くびなしオバケがやってきた!(6)
さて、おじいちゃんやお母さんが見たオバケの話を思い出し終わったシホちゃんは、布団の中で「うーん!」と大きく伸びをしました。
枕元のデジタル目覚まし時計を見ると、10時すぎです。
いつもなら、シホちゃんはもう眠っている時間なので
「オバケ、早く出て来ないかなぁ。」
と思いました。
「このままだったら、シホもお父さんみたいに寝てしまうよ。」
そして時計が、おばあちゃんが肝試しをした時みたいに、ゼンマイの時計だったらステキなのに、と考えます。
だって、毎日ゼンマイを巻いてあげないと止まってしまうなんて、ペットみたいで可愛いじゃないですか。
その時です。
障子窓の外から
「うおおおお! 俺の首はどこだぁ!」
と声がしました。
「首はどこだあ。首を返せぇ。」
どうやら、今夜やってきたのは”くびなしオバケ”のようです。
シホちゃんは布団の中にすっぽり潜り込むと
「怖~い!」
と言って、クスクス笑いました。
ステキ、ステキ! 本物のオバケだ。
オバケは奥座敷の縁側まで上がってきたようで
ミシリ、ミシリ
と足音が近づいてきます。
硬い金物どうしが触れ合う
カシャリ、カシャリ
という音もします。
「く~びは、どぉこぉだ~。」
この時、シホちゃんは『変な事』に気が付いて、布団を跳ねのけると起き上がりました。
せっかく、オバケから布団を剥いで『見ぃつけたぁ』と言ってもらおうと考えていたのに、です。
「オバケさん、オバケさん。口が無いのに、どうやってしゃべっているの?」
だって首が無いのなら、当然口もありません。
ちょっとだけ間を置いてから、オバケがガラリと障子戸を開けました。
立っていたのは、騎士というのでしょうか、ピカピカの西洋の鎧を着たオバケです。
そしてオバケが言っていたように、頭が有りません。
「ほ~ら、やっぱり口がナイじゃん。」
とシホちゃんが指さすと、オバケが
「お嬢ちゃん……あのな……」
と言うので、シホちゃんは
「シホだよ!」
と名前を教えてあげました。
「じゃあシホちゃん」とオバケは仕切り直します。「オバケにはテレパシーというのが有ってだな……」
スゴイ、スゴイ! とシホちゃんはワクワクします。
「テレパシーって、なぁに?」
「テレパシーというのは、だなぁ」 くびなしオバケはシホちゃんの前に胡坐をかきます。
「声を使わずに、自分の考えていることを相手に伝える能力だよ。日本語に直すと、『精神感応』とか『思念通話』とか、言うようじゃな。」
「え~。」シホちゃんはオバケのしてくれた説明に、納得がいきません。
「だってオバケさん、さっきから声に出してしゃべっているよ。それに、せいしんナントカとか、しねんナントカも、よく分からないし。」
きっと難しい言葉を使って、シホちゃんをなんとか誤魔化そうとしているのでしょう。
くびなしオバケは困ってしまったのでしょうか
「う~ん……」
と唸ると、腕組みをしました。
すると、シホちゃんの横に
ポンッ
と神主さんが現れました。
神主さんは
はっはっはっ
と大笑いすると
「山ン本五郎左衛門! 往生際が悪いぞ。潔く負けを認めよ。」
と言いました。




