【第10回:システム停止(シャットダウン)の儀法 — 父の他界、そして一人で完遂した「見送り」】
1. 2024年9月10日 14時17分:突然のシャットダウン
グループホームで穏やかに過ごしていた父に異変が起きたのは、9月の初めでした。数日前から高熱が続き、わずか3日後、父は静かにその生涯を閉じました。
他界する前夜、施設から「危ない」との連絡を受け、私は夜中に母を連れて面会に向かいました。認知症を患う母にとって、コロナ禍以降、これが最初で最後の面会となりました。あの時、母が父の手を握り、何を感じていたのか。言葉にはならない、家族の「最後の一時」でした。
2. 一人っ子・長男として挑んだ「クローズ作業」
私は一人っ子であり、長男です。親戚も近くにはおらず、喪主として全てのプロセスを一人で判断し、完遂しなければなりませんでした。
「小さな家族葬」での見送り: 葬儀は家族だけで静かに送る形を選びました。幸い、業者の対応が非常に親切で分かりやすく、未経験の私でも迷わずに進めることができました。
手続きの切り分けと実行: * 年金: 年金事務所へ必要書類を持参したところ、窓口の方が非常に手際よく対応してくれました。
相続: 実家や預貯金の相続については、専門的な知識が必要でリスクも高いため、行政書士の方へ依頼しました。
樹木葬という「未来の選択」: 私は「人は自然に還るのが一番」と考え、実家から近く、いつか自分自身が埋葬されるとしても良いと思える、公園のような「樹木葬」の霊園を選びました。
契約前には母を現地へ連れて行き、「いいところね」と了承を得てから手続きをしました。ここは二人用の区画で、将来は母も父と一緒に入れるようになっています。不思議なことに、認知症の母は納骨の際やお墓参りの時、ここを自分が選んだことをしっかりと覚えていました。どんな状況でも「本人の確認」を積み重ねる大切さを、改めて実感した出来事でした。
そこは春には桜が舞い、季節ごとにバラが咲き誇り、芝生の向こうに大阪を一望できる明るい場所です。霊園というよりは自然公園のようなその景色が、今の私たちの心を救ってくれています。
3. 「間に合わなかった」というエラーログを抱えて
第8回で触れたVR(仮想現実)という解放。父が他界した今、私の中には一つの大きなエラーログが残っています。「もし、もっと早くこの技術を社会実装できていたら、寝たきりだった父に、もう一度、外の世界を見せてあげられたのではないか」。この悔しさが、現在の私の活動(Cyber Dive Project)の源泉になっています。
4. 悲しみを「仕様」へと変換する
一人で葬儀から納骨までを終えた時、私はようやく「父はもういない」という現実をデバッグ(整理)することができました。すべてを自分の手で選び、やり遂げたという事実は、大きな負担ではありましたが、同時に「父を最後まで守り抜いた」という深い納得感にも繋がりました。
5. 【提言】「初めて」の不安に立ち向かう方へ
人が一人他界するということは、膨大な手続きを伴います。多くの人が「初めて」で不安だと思いますが、今はネットやAIなどの調べる手段に加え、公的なサポートも非常に充実しています。
役所を最大限に活用する: 私の住む市では、市役所に「亡くなった際の手続き」をサポートしてくれる専用の窓口がありました。そこで配布される冊子の通りに順を追って進めることで、滞りなく完了できました。まずは葬儀社や役所の窓口で「次に何をすべきか」を聞いてみてください。皆さん、驚くほど親切に対応してくれます。
※地域や時期によって細かなルールは異なるため、ここでは詳細を省きますが、「まずはプロに聞く」ことが鉄則です。
優先順位を付けて着実に: 年金の手続きや公共料金の支払い口座の変更など、期限が決まっているタスクがあります。感情が追いつかない時こそ、優先順位を決めて一つずつ「完了」させていくことが、結果として自分自身の心を支えることに繋がります。
当時の言葉にできない思いはXに・・・
https://x.com/kazu555777/status/1833494410740568509
最新のVR風景やリアルタイムの活動は、X(@kazu555777)で発信中です。
本作はXでの投稿を再構成したアーカイブですが、Xでは『今この瞬間』の気づきや、VR空間での試行錯誤をダイレクトに綴っています。ぜひ覗いてみてください。




