生存
赤く燃え黒い煙の柱を立てるザガローナ街をぼーっと眺める。
あの炎の中で今も誰かが生きているのだろうかそれとももう皆死んでしまったのだろうか。
ドローン反応が後ろに出たので振り向くと布団にくるまったまま出てきたレンが立っていた。
その瞳はじーっと俺と同じザガローナ街を見ていたが俺が顔を見ていることに気付くとニコッと笑顔を見せる。
「ドラゴンは見えますか」
「いや、見た感じもう居ないようだ、こっちにも来ていないようだしもう安全だよ」
「・・・・・燃えてますね」
「そうだな」
見れば分かる事をお互いに言葉で確認し合いながらまたザガローナ街を見つめる。
言葉を交わすことなくしばらく居たがレンがおもむろに口を開く。
「私はなにも出来なかった、ご主人様を守るどころかまた助けられました」
「・・・・」
また助ける、とレンは言っているが俺だって一歩間違えれば死んでいたし無我夢中だっただけだ。
もしレンに起こされていなければ今頃あの炎の中で永眠していただろう。
「ただ逃げただけだ何もしていない、街の人達を見捨てて情けなく逃げただけだ。 もう寝よう考えても始まらない」
「私は周りの警戒をしてます」
そう言いながら歩き出したレンの肩を掴んで部屋に連れて行く。
「セントリーを増やしている、お前は・・・俺の抱き枕の刑だ」
「・・・はい、なんなりと」
逃げた罪や助けれなかった事が後悔として頭に響く、その傷をなめ合う様に床に入った。
次の日
俺達は昼過ぎまで屋敷に籠っていたがレンが「街を見に行きましょう」と言い出したのを切っ掛けに俺達は活動を開始した。
街につくとほとんどの家は焼失して街を守る壁も所々が壊れ真っ黒に焦げていた。
崩れた壁から街へ入ると黒い瓦礫の山が見える。
その時ある写真を思い出した。
昔学生の頃図書館で見た写真集、それは第二次世界大戦の写真集や淡路大震災の写真集に乗っている悶え苦しんだ後に黒い炭になり固まっている死体の写真だ。
そんな光景をレンに見せていいのか?しかしモンスターを殺しているくらいだグロには耐性があるんじゃないか?
「まっさらですね・・・・」
「レン、今から行くところにはその・・・人の・・・燃えた死体があるけど大丈夫か?」
ピクッと身体を跳ねさせ数秒固まった。
「大丈夫です見た事はありますし、今はご主人様が一緒に居てくれるので」
すぐにこちらに笑顔を向けてくれる。
見た事あるって?
少し気になったがそれよりも今は焼け野原になった街を歩くことにする。
初めに向かったのは天使の腕があった場所だ、街並みがほとんどなかったが大体の場所につく。
瓦礫を退けて生存者を探すがドロドロの鉄の塊を身に着けた死体などが出てくる、これは恐らく俺たち以外のここに泊まっていた冒険者の死体だろう。
次に向かったのは冒険者ギルドだ、しかし冒険者ギルドは他の場所より特に酷く建物の近くに折り重なるように死体の山が積み重なっていた。
冒険者が集まり集まった冒険者達に助けを求めた姿が容易に想像できる。
「こうなってしまったらもう誰が誰か分からないな」
それから兵士の詰所や市場、水汲み場を回ったが焦げた建物の残骸と死体が転がっているだけだった。
せめて弔ってやりたいがこれだけの数はどうしようもできない。
「ご主人様、どうしますか」
「どうもできないだろう、生存者がいないならここに意味はない帰るぞ」
「はい」
せめて天使の腕の夫婦といつもの職員さんを探したかったが諦めて街を後にした。
街の様子を見てから3日程だった頃街に兵士や隣町から来たであろう人があふれかえり復旧作業が始まった。
屋敷からその光景を見た俺達は街へ戻った。
復旧作業などをしている兵士に話を聞くとドラゴンは山の向こうにある街を焼いた後このザガローナ街を焼いて以降は足取りをつかめていないそうだ。
下手に生存者とばれるとなぜ自分達だけ助かったのかなどと聞かれると思い今この街へ来たと嘘を言う。
兵士に紹介してもらった商人の馬車に乗せてもらって次の街へ行くことになった。
馬車に揺られながら小さくなっていくザガローナ街を眺める。
「よかったのですか?」
「なにが?」
俺の横に座っているレンが俺に質問してくるが俺はザガローナ街から視線を外さずに返事を返す。
「いえ・・・」
「・・・・みんなが死んで俺達だけが生き残っているってのを認めたくないのかもな、それに厄介事も増えるし」
こういう世界だから人の死と言うのはそこらにありふれているのかもしれない、そんな事を考えながらもう見えなくなったザガローナ街の逆の方向を見ると小さく次の街が見えていた.
「ご主人様!街が見えてきましたよ!」
「そうだなぁ」
本当はかなり前から小さく見えていたのだがレンがあえて今言ったのはよく見える様になったからだろう。
双眼鏡を取り出して街の様子を見る、ザガローナ街の城壁は灰色だったが次の街はレンガで作られている様で少し見た目が違った。
壁のせいで街の様子は見れないがレンガの壁からでも時計台が見えた。
「おお、レンガの壁だし時計台があるんだな」
「え!?よく見えますね、どれですか?」
「あれだよあれ」
レンが渋い顔をして目を凝らしながら聞いてくるので俺は双眼鏡を覗いたまま指を指して教えてやると、次は立ち上がり額に手を当てて見だした。
座りながら見ている俺の双眼鏡にはいきなり立ち上がったレンのお尻がうつる。
「おお、意外とでかい!」
「そんなに大きいんですか!?見たいです見えないです!」
身体を揺らしながらたまに低くジャンプするのでお尻がプルプル揺れる。
こりゃけしからん、案外お尻もいいものだな。
「レンのがプルプルと揺れて素晴らしい」
「え?私のが? プルプル揺れる時計台?」
ピタリと動きを止めて考え出してしまった、あぁ俺のお尻様が。
「あぁ・・俺のレンがぁ」
「・・・・レンガ・・・レンが?」
ようやく話が噛みあってない事に気がついたレンがこちらに振り返ると俺の双眼鏡が街ではなくレンのお尻に向いている事に気が付く。
「きゃあああ!?どこ見てるんですか!?ってそれなんですか!」
「うお!?やめろこっちに向くな! ああ!俺の尻がぁ!おのれレン貴様!」
そこからはレンと俺の双眼鏡の取り合いになったが、馬車を引く商人に静かにしないと叩き落とすと怒られしぶしぶ交代で双眼鏡を覗いた。 あ、もちろん俺も街を見たぞお尻じゃないぞ
街の入り口になる門へ着くと街に入る前に馬車を下りて、俺は俺でちゃんと冒険者カードを見せて街へ入る。
壁がレンガで出来ていたので雰囲気がかなり違ったが街並みはほとんど一緒だ、それでもやはり違う街なので全然違うのだが一つだけよく知る建物があった。
「なぁレン、あれ冒険者ギルドだよな?」
「? はいそうですけど、どうかしました?」
「いや・・・ザガローナ街のギルドと全く同じ建物だから・・」
よく見るとた違うことが分かるがパッとみただけでは違いがわからない。
「それは冒険者ギルドを国が運営しているので基本的には建物は同じ形してるらしいです」
「なるほど、ポケモンセンターみたいだな」
「ほけも・・・なんですか?それ」
「・・・・はぁ」
「え、なんですかその反応! 教えてくださいよぉー」
数秒レンを見た後、深い溜め息を吐いて首を振りながら歩き出した俺をレンが慌ててついてくる。
ギルドに入りダンジョンの位置とこの街、ラヌゼーイ街の宿のを聞く。
念の為言っておくが職員の顔は前と全く一緒・・・と言う事はなかった。
職員の話によるとこの街の宿は二つあるらしく違いは値段や質らしい、もちろん安いに越したことないので安い方の宿に向かう。
「ここか」
「えっと、吸息の宿と書いてますね」
「ほんとだな、休息じゃないんだな」
息を吸い続けると言う意味でもあるのか?なんだか休まる気がしない。
宿に入りカウンターに立つ痩せた男に話かける。
「部屋を借りたい、二人部屋で頼む」
「ごしゅじんさま、べつにふたりべやじゃなくても」
部屋代が高くなるので小声で遠慮してくるが一人部屋になればまた喧嘩になる。
「うちには二人部屋はねぇぜ、愛玩用の奴隷なら一人用でもいいだろ」
「ならいいや」
残念な事にこの苦しそうな名前の宿には二人部屋がないそうだ、高い宿と安い宿があるのだからもしかするとここは値段を極限まで安くするために一人部屋しか用意してないのかもしれない。
お金はかなりあるので少しくらい値が張っても問題はないだろう、もう一つの宿に向かう。
吸息の宿から少し歩いた所にもう一つの宿が見えてくる。
外見は天使の腕より大きく少しだけ綺麗な建物だった。
「た、高そうですね」
「・・・ホテルの宿って・・・」
見た目はしっかりとした宿なのだが上にかかっている看板にはホテルの宿と書かれている、この街には変な名前の宿しかないのか?
そう言えば天使の腕も一見まともそうだが、あのムキムキのおっさんが言っている所を想像すると案外あそこも変だったのかもしれない。
ドアを開けて中に入ると先ほど入った吸息の宿に比べると格段に綺麗な内装だった。
綺麗に掃除されていてロウソクの灯りでより一層綺麗に見える。
「わぁ」
レンはキョロキョロと周りを見て目を輝かせているが、俺から言わせてもらうと東京へ旅行に行ったときに泊まったビジネスホテルレベルなのでそこまで凄くない。
入り口で邪魔になりながら棒立ちしているレンを無視してカウンターへ行き中年の髭を蓄えた男に声を掛ける。
「宿を借りたい、部屋は二人部屋を頼む」
「お二人ですか? お連れの方は・・・」
男は俺の後ろをのぞきこむように体を動かす
「あそこにいる。 おいレン!」
「は、はい!」
入り口でぼったちしていたレンを呼んでポンと頭の上に手を置く
「・・・・奴隷は預かれますが」
「預かる?どういうことだ?」
「こちらへ」
一階のある部屋に案内される、案内されている途中に教えてもらった説明を要説すると。
ここの宿は冒険者よりも商人や旅人が多く泊まっているらしく中には奴隷と一緒の部屋で居たくないと言う人もいるそうだ。
「そう言う方が利用されるのがこの部屋です」
「ん?どうしたレン おお、どれどれ」
「・・・・・」
レンがさっきまでのテンションではなくずっと俯いていたのが気になったが、ドアを開いたので中を見るとそこにあった光景は漫画などで見たタコ部屋と呼ばれている状態に似ていた。
居酒屋などにある座敷の様に一段だけ真ん中がの道が下がっていて左右の端が真ん中の道より上にあった、その段に他の奴隷達が寝ているのだ。
「このようにしっかりと室内で管理しているので安心ですよ」
「・・・・こんな所にレンをおい」
「レン?レンよね!」
俺が置いとけるかと言い終わる前にタコ部屋の奴隷が起き上がりこちらに歩いてくる、その奴隷は汚れて黄ばんだ男物の服装をして破けた箇所や顔、腕や足の素肌が見える部分は青くなった痣や切り傷の跡があった。
この奴隷今レンと言ったか、しかも見ているのはレンだ知り合いなのか?
「え?先輩!?」
俯いていたレンが顔をあげて驚いている
「やっぱり!レンなのね!」
2人は手と取り合いながら涙目でお互いに生きている事を確認して喜んでいる。
なにやら久しぶりや大丈夫だった?とか話している・・・・俺は蚊帳の外だ。
「・・・っと、それより部屋だがレン・・・奴隷は同じ部屋で生活させるから二人部屋を頼む」
「かしこ参りました、食事はどうされますか?」
「食事もすべて二人分だ」
「・・・かしこ参りました」
少し驚いた顔を見せた店員だったがすぐに元の表情に戻って鍵を渡して下がって行った。
この世界にも鍵はあるんだな、天使の腕にはなかったからちょっと驚いた。
「ご主人様!」
「ん、なんだ?」
鍵をしまうと女性の奴隷と一緒に俺の元までやって来て紹介を始めた。
「ご主人様、この人は私の先輩で きゃ!?」
しかし紹介の途中でいきなりレンがその先輩とやらに後ろから口を押えられてしまう。
かなり素早い動きだ何のつもりか分からないが本気でレンを押さえた以上見ているわけにはいかない。
腰に差している剣に手を当てて臨戦態勢にはいる
何故レンを?知り合いみたいだったが・・・奴隷だから自暴自棄にでもなったとかなのか?
しかしその女性はレンを自分の後ろに置いて俺に頭を下げてきた。
「へ?」
「申し訳ございません!この子はいつもどんくさくて教育期間のときもよく失敗していてそれで」
いきなりレンと一緒に頭を下げられるので拍子抜けしてしまう
「まてまて!早口言葉で何言ってるか分からんし、なんで謝られたのかも分からん!」
いきなり必死に謝られても・・・それにレンをかばっているみたいだけどよくわからん。
取りあえず説明を求めるとどうやら先程の紹介、本来なら奴隷を主人に紹介してから主人を奴隷に紹介するのが常識らしい、初めて知ったし正直順番とかどうでもいいし・・・
「そう言う訳ですのでレンに罰は・・・」
「いや気にしてないし別にそれくらいいいよ」
奴隷ってみんなこんなにめんどくさいのか?
「し、しかし・・・」
「それより紹介の続きをするか。 俺はレンの主人イクス・バートンだ、よろしくな」
「あわわわわわわあわわわ」
名前を名乗って握手の手を出すと相手の子がガタガタ震え出したのでレンに小声で理由を聞く。
「なぁ、なんでこの子はいきなりバイブレーションになってるんだ?俺ってそんなに有名人なの?」
「違いますよ、多分先に名乗られたから戸惑ってるんだと」
「奴隷ってめんどいな、どうにかしてくれ俺がイジメてるみたいだ」
「はい、先輩落ち着いてください。 大丈夫ですよご主人様は優しいですし寛大なんです」
おお、なんか俺めっちゃいい人みたいに言われている!悪くない気分だ、むしろいい!
「それにご主人様はそう言う事分かってないし」
ん?なんか雲行きが・・・
「さっきの紹介のルールも知らなかったと思うよ」
おい、実際知らなかったけどなんか腹が立つ。
「案外ご主人様は抜けてること多いから」
「こら言い過ぎだ」
「ハッ!?」
俺が口を出すとしまったと言う表情をして口を押さえた
こいつハッ!って事は内心そんな事思ってたのか?
言葉のあやだとか、安心させるためだとかなんとか言い訳しているが怪しいものだ。
「と、とにかく!この人は私が奴隷として教育を受けてた時の先輩なんです、先に売られて行ったのでもう会えないと思ってました」
「そりゃよかったな、そう言う再開の出会いって少ないのか?」
「娼館に売られればすれ違うくらいは・・・私の様に冒険者に買われれば望みは薄いですね」
「へぇ」
一度商品として幅広い社会に売り飛ばされると再会なんて夢のまた夢なのかもな。
そんな事を考えているとレンの先輩とやらがカッチコッチに固まっている事に気付いた、まるで俺が学生の頃に一度だけチャレンジしたバイトの面接の時みたいだ。
昔の自分を思い出した俺は口笛を吹きながらさりげなくレンの先輩に近づき。
「~♪ ワッ!」
「ひゃ!? ひ!ひ!」
なんだかガチガチに緊張している姿が面白かったので面白半分で脅かせてみるとビクッと跳ねてガタガタと震えだした
「ご主人様!!!!!」
「え?ど、どした!?」
俺は普通にちょっかい出しただけなのに・・・レンに怒られてしまった
若干過呼吸になりかけになっているレンの先輩を俺とレンで介抱してやっと落ち着きを取り戻せた。
正直俺はおろおろしていただけだが、思いのほかレンの対応が迅速で確実だったようで先輩はおちつきをとりもどした
「落ち着いた?」
「大丈夫か?」
俺達の問いに顔を上げて作ったような笑顔をするレンの先輩
「はい、ご迷惑をおかけして申し訳ございません。 私のご主人様にばれない範囲であれば何でも致しますのでお申し付けください」
「な、なんでも!?それじゃあ・・・」
「・・・・ご主人様」
ハッと横を見るとレンが俺を超睨んでいることに気付きワキワキと動かしていた手をパッと下におろしてハハハと笑ってごまかす
「ははは冗談だよ冗談」
「・・・・もう」
「分かりました、ですが中で出すのは遠慮願います、ご主人様にばれますので」
「は?」
何か幻聴でも聞こえたのかと思いレンの先輩に視線を戻すとなんと服を脱ぎ始めていた。
本来なら喜ぶところだが今回はそんな気は一切起きなかった、服で隠されていた体には無数の傷と痣があり特に臍の辺りには特に大きい痣があり右の乳房は切り落とされたようになかった。
初めは怪我、もしくは冒険者の盾にでもなったのかと思ったがこの数と箇所は明らかに人為的なものだ。
さっきから主人と言う存在、いや奴隷以外の人間に異常なまでの反応大体理解してきた。
「レンが綺麗な身体のまま使っていただけている様なので出来れば私も」
「待て待て待て待て待て、さっきのは冗談だし俺はレンとそう言う事はしてない!あ レンはどっかの男とやってるかもしれないけど」
さっきのなんでもという言葉に反応したのは俺が男だからだ、男だから当然の行動だろう
「そうよそんな事ご主人様はしないよ先輩 ってちょっと待ってください!そんなことしてません!私は処女ですよ!」
もちろん知っているドローンとして状態は常に分かるし基本的にずっと一緒にいるからな
「聞いた?先輩ちゃん、自分で処女とか叫ぶ女ってどう思う?ありえないよねー」
「そ、それは!先にご主人様が変な事言うからですよ!」
「いやぁレンは見知らぬ間にどっかの馬の骨とやってる可能性あるよ、ね!先輩ちゃん!」
「私は猫や犬じゃありませんよ!」
「・・・・・ふふ、ふふふふ。」
呆気にとられたように見ていたレンの先輩だったが次第に口元が歪んでいき笑い声が漏れ出した。
「ほら!先輩ちゃんに笑われてやんのー」
「笑われたのはご主人様ですよ!先輩からも何か言って!」
「レンはそんな事しませんよ、ふふふ」
次第に笑い声だけではなくレンの先輩もバカな話に入って来だしてさっきまでの重い空気はもうなかった。
しばらく奴隷の教育期間の話や今までの冒険の話をしていたのだが外の太陽が少し落ちてきたとき
「でもあの時はレンも・・・・あ、そろそろ時間・・です。 私はそろそろご主人様の部屋に行ってきます、今日は楽しかったですありがとうございました。 レン、いい方に貰ってもらえてよかったね」
「先輩・・・」
「・・・・先輩ちゃん、これを」
立ち上がったレンの先輩に見えないように作ったケースを渡す。
「これは?」
「薬のケースだ、右が避妊薬で左が痛み止めだ。 毎日一粒ずつ飲むんだ」
「薬なんて高価な物いただけません!」
ケースを返そうとするがそれを止めたのはレンだった。
「先輩、それは受け取っておいてください私からのお願いです」
「レン・・・・」
「気にするなってそれにレンは俺のご飯を奪ったりベッドを荒らしたりしてるし遠慮なんてしなくても」
「してないからね」
グイッと俺を押しのけてレンの先輩を俺から庇うようにくっついて奴隷のタコ部屋まで送って行った。
俺は先に天使の腕よりちょっと豪華な部屋に行き荷物を整理してからベッドに腰かける。
さっき渡した薬のDP消費はかなり安い、元々ああいった意味のない薬やアイテムはあくまでも遊びやなり切り要素に入るからだ。
逆に前領主の屋敷で使った布団などは娯楽、戦闘で役に立たず普段の時にくつろいだりするための娯楽要素だからだ、屋敷の時点でDPは7000ちょい厳密に言うと7200だった。
正直今のまま戦っているといくら弾の補充でDPを使うと言っても消費より収入の方が多いから安心だと思っていたが・・・意外とすぐにこういうものに使うときが来てしまったな、とりあえずいち早くこの街のダンジョンに行きたいところだ。
ベッドに寝転びながら操作画面をいじりながら考えていると画面の後ろで何かが飛んでいる。
画面を退けて見てみるとレンの髪飾りが俺の上空をクルクルと飛んでいた。
「さっきはありがとうございました」
「双眼鏡でレンのお尻を見た事か?」
「先輩の事全部です、どうなると言う訳でもないですけど生きる希望にはなるとおもいます」
冗談が通じない、これは真面目な話か
「まぁ出来るだけの事はしたつもりだけどな。 でも・・今更俺達が・・・誰かを助けるなんて笑い話だよ・・・な」
眠りに落ちていく中で何となく思ったことを何も考えずに口走りながら目を閉じた。
「でも私は助けられた、それは確かですよ・・だから自分を責めないで」
その俺を慰め許してくれる声を眠りの落ちた俺は聞いているわけもなかった。
若干ここ数話は無理矢理すぎたかなって反省してます。




