深山からのメッセージと自分のスキル
鍛錬時の深山の言葉通り、夜遅くにメッセージが届いた事を知らせる通知が視界端に浮かび上がる。
ウィンドウを開いて操作し、メッセージ内容を確認する。
そこにはこう記入されていた。
明日の夜、私の部屋へ25時頃来て。
話があるから。
「はぁ?何だ、どういうことなんだ…?」
思わずそう零し、色々な選択肢を消していく。
まずアイツが俺に対して好意を示してくる。
それは無いだろう、まず接点がない。
余程本人が狂ってない限りそれはない。
ともすれば、もちろん今日の昼間のあの様子だろう。
いや、ココ最近ずっと実はそうだったんだろう。
新堂達の異常さ、山瀬の急変。
何か考えがあるのは確かだが、…どういう風の吹き回しなのだか。
今まで向こうからも関わってすら来なかったというのに。
「…」
だが、それを無視する事も出来ないなとどこか思ってしまった。
昼間のあの様子を見て、それを無視しろというのも無理な話ではある。
「行ってみるか…明日の夜中ね」
了解、とだけ打ち込んだ返信のメッセージを送信し、俺はスキルを確認し始めた。
この世界にはスキルという概念がある。
一般的には一人ひとつは保有しており、ただ二つ以上持つパターンはあまりない。
2つ目のスキルはその人特有のモノが多く、ユニークスキルと呼ばれている。
が、ユニークスキルのみを持つ人物もいる。
元々持っているスキルが特殊だとそうなってしまう。
更にスキルというものにはレベルがあり、レベル1から5まである。
5まで行くとマスターしました、という事でマスタースキルへと昇華される。
基本的にマスタースキルとなると、特別称号を取得し、マスタークラスという特別な人材になるとか。
ただし、レベルという概念自体が無い元々の質の高いスキルに限っては例外らしく、それは保有者の強さ(ステータスやレベル)に依存するとのこと。
「マスタークラスねえ」
自分のスキルを見てうーん、と唸る。
まず普通のスキル分類で持っているのが全属性魔術(初級)。
「初級と言っても生活に使える程度っていうのが笑えるよな…」
そう、パッと見凄そうな名前なのに蓋を開けてみたら初心者も初心者、みんなが使える魔術がめちゃくちゃ使えますよみたいなものだった。
だが、スキルはこれだけじゃなかった。
もうひとつスキルを所持している。
それが、ユニークスキル:〈 #再現__リプレイ__#〉
1度見たものを再現する事が可能、というもの。
目の前で行われたスキル等も再現可能になる。
が、全て可能ではなく俺自身のステータスの限界値ギリギリの範囲で行える事のみとなっている。
あとは極端なユニークスキルなどもマネは出来ない。
「俺が英雄スキルを使えるようにする為に、なんだろうな」
王が俺と英雄スキル持ちの新堂を同じ鍛錬にさせている理由は、恐らく俺自身を擬似英雄スキル持ちにさせる為なのだろうと思う。
確かに、このスキルさえあれば再現は可能なのかもしれない。
まだ英雄スキルがどの様なスキルなのかは見た事ないが、恐らくは再現可能だと踏んでのこと。
「良いように扱われてる気がしてならないんだよな…」
内心そう思ってはいるが、俺自身で戦える術が現時点でほぼ無いので大人しく従っている。
…刃向かえばどうなるか分からないし。
「…」
窓の外を眺める。
そこから見える城の外の景色は鬱蒼とした森に囲まれていた。
「ずっとここに居る事になるのかな…」
なんにせよ籠の中の鳥の状態なのでどうにも出来ない。
変な考えを捨ててベッドに潜り込み、明日の鍛錬に備えるのだった。




