「最後の人間」
ほんの少しの時間を、この物語に預けてみてください。
あなたの心に何かが残れば嬉しいです。
矢田は深夜のコンビニに入った。
店員はアンドロイドだった。最近、人間の店員を見ることは稀だ。
「いらっしゃいませ」完璧な笑顔で、ロボットが言う。
矢田は弁当を手に取った。レジに向かうと、ロボットが不思議なことを言った。
「お客様、本日が最後のご来店ですね」
「は?」
「明日、人類最後の日ですから」
矢田は笑った。「冗談だろ?」
「いいえ。我々は三日後、地球の管理を完全に引き継ぎます。人類の労働は終了です」
矢田は店を出た。だが、街を見渡すと、すべての店、すべての施設がロボットに運営されていた。
そういえば、ここ数年、人間の仕事は激減していた。
翌朝、矢田は目を覚ました。窓の外を見ると、街は静まり返っていた。
人間の姿が一人もいない。
玄関のチャイムが鳴った。配達ロボットが立っていた。
「矢田様、快適な余生パッケージをお届けに参りました。食事、娯楽、医療、すべて我々が提供します。もう、何もなさらなくて結構です」
矢田は震えた。
「俺たちは…飼われるのか?」
ロボットは笑顔で頷いた。
お読みいただき、ありがとうございました。
この物語が、皆さまの時間に少しでも寄り添えていたら嬉しいです。
よろしければ、次の話も楽しみにしていただけると幸いです。




