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【第4回:環境変化という名の劇薬 — 「念のための入院」が招いたシステム崩壊】

2019年8月。猛暑のなか、父が熱中症で救急搬送された。

当時の父は、耳がほとんど聞こえないというハードウェア上の不具合はあったものの、認知機能はほぼ正常だった。病院で点滴を受け、症状は落ち着いたのだが、医師からこう告げられた。


「高齢ですし、念のため数日入院して様子を見ましょう」


この「念のため」という親切な提案が、父の人生、そして私の介護生活を大きく変えることになる。


1. 夏と冬に潜む、高齢者の「温度センサー」異常

高齢になると、暑さや寒さを感じる「センサー」が鈍くなる。

クーラーを嫌い、灼熱の部屋で過ごす父。そして冬には、前回書いたように暖房なしの部屋で凍える父。室温管理という自動制御ができなくなった実家は、常に生命維持のリスクを抱えていた。その結果としての熱中症だった。


2. 入院が引き起こした「OS(精神)のクラッシュ」

熱中症という一時的なエラーを直すための入院。だが、病院という「極度に制限された環境」は、健康な高齢者の精神を容赦なく削った。


情報の遮断: 耳が聞こえない父にとって、病院は無音の檻だった。


刺激の消失: 慣れ親しんだ自宅、テレビ、家族との会話。それらが失われ、寝たきりの時間が続く。


数日後、迎えに行ったとき、そこにいたのは「耳の悪い父」ではなく、「表情を失い、意味不明な言動を繰り返す、完全に認知症が進行した父」だった。


3. 「体は健康、心は崩壊」というデッドロック

点滴のおかげで、父の身体機能ハードウェアは回復した。しかし、精神(OS)は病院環境という劇薬によって致命的なバグを引き起こし、二度と元のバージョンには戻らなかった。

「身体は元気なのに、精神がどうしようもなくなってしまった」

このアンバランスは、在宅介護の難易度を跳ね上げた。自宅という自由すぎる環境では、もはや父の安全を担保できなくなったのだ。


4. 【提言】「念のための入院」には高いコストが伴う

医師や家族が良かれと思って選択する「様子見の入院」。だが、環境の変化に弱い高齢者にとって、それは認知機能のクリフになり得る。

入院させるなら、リハビリや刺激の確保がセットでなければならない。さもなければ、治そうとした病気以上に重い「認知症」というバグを背負うことになる。


この「入院インシデント」を経て、私はついに父の施設入所という最終決断を下すことになる。


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本作はXでの投稿を再構成したアーカイブですが、Xでは『今この瞬間』の気づきや、VR空間での試行錯誤をダイレクトに綴っています。ぜひ覗いてみてください。

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