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神槍は転生してもやはり神槍を目指す  作者: Scull
第2章

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第29話 深い闇

夜明け前、まだ暗いうちに目を覚まし、見張りをしていたカルルに合図をする。夜の番は二人の狩人さんとカルル、リーシアとで交代し、ベル師匠とフィルさんには休んでもらっている。二人の魔道が討伐の成否を左右するかもしれないのだから、仕方がない。


二人を起こして静かに身支度を整える。頭部への衝撃は致命傷になり得るので厳重にしたいところだけれど、ベル師匠とフィルさんには鉄笠ではなくて今回はリーシアたちと同じような鉄兜にしてもらっている。

当然、胴鎧、バックラー、短剣も同じで、装備だけなら4人の役割はわからない。


薄闇での身支度は魔道の二人には大変だけど、リーシアたちや猟師の二人には手探りでできること。


薮をこっそりかき分けて、洞穴に近づいていく。


透かしみて確認すれば、篝火はとうに燻り出していて、見張りが寝入っていることがわかる。近づく前に、壁に寄りかかっている見張りを若い方の猟師が射殺す。


寝転がっているともう、数が分からないので、音を立てないように接近していくとイビキが聞こえてきた。さっくり近づき、喉に短刀を押し当てて一気に切り落とす。カルルと二人でこれで3人。周囲を見渡して、他にもいないかを確認しておく。


入り口には二人の猟師にいてもらって、荷物の番と、退路の確保をお願いしておく。場合によってはここを基地にしないといけない。


リーシアを先頭に、フィルさん、ベル師匠、カルルが殿を務める。

松明に火をつけて、洞穴に差し込む。


入り口付近はぼうっと明るくなるけれど、奥の方はやはりくらい。小柄なゴブリンたちが住み着くだけあって、天井は低い。体をかがめずになんとか立ち入れるぐらい。これで剣を振るったり、槍を使うのは無理だ。


「かがむ必要はない。足元は滑りやすそうだから気をつけて」


即応性を考えて、松明は右手に持っておく。


平らとはお世辞にも言えない床は濡れて、迂闊に歩くと滑りそうだ。こんなところで暮らすとか、ゴブリンの習性はリーシアには度し難い。


四分の一時ほど坂を下るとごくわずかに幅が広がり、平らになる。


と、壁に何やら飾りがくくりつけられているのが見つかった。

これは何か、表札のようなものだろうか。


「ベル師匠」


「ああ、これはあれだね、ゴブリンがよくやる罠だそうだよ。ゴブリン討伐を成功させたことがある、旅行者から聞いたことがある」


「罠?これを取り外すと毒矢が飛び出てくるとか、そんな」


「くっくっ。そんな複雑な罠、ゴブリンが作れるものか。

「反対側の壁を見てごらんよ、カルル」


「お、こっちに枝道があるぞ」


「そっちの枝道に伏兵がいるのさ。くだんの旅人はその罠にかかって最後尾を後ろから突かれ、窮地に陥ったそうだよ」


「なるほど。それじゃ、そっちの枝道を先に潰しておくべきか」


「枝道も巣穴につながってたら、結局挟み撃ちに合うのは一緒なんじゃないか」っていうのはカルル。


「いっそ、挟み撃ちにあう前提で進んでいったらどうですか?」というのはフィルさん。普段無口な人が発する一言は重く感じる。


「カルル?」


「俺は構わない。肚をくくるだけだ」


「決まりだね」


よし。


「多分、前から仕掛けてきた時に折りを測ってくると思う。だからカルル、私が多少窮地に陥っても、ベル師匠の盾になることを忘れないで」


「よし」


じゃ、と、さらに奥に進む。

先ほどのような枝道が他にもあると困るので松明を隅々に当てるように探っていけば、なんと岩陰に隠れている個体を見つける。

なんだこいつ。一旦やり過ごしてから後ろを狙おうとしているのか。


それにしても危機感への感度が鈍くないか。まだ見つかってないとでも思ってるのか。

松明を左手に持ち替え、開いた右手で短剣を抜き、背中を向けたままじっとうずくまっているゴブリンの首をひと突きする。狙えるのなら素っ首を落とせば警戒させられない。暴れてしまって抜けなくなる前に剣を引き、切先が骨に挟まれたりしないようにする。


剣を鞘に収める際には、血糊が乾いて鞘に張り付いて抜けなくなったりしないよう、刃はきちんと拭っておく。決して適当に振るっておくだけで納剣してはいけない。


と、行手の闇から複数の叫びが聞こえた。


「来る」と、松明とバックラーを前に構えた。

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