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【百万PV感謝!】転生したら男性が希少な世界だった:オタク文化で並行世界を制覇する!  作者: なつのさんち
第十六章:VividColors VS Alphadeal

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社長として、妻として、家族として

 藍子(あいこ)の会見中から、ずっとメアリーのスマートフォンは鳴りっぱなしだったが、電話の相手はメアリーが会見に出席しているのを知っているはずなので、当然無視を貫き通した。


 昼半ばから始まった緊急生配信及び記者会見は、十八時頃まで続いた。

 VividColorsヴィヴィッドカラーズとしては質問がなくならない限りは質疑応答を続けるつもりだったので、記者会見後方のスペースに軽食を広げ、報道陣へ振る舞った。

 帰社を急ぐ報道陣に対しては持ち帰り用に詰めたものを手渡し、参加を労った。


「会見の内容自体は全世界に生配信しているのに、何を急いで帰る必要があるんだろうねぇ」


 特に出番のなかった福乃が藍子へそう零す。

 藍子は苦笑いするが、これからテレビや報道の形が変わると言っていた伊吹(いぶき)の未来予想図は、まだ上手く想像出来ていない。


 軽食を摘まんでいる報道陣達を伊吹の侍女達に任せ、藍子と福乃とメアリーは(しょう)ノ塔から(きょく)ノ塔、大会議室の対Alphadeal(アルファディール)参謀本部へと移動する。



「お疲れ様でした、殿下」


 藍子達が大会議室へ戻ると、中にいた関係者達が立ち上がり、頭を下げる。

 宮坂家(みやさかけ)当主の娘ではあるが、それほど身分や立場を気にする生活を送って来なかった藍子にとって、伊吹同様に慣れない扱いである。


「ありがとうございます。

 首尾はどうですか?」


 慣れないが、伊吹と家族の為である。

 自分が第一夫人であり、親王妃であるとしても、橘香(きっか)が大切な家族であり、同じ男性を愛する仲間である事の方が藍子の中ではより大きく心を占める。


「米国を含む各国から外務省へ事実関係の問い合わせが来ていますが、十分な人員を配置しておりましたので問題なく対応出来ております。

 全て事実であると共に、今回の会見についてはあくまで事実の公表のみであり、現在大日本皇国としての対応を協議中であると説明しております。

 また、駐日米国大使がサンダース氏を保護したいと申し出ましたので、お好きにどうぞと宿泊先のホテルを教えておきました」


 藍子に問い掛けられた内閣府事務次官が答えた。


「えっと、まだホテルにいたのですか?」


 藍子はライル達を藍吹伊通(あぶいどお)り一丁目から追い出した時点で、空港へ行きそのまま自家用機で米国へ帰ろうとするだろうと予想していた。


「ええ。

 周辺警備させていた者達からは、執事がサンダース氏に謝るよう促している様子だと報告が上がって来ています。

 サンダース氏は疲労困憊の様子で、とりあえずどこか落ち着ける場所へ行きたいとの事でホテルを取ったようです。

 男性様専用の客室以外は確保出来ず、お付きの女性達のほとんどが、現在も別の宿泊先を探しているようです」


 今日は月曜日であるとはいえ、まだ冬休みシーズンだ。二十人前後の団体が全員分の宿泊先を押さえるのは非常に難しい。

 また、男性専用の客室に入るだけなら全員でも問題ないのだが、個室で多数の女性に囲まれるのを嫌がったライルが、お付きの女性達を追い出したのだ。


「米国はどのような対応に出ると思われますか?」


「伊吹親王妃藍子殿下からの宣戦布告と受け取る、という発言を重く受け止めるならば、今すぐにこちらへ米国大使が来るべきなのですが、サンダース氏の保護に関する事しか言ってきませんでしたので、本国でも意見が割れているのだと思われます。

 そもそも会見を始めたのがワシントンDCの現地時間で午前零時ですから。

 Alphadeal本社と米国政府がどこまで密なやり取りをしているのか甚だ疑問ですね」


 少なくともAlphadeal本社へ事実確認をし、今後の対応をどう考えているかの話し合い程度は行われているはずだが、当事者であるサラがライルによって解雇宣告を受けて行方をくらませている。


 Alphadealの対応に世界中が注目しているが、それまでに何かしらの発表は出せるのだろうかと福乃が笑う。

 ニューヨーク証券取引所が開くまで、あと残り五時間を切っている。


「伊吹様の首尾はどうだろうねぇ」


 福乃が先ほどよりも笑みを深めて呟く。


 緊急生配信に藍子が出演したのは、VividColorsの代表取締役社長であるからだ。

 なおかつ、伊吹の口からAlphadealとのいざこざを公表してしまうと、国民感情の制御が利かなくなる恐れがあると参謀本部から進言されたのもある。


 そしてもう一つ、伊吹は生配信中に伊吹以外には務まらない大事な役割を全うしており、今もなおそれが続いていると思われる。


「……ちょうど伊吹から着信がありました。


 もしもし」


 伊吹から電話を受けて、藍子がスマートフォンを耳に当てる。


「うん、そうなんだ。とりあえず伝えてみるよ。


 もう少し時間が掛かりそうとの事です」


 藍子のスマートフォンからは、女性の掠れた叫び声が漏れ聞こえる。

 

「……本当に時間掛かりそうなのかい?

 もう完全に落ちてるように聞こえるだけどねぇ」


 福乃が目を丸くして呟いた。

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