【第3回:認証エラーと安全保障の崩壊 — 警察からの電話】
2019年7月のある夜、一本の電話が私の元に入った。警察からだった。
「お母様より『知らない男の人が隣で寝ている』と110番通報があったため、警察官が現地に駆けつけています。本人確認のため、すぐに来てほしい」
深夜、必死で車を走らせて実家へ向かった。警察の方に挨拶して奥を確認すると……そこには、ただ静かに眠る父がいた。
それは、家族という最小単位のシステムにおいて、最も残酷な「認証エラー」の発生だった。
1. 繰り返される「110番」と認証拒否
母にとって、数十年連れ添ったはずの父が「不審な侵入者」に書き換わってしまった。
一度エラーが起きると、いくら説明しても解決しない。11月にはさらに頻度が上がり、ついには警察から「事件になる可能性がある」と警告を受ける事態になった。
母の枕元で見つかったのは、護身用の包丁。
母は恐怖から自分を守ろうとし、父はわけも分からず家から締め出される。愛し合っていたはずの二人の間に、殺伐とした殺意と恐怖が入り込んでしまった。
2. 冬の締め出しと、生命維持の限界
2019年12月の寒い朝、実家に着くと、父がソファで暖房も布団もなしに横たわっていた。母に締め出され、一晩中凍えていたのだ。
呼びかけても反応が鈍く、痙攣のような動きを見せる。私は「このままでは父が死んでしまう」と、冷え切った父の体を見て震えが止まらなかった。
これまでは「通い」でなんとかシステムを維持(保守運用)できると考えていたが、それは私の傲慢だった。
「物理的な距離がある状態では、このシステムの安全性は担保できない」
24時間の監視体制へ移行しなければ、最悪の結末を招く。これが、父の施設入所を本気で決断した瞬間だった。
3. 物理メンテナンスの泥沼(屋根、庭、そして重要書類)
この間も、並行して実家の物理的な崩壊は進んでいた。
屋根の修理見積、庭の手入れ、そして紛失した「実印」や「登記簿」のサルベージ。有給を使い、平日に遠方から通って一つずつパッチを当てていくが、システム全体が崩壊するスピードの方が速い。
「実家の片付け」とは、単にゴミを捨てることではない。「親が安全に暮らす権利」を、壊れていく環境から救い出す戦いなのだ。
4. 【提言】「限界」のサインを見逃さない
親が警察に通報する、包丁を持ち出す、あるいは生命の危険を感じる。
それは、家族というプロジェクトが「個人の努力」というフェーズを終えたサインだ。
「まだ家で見れる」という思い込みは、時に最悪のバグを招く。
私にとっての施設入所という選択は、親を捨てることではなく、「二人の生命と尊厳を、壊れたシステムから救い出すための緊急避難」だった。
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