第七十九幕
お久しぶりです。次回ですが、もしかしたら少し投稿が遅れるかもしれません。ただ、その分、いつもより長いパートになると思います。
次回は、それくらい重要パートだと、思っていただければ幸いです。では、次回もよろしくお願いします!
姫は、扉へと足を運んだ。
「では、アロッサはミーシャ様と共に部屋で待機、私とミリアで姫様の護衛にあたりましょう」
「それなんだけど……」
姫は、扉の前で足を止めると、男の方を振り向き応えた。
「護衛は、ミリアとアロッサにお願いするわ。貴方は部屋の前で待機してなさい」
「私が…… ですか……?」
男は、少し困惑した様子を見せる。
「仕方ないでしょ。部屋の鍵を持ってるのは貴方だけなんだから。それに、貴方じゃなきゃ信用出来ない。いいオルディボ? 誰が来ても、絶対に中へは入れないで。私が戻るまでミーシャ以外の出入りを禁ずるわ」
「なるほど…… 姫様が、そう仰るのでしたら私は構いません。ただ、一つよろしいですか? ミーシャ様。レナード中将の姿が見えませんが、何かご存知ですか? 彼が遅刻をしてくるとは、とても思えませんが……」
「実は、レナード中将には昼まで下の部屋で待機してもらっています。朝は、お姉様達と一緒にいると言いましたら昼まで護衛は必要無いと判断されたみたいで……」
「そうきたか…………」
男は、思わず頭を抱えた。
「分かりました。では、姫様は、二人に任せます。もし何かあれば、どちらか一方が、私に伝えに来ていただければ、すぐに向かいます。……お気を付けて」
男は、そう言うと側にいた姫に代わって、部屋の扉を開けた。
「どうか、皇帝陛下が公務を終えられるまでには、戻って来て下さい。陛下が、居られる前で、あまり勝手に動かれると色々と面倒ですので」
男の問いかけに姫は、不適な笑みを見せた。
「ええ。……"努力するわ"!」
「期待するな」と言う隠語だ。姫の応えに、男はため息を吐いた。
「さて、アロッサ? 行きますよ。部屋の掃除は後です」
「……は、はい!」
二人のメイドは、軽く会釈を済ませると、先に部屋を後にした姫に、続くように颯爽と部屋を後にした。
——
「リアナ!」
二人のメイドが、大門を開くとすぐ、ダイニングルームで一人、席に着く、皇后の姿が目に入る。皇后は、姫の姿を見るや否や、席を立ち、嬉しそうに微笑んだ。
テーブルの上には、既に幾つかの食事が並べられ、その中には、おそらく、ご令嬢の為に支度されたであろう、食器が並べられていた。しかし、よく見れば、皇帝の席には、何一つ食器が存在しなかった。
最初から来る気なんて無かったわけね。お父様にとっては、予定通りの一日。そして、私達にとっても、予定通りの一日……
「おはようございます。お母様」
「ええ。おはようリアナ。もう知っているかも知れませんが、今日は、お父上が公務のため、ここに来られませんので……」
「お母様はッ……」
突如、姫が話を遮る様に応えた。
「お母様は、今日はお暇なのですか?」
突然のことに、皇后は、目を見開いた。
「え…… どうして、そんなことを……」
「いえ、ただ…… 食事の後に、少しだけ時間をいただけないかと思いまして」
「時間ですか…… そうね……」
皇后は、何かを思い詰める様に、じっと考えると、口を開いた。
「もちろん構いませんよ。ただ、それほど長くはとれないと、思いますけど。それでも構いませんか?」
「はい…… もちろんです。お母様!」
姫は、そう応えると満面の笑みで、マカロンを一つとり口に入れた。




