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灰  作者: RIOKA
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序 : 炎の記憶

 その夜、山奥の工房は豪雨に見舞われていた。

 窯の中で燃え盛る炎だけが、その夜の出来事を見ていた。


 もみ合う男女の影。

 陶器の割れる音。

 女の悲鳴。

 


 数時間後──


 静かになった窯場で、男は何かを炎の中へ投げ入れた。



 翌朝。


 灰色の靄《もや》に包まれた工房から、男がふらりと現れる。


 顔色は土のように青白く、足取りもどこかおぼつかない。


 それでも男は、巨大な灰捨て場へ向かった。


 そして、手にしたバケツを静かに傾ける。


 白い灰がさらさらと崩れ落ちた。


 風が吹き、舞い上がった灰は靄の中へ溶けていく。


 その夜を最後に、女は姿を消した。

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