第53話 パンプキ第一副迷宮地下15階ボス戦
第53話 パンプキ第一副迷宮地下15階ボス戦
パンプキ第一迷宮に潜って、今日で15日ほどが過ぎた。
地下13階までは比較的順調だった。
2日で1階層進めたし、リリアナを含めて3人のレベリングに丁度いい相手だったし苦戦らしい苦戦もなかった。
このまま行けば、数日で討伐完了するんじゃないかってって気もしてきたけど、そうは簡単には行かなくなった。
地下15階層のゴキちゃんもどきの魔物に苦戦を強いられたのだ。
まず、下に行くほど魔物のレベルは上がるものの、数は少なくなるので3人でも十分対処できた。
地下10階のボス戦も、俺はほとんど手を出さずに3人で討伐してしまった。
3人で連携すれば、多少相手のレベルが上でも問題ない感じだったし、ミミなどは遂に弓将スキルに上位変化して、益々戦力がアップした。
ゴキちゃんもどきの魔物、コックロー・LV27は、迷宮の壁や天井を高速移動し、更に飛ぶこともできるので、立体的な攻撃を仕掛けてくる。
しかも繁殖率が高いのか、俺の炎魔法で通路の先まで一気に殲滅しても、すぐに復活してくる。
自然治癒スキルがあって、しかもHPが半減すると、一気に繁殖する。
なので一撃で屠る必要があるんだけど、身体強化スキルも持っている奴がいたり、魔法防御スキルを持っている奴がいたりして、どうしても一部生き残ってしまうのだ。
それで、岩魔法で蓋をしながら、少しずつ進むしかないんだよね。
まあ、迷宮討伐を考えなければ、いいレベリングの場ってことになるんだろうけど。
何と言ってもLVも手ごろだし、無尽蔵に増えてくれるしね。
お陰で、リリアナ達3人のレベルもバンバン上がっているし。
コテージに戻って、ランチを摂りながら今後の方針を検討してみる。
「さて、午後はどうする?ここ数日、単純作業的な事ばかりだし、そろそろ飽きて来たんじゃない?」
「ジュン様、そんなことはありません。レベルが順調に上がり、身体もより動けるようになっています。強くなっているのが実感できます」
「そうです、ジュン様。リリアナ姉様の言う通りです。ミミもケルもLVが26になっています。王宮の騎士団の団長レベルです」
「僕も、自分の力が上がっているのが実感できます。飽きると言うことはないです」
「まあ、3人がそうなら問題ないけど、5日間、同じ階層で、同じ魔物だけと戦ってるしね。飽きないかなって思って。何なら他の迷宮に行ってもいいんだけど」
「ジュン様、他と言っても、私達のレベルが上がらなければ、結局いずれかの階層で足踏みしてしまいます。ジュン様の希望である、主迷宮討伐を実現するためのお力になれるように、私達ももっともっと実力をつけたいのです。ですから、ジュン様が嫌でなければ、このままここで訓練させていただけたらと思います」
「「よろしくお願いします」」
「俺は嫌ではないよ。それに、この階層がリリアナ達の訓練に丁度いい環境であることもわかっているけどね。ただ、丁度15階層目になるし、ボスを倒して転移水晶をアクティベートしておけば、いつでも来れるしね。いろんな魔物と戦った方が、レベルだけじゃなく、戦闘的な経験と言うか、スキルも上がると思うから、場合によっては、この階層はサッサと攻略して先に進んでもいいかなとも思ってるんだよ」
「いつもながら、ジュン様の深い考えには脱帽です。私達のことをいろいろ考えて下さってありがとうございます」
「まあ、それだけじゃなくて、多分、地上で待っている、ギルマスやアミラのこともあるしね」
「しかし、ジュン様、攻略するにしても、ジュン様の魔法でも一気に進むのは難しいのではないですか?」
「ああ、それは手は考えてるんだよ。要はあいつらのHPを半減させずに、一確すればいいんだしね」
「ジュン様はこの階層の攻略方法をすでに考えておられたんですね」
その後、地下15階に出て、俺の作戦を決行する。
作戦と言っても単純だ。
俺が闇魔法の麻痺と睡眠をかける。
床に落ちて来たコックローを弱点の腹側から、頭を刺して終了だ。
迷宮に吸収されてリボーンさせないようにアイテムボックスに入れるのが大変。
止めはリリアナ達にやらせているので、俺は死んだのを回収して行くだけだ。
単純作業だなこれは。
それでもレベル差があるので、リリアナたちにとってはいい経験値になる。
マッピングもどんどん進み、完全に殲滅した後、ボス部屋の前に戻ってきた。
広さがある分、単純作業ではあったけど、6時間もかかってしまった。
どれくらい屠ったのかは、数えるのも嫌になるぐらいだ。
リリアナ達のレベルがそれぞれ2つずつアップしたんだから相当な数だな。
結局その日は、一旦コテージで休むことにして、翌日ボス戦に行くことになった。
やっとゴキちゃん地獄から抜けられる。
長かったなぁ。
翌日、地下15階に戻ってみると、探知の範囲には魔物の反応はない。
やはり新規で発生するのは、一日1体程度なのかもしれない。
しばらく経てば、またいい狩場に戻るだろう・・・多分。
ダメなら、ニードリックマウス王国の地下21階に飛べばいいかな。
あそこも数が結構出てくる階層だったしね。
今の3人になら、いい狩場になりそうだけど。
でもミミたちに転移魔法のことをまだ教えてないからすぐには行けないけどね。
さて、地下15階のボス部屋。
ボスは、2体。
青鬼さんと赤鬼さんだった。
青鬼さんは魔法耐性スキル持ち、赤鬼さんは物理耐性持ちだ。
しかも自然治癒スキルに、身体強化スキルの3つのスキル持ちだ。
LVは35。
頑張れば3人でも倒せないことはないけど、筋力値が4桁だし、一撃の威力は半端ない感じだ。
すぐさま、情報を念話で伝達。
3人には青鬼さんに集中して貰うことにした。
俺は咆哮を上げようとした、赤鬼さんの大きく開けた口の前に転移して、ウインドブレードを口の中にぶっ放した。
身体強化は基本、皮膚面だ。
口腔内などは、多少は強化されているんだろうけど、生物である以上やはり外表面より弱い。
一撃で口から上部分が切断されジエンドだ。
そのままアイテムボックスに収納した後、3人のバックアップに入る。
青鬼さんは、ミミの連射とリリアナの大跳躍からの連撃、それとケルの投擲で3人を敵と認識したようだ。
魔法耐性がある分、いつものように風魔法が使えないリリアナとミミは、若干手数が少ない感じだけど、3人とも青鬼さんの大車輪のような棍棒による攻撃を上手く回避しながら、少しずつHPを削って行く。
青鬼さんもHPを削られる端から、自然治癒していってるみたいだけど、3人同時の攻撃で回復するより、削られるスピードの方が早いようだ。
3人とも、渾身の一撃を加えることはできないみたいだけど、遠方からのミミの目や口腔内を狙った攻撃は、青鬼さんの攻撃の手を緩める効果もあるようで、ほぼゼロ距離にまで近づいて、体術を駆使しながら攻撃を加えているケルの、絶妙な援護射撃になっているようだ。
リリアナも、青鬼さんの動きをよく観察して、顔や、心臓部分、関節の裏部分など、急所になりそうな場所に的確に連撃を加えていく。
結局、10分近く、集中力を切らすことなく攻撃を続けた3人の方が勝ったようだ。
最後のHPが削られて、そのままドッと仰向けに倒れて、無事ボス戦が終了した。
ボス戦だけで3人のレベルが1つずつ上がり、リリアナは剣聖スキル、ケルは格闘将スキルに上位変化した。
格上の魔物との戦いは、やはりレベルアップ、スキルアップに大きな影響があるようだ。
「3人ともお疲れ。レベルもスキルも上がったようだね」
「本当です、ジュン様。私、剣聖になっています」
「リリアナ姉様、おめでとうございます。凄いです」
「主様、僕もレベルが上がって、それに格闘将スキルになっています」
「ケルもおめでとう。お姉ちゃんも弓将だよ」
「3人ともよく頑張ったな」
「「「ありがとうございます」」」




