召喚3
「勇者様も聖女様もお疲れの御様子。まずはお休みください。」
結局、俺達はそんな言葉によって、石畳の部屋を離れ、ホテルのスイートルームなんかを思わせる豪勢な部屋に連れられた。(なんとメイドさんに案内してもらった。)
窓から外を眺めると中庭と頑丈な壁が見える。
どうやら豪邸というよりかは城と言った感じの場所らしい。
「とりあえず、親切そうな人達で良かったね。」
状況はわからないが、あの人達の口ぶり、敬礼した兵士、メイドたちのかしこまった態度から判断すると、俺達はVIPな待遇のようだ。
さっきまでの取り乱し様が嘘のようにソファで考え込む矢那さんに声をかける。
「真田君…。よく聞いて。」
矢那さんがこちらを見る。そのきれいな目にドキドキする。
「ここは異世界よ。私達はさっきの人達によって召喚されたの。」
まるで冗談みたいなことを矢那さんは真剣そのもののな表情で言ってくる。
しかし…、まぁ、そう判断するのが妥当という気はする。
未だに壮大な誘拐やドッキリという可能性は否定できないが、ただの高校生である俺のためにここまでする意味がない。
それならまだ、異世界に召喚されたというファンタジーな解釈のほうが現実味がある。
「そう、みたいだね。なんのつもりで呼び出したのかは知らないけど。」
「それはね、この世界に危機が迫っているからよ。」
答えられるはずのない俺の疑問に、しかし彼女は即答した。
「この世界は、魔物によって滅ぼされかけているのよ。」