表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/20

くびなしオバケがやってきた!(14)

 コホン!

神野悪五郎しんのあくごろう咳払せきばらいしました。

「あ~シホちゃん。それでいかな?」


 一方いっぽうもと五郎左衛門ごろうざえもんは、ひざたたいて

天晴あっぱれ、菖蒲あやめ。」

わらいながら菖蒲あやめめそやしました。

「よくぞ神野悪五郎しんのあくごろう絶体絶命ぜったいぜつめいすくったな!」


 「くちぎるぞ、もと五郎左衛門ごろうざえもん。」

神野悪五郎しんのあくごろうしぶかおです。

おにくびったようにはしゃぎおって。」

 そして「『シホちゃんに飲ませてやるのだ。』と、大騒おおさわぎしてミルクセーキの材料ざいりょうあつめておったくせに。」と言いました。


 「ええっ?!」

とシホちゃんはビックリしました。

 美味おいしいミルクセーキで、シホちゃんは”おわり”してしまいましたが、そんなにスゴイ牛乳ぎゅうにゅうたまごを使っていたのでしょうか。


 「うむ。普通ふつうでははいらないものばかりだね。」

神野悪五郎しんのあくごろううなずきます。

「ミルクはうしちちではなく、麒麟きりんちちたまごいたっては、鳳凰ほうおうたまごよ。そしてあまけには、砂糖さとう使つかわずに蓬莱ほうらいはなみつている。いやはや、ぜいきわめたはなしよな。」


 「へぇ~、あのミルクはキリンさんのミルクだったのか。はじめてんだよ。」

とシホちゃんはおどろきました。

「さんもとごろうざもんは、アフリカまでミルクをいにいってきてくれたの? それとも動物園どうぶつえんもらってきてくれたのかな?」


 「もう一寸ちょっととおくまで、かな。」

と、もと五郎左衛門ごろうざえもんは”すましがお”です。

「キリンはキリンでも、くびなが~いサバンナにんでいるヤツではなくて、天空てんくう神界しんかい霊獣れいじゅう麒麟きりんであるからな。そっちの麒麟きりんなら、くびながくはない。うまおなじくらいだからぎょしやすいしの。」


 もと五郎左衛門ごろうざえもんは、そうシホちゃんにこたえると、今度こんど神野悪五郎しんのあくごろう

「オヌシの桃山ももやまだって、けをらない逸品いっぴんではないか。」

い、シホちゃんに

吾輩わがはいたまご鳳凰ほうおう――西洋風せいようふうに言えば不死鳥フェニックス――のものを使つかったが、悪五郎あくごろうめがえらんだのは炎帝えんてい 朱雀すざくのモノよ。」

とバラしました。

吾輩わがはいには『贅沢ぜいたく!』などと言ったクセにな。」


 このことは菖蒲あやめらなかったようで

「えっ! 悪五郎様あくごろうさま、あのよるにもそのような”お骨折ほねおり”を!」

おどろきました。

左様さようことまで、していただいていたとは、つゆほどもらず。」


 「まあ、いではないか。」

と、今度こんど神野悪五郎しんのあくごろうれるばんです。

菖蒲あやめ恋敵こいがたきれいくしにくというのに、わればかりがたかみの見物けんぶつわけにもいくまい。」


 そんな神野悪五郎しんのあくごろう面白おもしろそうにながめていたもと五郎左衛門ごろうざえもんでしたが

菖蒲あやめよ、悪五郎あくごろうの”骨折ほねおり”は、そのあとつづいたのよ。」

話始はなしはじめます。

じつは、シホちゃんのおばあちゃんは、一つだけウソをいておるのさ。……いや、”人をおとしめるような”わるうそではないのだが、な。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ