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第二章 戦い
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「ごめん、悪かった。」
俯いた響の頭に軽く手を乗せ、京の方が先に謝罪する。
「…ごめん…なさい。」
風の音に消えそうなくらい小さい声で響も謝罪した。この弱肉強食の世界では、例え仲間でも強い者が勝つ。
今の響と京の関係は一方的に京がついてまわっているだけなのだ。目的が金だろうが身体だろうが、すぐに破綻しかねない淡い関係である。
「ん。じゃあ、この話はおしまい。で、次は何処へ行くんだ?」
「…マルゴタの町…。」
「了解だ。響は前を見なくて酔わないか?」
「…前を向く…。」
既に気持ちを入れ替えた京と違い、響は真っ直ぐ京の目を見れずに俯いていた。指摘されて漸く京に背を向けるように座り直すが、居心地の悪さは変わらない。
「っ?」
「寒いだろ。こうしていれば少しは温かい。」
「…ん。」
緊張を寒がっていると勘違いしたのか、後ろから京に抱きしめられた。反射的に身体がビクッと跳ねるが、背中から伝わる温かさに響は小さく頷く。
そのまま二人を乗せた六脚の毛むくじゃら爬虫類は、京の操作で次の目的地マルゴタへ向かうのだった。
ズゥゥゥン。腹部に振動が伝わる程の音に、ウトウトとしていた意識が呼び戻される。
「…何…?」
「おはよう、響。どうした?」
いつものように京が背後から声をかけてきた。抱きしめられた状態なので、振り返り様に見上げてみるが表情に変化はない。
「音が聞こえたんだけど…。」
「音?」
「あぁ、重い…地響きみたいな。」
首を傾げる京は、響の感じた音を聞いていないようだ。
「…また…。」
気のせいかと思ったが、再び感じた音に辺りを見回す。そして見えた。地平線の彼方に立ち上る雪煙りが、何故かコチラに近付いて来る。
「響は耳が良いんだな。」
京も目視で確認するが、相変わらず音は聞こえていなかった。
けどあれはマズい。雪山椒魚は魔力を餌としているはずだ。しかもやたら巨大…、逃げられるか?
サラサの縄を強く弾きスピードを上げる。
向かって来る魔物は雪鯨とも呼ばれる、優に体長20メートルを越す巨大山椒魚。魔力を食うと言われる程、魔導師ばかりを丸呑みにする狂暴な魔物だ。この雪の大陸にしか生息していない。
「…追い掛けて来てるぜ?」
「そうだな。あれは雪山椒魚。魔力が大好物で、旅行く魔導師を丸呑みするのが好きらしい。ちなみにあれでも、食べると美味い。」
「食べ…そんな情報はいらん!つか、もしかしなくても狙われてるのってオレじゃん?」
「そうだな。」
焦りつつ振り返る響に、いとも簡単に答える京だった。




