2 俺がラティリオになった訳
俺がラティリオとしての人生を始めたのは、まだ赤ん坊の頃のこと。
異世界転生のテンプレよろしく、目覚めたらえらい美人さんの母親と美形な逞しい父親に抱かれていたところからスタートした。
前世の記憶は・・・正直半分くらいはロストしていたが、鮮明に覚えていることがひとつある。
血に染まる視界に移る包丁を持った女性の姿と・・・「これで財産は・・・」という言葉・・・
当事、付き合っていた彼女がいたらしい俺なのだが・・・どうやらその彼女さんは、お金目当てで俺に近づいたらしくて、保険金目当てに俺は殺されたのだ。
今、思い返してもゾッとするね。
本当に愛していたはずの人が実は自分ではなく、自分の財産目当てだった・・・なんて、ガチで辛い。
そんな経緯を思い出してしまった俺は結果的に異世界に転生してどう思ったか?
うん。完全に女性恐怖症になりましたよ。ええ。
まあ、とはいえ、母親と妹だけは家族なので大丈夫・・・というか、実際俺はかなりのマザコンとシスコンになったが・・・その二人以外の女性が完全に信用できなくなりましたよ。
一応、表面上は普通に接していられるけど・・・少しでも好意がありそうな行動に見えた途端にもうダメだった。
だから、俺は・・・異世界の剣と魔法に全てをかけることにした。
この世界には魔法もあるらしいと知ってから、平民では魔法は習えないと教えてもらい・・・平民だった俺はとりあえず剣を、村に滞在していた騎士に習って、体を鍛えることに精を出した。
やがて、10才になってから村に流れの魔法使がきたことで、そこから魔法を習い・・・そこそこ飲み込みの良かった俺はかなり魔法を使えるようになった。
そうして、自分を鍛えて16才になったとき・・・たまたま村に来ていたフローレス王国の当事の騎士団長にスカウトされて、俺は晴れて騎士になった。
そこから色々あって、国のために活躍したまでは良かったが・・・はっきり言おう。やり過ぎた。
異世界で、力を隠していた主人公がやり過ぎた時くらい盛大にやらかした・・・というか、魔王様を倒したのがそもそもいけないことだったのだ。
魔物もいるこの世界には、魔王という人類にとっての最大の敵がいたのだが・・・うん。俺が倒してしまったんだよ。一人で。
い、いや、弁明させてもらうと、本来は勇者を呼ぶ予定らしかったが・・・偵察に俺が出ていった時にたまたま魔王に遭遇して、死ぬ覚悟で突貫したら・・・あっさり勝てた。
魔王様は一応、この世界を魔物にとっての楽園・・・まあ、ぶっちゃけ人間を食べるのが好きな魔物のために人間を家畜とした世界を作るつもりだったらしいが・・・俺が倒してしまったので野望はあえなく潰えた。
これに対して国王様が大層喜ばれて・・・本当の地獄が始まったのはここからだった。
いくつものお見合い話がきて、英雄扱いまでされて・・・もはや見世物のパンダ状態でしたよ。
本当なら、俺は、男所帯の騎士団で地味に先輩に目をつけられない程度に働いて密かに潰える予定が・・・魔王様のせいで目立ちに目立ったよ。
まあ、その時点で結婚していれば俺も今の事態にはなってなかっただろう。
最大の原因は多分・・・フィリカ様とあの日あの場所で出会ったことが原因といえば原因なんだろう。