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末っ子皇女は幸せな結婚がお望みです!  作者: 玉響なつめ
第二十二章 三つ巴ならぬ四つ巴、いや五つ巴?

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「先日は大変ご迷惑をおかけいたしました。聖女様に拝謁できて光栄に存じます」


(ひぃ、ペルティナさんがペルティナさんじゃないみたいだ……!!)


 あの取っ組み合いしていた時の怖い顔していたペルティナさんはどこへ!?


 まるで別人かのように楚々としたその様子に私は思わずゾッとしたけど、なんとか笑顔を浮かべて「ようこそ」って言っておいた。

 

 ちゃんと笑えてたよね?

 頑張って私の淑女教育の成果!!


「皇帝陛下、これは……」


 どういうこと? と問おうとしたら父様が玉座の隣に用意された椅子に座れと示してきた。

 ええ……この状況でそれするう?


「ニア、余は悲しいぞ。いつもの(・・・・)ように父様と呼んでくれんのか?」


「いえ、あの、お客様の前ですし……」


「ああ……気にするな。マルティレスとその弟子がこの城で暮らすことになったからその挨拶に来ただけだ。ニアはこやつらを好きにこき使い、成したいことを成すがいい」


「そうですか、この城で……この城で!?」


 伯父様はともかく、ペルティナさんもってこと!?

 どういうことなんだ、まるでわからないぞう……。


 ペルティナさんはヴァノ聖国で清貧な生活に身を置いて静かに神殿に祈りを捧げることこそ至上、みたいなことを言っていたはずなんだけども。

 

(あれっ、確かに伯父様はこの城で暮らして私の補佐的な何かをしてくださることになっていたしなんだったら確かに伯父様一人だと大変だろうし聖女なんだから司祭が一人ついてるだけってのはおかしいかもしれないけどそれならそれでメディーテー様の神殿から来るのが筋ってもんじゃないのいやまさかと思うけどこれからあと何人か来ますんでよろしくお願いしますってこと?)


 伯父様の弟子って話だったし、それでペルティナさんが選ばれたってことなのか!

 いやいやでも彼女は私に対して思うところが多々あるはずでは?


 聖女のみの座で勝負(?)しない私のことが気に入らないんじゃなかったんじゃないの!?


 混乱する私をよそに、ペルティナさんはとても(・・・)綺麗な笑みを浮かべていらっしゃる。

 逆にそれが怖いんだよなあ!!


「あの……ペルティナさんはそれでいいんですか?」


 嫌味でも何でもなく、聞いてみる。

 すると彼女は私を見てそれはもう、すっごくいい笑顔を浮かべたではないか。


「勿論でございます。聖女様にお仕えできる栄誉を賜りましたこと、真に光栄なことと存じます」


(ええ……本当にどうしちゃったのペルティナさん!!)


 あまりの代わりように私が若干引いていると、ペルティナさんもそれに気づいたのか私に視線を向けたままとろりと恍惚とした表情を浮かべたではないか。

 思わず背筋がぞわっとしてしまった。


「わた――わたしは、これまで神に尽くすことだけが生き甲斐でございました。彼の地で清貧に身を置き、心静かに他者へ教えを説き、神々が残してくださった恩恵に感謝する日々こそが尊いものであるとそう考えておりました。ですが皇女殿下に……いいえ、聖女様に出会えて初めてわたしは神のお言葉を賜ったのです。皇女殿下へのお言葉でございましたが、神が! わたしをお使いに! なられた!!」


 わあ、こわあい。

 いやメディーテー様たちもちょうど信心深い子がいたから私を呼ぶのにちょっと助けてもらおうって思っただけだった……なんてことはどうでもいいんだろうなあ、ペルティナさんにとってみたら。


 でもやっぱり、目をキラキラさせてあの日のことを語り続けるペルティナさんは傍目に見ても。


 こわぁい。

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ペルティナ、ガンギマリ
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