸し、立たせて抱き寄せた。

 両代表は死に物狂いで試合に挑み、そして全て出し切ったからこそ生まれた絆や感情がそこにはあったのだろう。


 とはいえ、やってしまった事は重大だ。国家転覆とも取られかねない事態である。

 しかも他国である日本でやってしまい、全世界へ向けて生放送されてしまった。何事もなかった事にする訳にはいかない。


 摩耶(まや)に付いていた駐日アルティアン大使が、控室へと戻って来た選手達を拘束。

 日本政府へ協力依頼を出して、地元警察の手で今回の騒動に関わったサポーター達も拘束した。

 選手もサポーターも、自分がやった事についてよく理解している様子で、抵抗したり逃げ出したり者はいなかった。



 摩耶はスタジアムを離れ、温泉旅館へと移動した。

 今日の為に貸し切りにしてあるのだが、アルティアン代表が拘束され、そのまま本国へと護送する為に空港へと向かっているので、この旅館には摩耶の関係者しかいない。

 

 「それにしても、日本の技術力高過ぎない?」


『そのお陰ですぐに対処出来たのだから、今は感謝するしかないわ。

 いずれ、技術協力を得たいところね』


 現在、摩耶は用意された部屋にて姉である律と通話中だ。

 日本とアルティアンとの時差は六時間で、アルティアンは夕方前である。


「協力して下さるかしら。

 私、伊吹殿下に失礼な態度を取ってしまったから……」


『マヤの事を不快に思っておられるなら、あのような演出や助力をして下さるとは思えないわ』


 伊吹はなぎなみ動画の生配信で、燈子(とうこ)と共に両国の親善試合を見守っている姿を全世界へと披露した。

 その姿は純粋にスポーツ観戦を楽しんでいるように見え、直前の騒動などなかったかのような振る舞いだった。

 その事により、アルティアン王国に向けられる非難の目が幾分か和らいでいる。

 迷惑を被った国の皇族が気にしていないのに、自分達が騒いでも仕方ないと思う者も多いだろう。


 また、そのような伊吹の姿を見て、特定の報道機関が「VividColorsヴィヴィッドカラーズが国家転覆を仕掛けた当事者か!?」や「伊吹親王怒り心頭、両国の国交断絶へ」などという飛ばし記事を連発し、日本とアルティアン王国の両首相に名指しで非難をされる事態も起こっている。


「お姉ちゃん。今から日本に来て、直接殿下に謝らない?」


『そんな事は出来ないわ。

 伊吹殿下とお近付きになるべきなのはマヤでしょう? 私はもうお相手して頂けないわ。

 それに、慈音(じおん)様から愛の歌を贈られていたじゃないの』


 律にからかわれ、摩耶の顔が真っ赤に染まる。

 摩耶はVividColorsがYourTunes(ユアチューンズ)を主な活動場所としていた頃からの視聴者で、副社長も安藤四兄弟もその他の女性配信者も、可能な限り動画や配信を追っていた。


 今回の訪日では、副社長である伊吹と会えるだけに留まらず、子種を分けてもらうという目的を前にして、喜びを通り越してひどく混乱していた。

 その上、姉以上に王太女に相応しいと思われないよう行動しなければならないと考えていたので、子猫としての摩耶と第二王女としての摩耶が脳内で対立した結果、伊吹に対してつれない態度を取ってしまっていたのである。


『だいたいマヤは、自分の気持ちに素直になって良いのよ。

 小さい頃から貴女を見ていたけれど、思っている事がすぐに顔に出て、全く女王向きの性格じゃないのよ。

 最近は無表情を張り付かせて頑張っていたみたいだけど、小鼻をピクピクさせているようではまだまだよ』


「ヒドイ! そこまで言わなくても良いじゃない!!」


『ふふふっ、そこがマヤの良いところなのよね。だから国民からも愛される。

 でも、女王という立場は愛されるだけじゃないもの。時には辛い決断を下さなければならない事もあるわ。

 そんな辛い役目は、貴女には任せられない。姉である私が引き受けるわ』


「お姉ちゃん……」


『貴女が生まれた時に思ったのよ。こんな小さい可愛い子、私が守ってあげなきゃってね。

 マヤが生まれてから変わったわねって、立派になったわねってお母様に褒めてもらったのを覚えているわ。

 まだ三歳だったのに』


 王太女として正式に指名された事で多忙になってしまった律と、より王太女として相応しいと言われて律と距離を取ってしまった摩耶。

 最近はこれほどゆっくりと言葉を交わす機会がなかった。

 しかし、やはり時間は限られている。


『そろそろ時間みたい。国内外への対応について話し合った上で、日本政府とも足並みを揃えなければならないの。時間がいくらあっても足りないわ。

 それに、未だに誰が代表選手達を扇動したのか分かっていないのよ』


「私に出来る事はある? 帰国した方が良い? しない方が良い?」


 摩耶としては、今すぐにでも帰国して、姉や母親の手助けをしたいと思っている。

 しかし、帰国する事で反王太女派が活発になる可能性も考えられるので、先に律の指示を仰がなければならない。


『マヤは当分日本にいて皇宮との橋渡しになってほしいの。

 それと一刻も早く伊吹殿下との御子を授かって。身籠るまで帰って来ちゃダメよ。これは王太女から第二王女への命令だから。

 じゃあよろしくね』


 律は言うべき事だけを言い、そのまま通話を切ってしまった。


「ちょっとお姉ちゃん!? もしもし、もしもーし!?」

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