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Kiss of Witch  作者: かなみち のに
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入れ替わり立ち代わり、1人ずつショートコントを見せられているようだ。

白昼夢か、それとも魔女の魔法かと本気で考えた。

その都度机の上に一つずつ包みが増えていくので現実なのだと判る。

全員が終わったと思ったら

友維に付いてきた2人の女子が

「あ、お兄さんこれついでなんですけど。」

と小さな包みをくれた。

ああ、ありがとう。ちょっと待って。

2人にお菓子を渡した。

「いいんですか?」

うん。たくさんあるから。

「あ、ありがとうこざいます。」

2人は廊下に出て友維に報告している。

「ああっそれ。スゲェ旨いよ。ちっょと私も貰ってくる。」

お前昨日食べたろ。

「ええっもう無いの?」

あるよ。ほら。

「あるならとっとと寄越せよな。」

なんだと。

友維と入れ替わるように皆が教室に入ってきた。

「どうだった?誰の渡し方にキュンと来た?」

ショートコントの得点付けた方が良かったの?

「ショートコントって何だ。」

そんな事より僕からも渡したいんだけど。

「そんな事って。」

「まあまあ。コレね。魔女殺しの和菓子。」

ナニソレやめてそんなの。

保冷バッグからラップに包んだ練り切りを取り出して

委員長にもと彼女の席に呼びに行った。

「あ、昨日騒ぎになった元ね?」

うっ。そうです。

「理緒君お菓子とか作るんだ。」

彼女はいつからか当然のように僕を名前で呼ぶようになった。

クラスの男子からの反感はそれだけでも恐ろしいのに。

(1日遅い)バレンタインに贈り物をいただくなんて命知らず。

小さい頃は祖母と一緒にいろいろと作ったんだよ。

「あーでも今食べるの勿体無いなー。」

「家に帰ってご飯食べてお風呂も済ませた後で部屋で一人ゆっくり落ち着いてから食べたいわ。」

いやいやそこまで御大層な代物じゃないから。

じゃあ今一つ食べてよ。まだ数はあるから放課後もう一つ渡すよ。

「え?いいの?」

皆には内緒でね。折角だから今は皆と一緒に食べてよ。

委員長を自分の席に呼んで、全員に配る。

「じゃあ。いただきます。」

パクリ。もぐもぐ

「んーっんーっ。」

「見て、見て、甘くて美味しくて鳥肌立った。ナニコレ。理緒君何者なの?」

グレタはどうだろうか。元々彼女のために作ったようなお菓子だ。

「はわー。ナニコレ。ちょっとアンタ何者なのよ。」

藍さん食べないと思ったら写真撮ってる。

「ああ食欲に負けて撮り忘れたわ。データあとで頂戴。」

その藍さんが食べると文句を付けた。

「んふっ。何やってるんですか。」

何って。

「こんな美味しいの作ったら私達の立つ瀬が無くなるでしょ。ホントに女心踏みにじるの上手ですよね。」

「んーんーっ」

パンパンと

蓮さんは頬張りながら僕の腕を叩く。

「ホントに桃入れてるのね。あとでレシピ教えてくれる?」

カナさんは結構真剣に聞いて来るがそんなに大した事はしていない。

「本当に。私達はお前が何者なのか実は判ってないんだな。」

桃さんがしみじみと言って皆で笑った。

昼休み。職員室で碓氷先生にお菓子を渡した。

帰って食べるなら冷蔵庫に入れておいてください。

「今食べたらダメなんか?」

お昼あるでしょ。それに利根先生の分もあるから。一緒にと思って。

「まあそうか。我慢できるかな。」

(翌朝、HR前に僕の顔を見るなり

 「お前何者なんだよって、ヨ、利根先生も言ってたぞ。」と喜んでくれた。)

帰宅後、広間に集まって皆の収穫したチョコやら何やらを広げた。

僕が皆から貰ったそれらより遥に多いのはどうなんだろうか。

「交換会だからね。」

「理緒はこいつら以外からは貰ったのか?」

ありません。あ、友維のクラスメイトから貰いましたよ。2つも。

あと佳純ちゃんからも(桃さんが預かっていた)。

「自慢するなよ悲しいから。」

「何でよ。いいのよ貰わなくて。と言うか充分でしょこれだけ貰えれば。」

高校生になるまで貰った事なんて無かったからね。うれ

「悲しい奴じゃないか。」

「ただこれ少しずつ食べるにしても多過ぎよね。」

「太る。な。」

「吹き出物とか心配。」

「小室んとこ持って行けよ。」

「絢さん?どうして?」

「あいつ高校生の時凄かったんだよ。段ボール箱2つ3つあった。」

段ボール箱?ナニソレ業者?

「あいつモテモテだったからな。」

「あー判るような気がする。女子からモテそう。」

「受け取ったチョコやら何やら道場の子供達に配ってたんだとよ。」

「そうね。中身確認して美味しそうなモノだけいただいてそうしましょうか。」

「まあ私達の中だけでも被っているのありそうですしね。」

「そんな事よりさ、ホレ兄ちゃん。皆の食べ比べして順位付けろよ。」

なんでそんな命知らずの事を。

「いや、やめて。順位はダメ。」

「そうですよ。それに大体一位はもう決まっていますから。」

「そうなの?」

「この人が自分で作ったお菓子ですよ。あんなもん作られたら勝てるワケないでしょ。」


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