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第一章:「美の楽園のはずだった」1. 違法区域《バベルの路地》

秩序なき違法区域《バベルの路地》。リリアナが美を狂気的に追求する者たちから得た答えとは。

全17話

《バベルの路地》は、都市の最下層に広がる歪な迷宮だった。


正式な管理を受けていないこの区域は、かつて美の探求者たちが“自由”を求めて流れ着いた場所だった。だが、今ではバグと違法データの混沌が支配し、醜悪なまでに歪んだ芸術の墓場と化している。


「……これが、美を求めた者たちの行き着いた先?」


リリアは息を呑んだ。


通路の壁には、かつての名画がバグによって変質し、抽象的な歪んだ形で映し出されていた。モナリザは顔の輪郭が消え、叫ぶ男の顔は何重にも増幅され、ルーベンスの壮大な画面はモザイクの洪水に飲み込まれている。


路地を進むたび、異形の住人たちの視線を感じた。


顔を完全に仮面で覆った者。体の一部を石像のように変質させた者。神経データを直接外部に晒し、視覚すら改造した者。


彼らは、美とは何かを問い続け、その答えを自らの肉体に刻み込んできた。


「美は固定概念にあらず! 変質し、混ざり、壊れることで初めて意味を持つ!」


「整った形など幻想! ゆがめ、ねじれた先にこそ真の美がある!」


リリアは足を止めた。


エグゼが、冷静な口調で言う。


「美とは、理性と狂気の狭間にあるものだ。ここは、そのバランスを失った者たちの終着点……」


「……それでも、ここにバロック・コードの手がかりがあるの?」


エグゼは前方を指さした。


「確かめるといい。あそこに、“彫刻家”がいる」


《バベルの路地》での美の狂気、いかがでしたか?秩序を失った芸術家たち、彼の異端的な美学——リリアにとって、美の意味を問い直す重要な出会いとなります

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