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星の雫  作者: まひる
第二章
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2−23

第二章 戦い

23


「…早く行くぞ。」


 ヒビキは静かに告げる。


「はいはい、我が儘お姫様。」


「だっ!…ムカつく〜っ!」


 背中からの言葉に少しだけ口角を上げながら答えたキョウに、響は荒げようとした声を押し殺してその背中を叩いた。


 痛〜っ!この筋肉馬鹿がっ!


 けれども叩いた手が痛かった響は心で叫ぶ。京はそのまま響を担いで外に出た。


「どうぞ。このサラサなら、何処で放して頂いてもうちに戻ってきますから。」


「ありがとう。」


 そう店主から縄を受け取った京。行き先未定の為、町に返さなくても良い乗り物を調達したのである。


「げ…っ。」


「響は初めて見るか。この雪の大陸の乗り物サラサだ。」


 振り向いてそれを確認した響に京が説明を始めた。サラサは六脚の毛むくじゃら爬虫類で、寒さに強く比較的穏やかな性格をしている。


「…また凄まじい容姿をしているな。」


「見た目より性能だ。雪深い土地も凍てつく土地も選ばずに行けるし、この毛に覆われていれば人間も寒さから守られる優れものだ。」


 引き気味の響に対し、京は気に入っているようだった。


「乗るぞ。」


「ぅわっ!?」


 肩に担がれたままで有無を言わさずサラサの背に乗せられる。ギョロリと縦割れの目が響を追い、口元からチロチロと出される黄色い三股の舌が顔に触れた。


「な、な、舐められた〜っ!」


「騒ぐな、歓迎されているんだ。」


「駄目だ!食べられる!味見をされたんだ!」


「味見?…。」


「っ!?」


 肩から下ろされる際に同じ場所を京に舐められ、完全に硬直する響。


「…何て顔をしている。襲われたいのか?」


「…か…っ。」


「ん?」


「馬鹿変態ボケっ!お前絶対おかしいだろっ?つか、オレをからかって楽しんでやがるだろっ!」


 向かい合わせに座らされている響は、真っ赤な顔で京を睨みつける。


「分かった?」


「な…っ。」


 ニヤリと音が聞こえてきそうな笑みを見せられた。


「何、魔法で俺を攻撃する?」


「っ!…違っ…っ。」


 言われて初めて気付く。揺らめく光が身体から溢れ出していた。


「興奮すると…、魔力が漏れる…らしい…。だけど…お前を攻撃する気は…ない…。」


 絞るように口を開く響。殺意と取られてもおかしくない。二人を乗せたサラサは、既に町の外に出ているのだ。

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