0. 役立たずな俺たちのせいで、仲間を一人失った
彼の名はレグル・エルグレイス。冒険者の中でも、落ちこぼれと呼ばれても仕方のない男だった。
彼が持つスキル『クリエイター』は非常に珍しいスキルだったが、その一方で最弱のスキルだと思われていた。作れるのは、せいぜい簡素な防具や剣くらいだった。
レグルはこの世界に転生し、農家の家庭に生まれた。そして十七歳になると、冒険者ギルドへ向かった。珍しいスキルを持っていたこともあり、彼はなんと勇者パーティーに加入することになった。
しかし、ギルドからの依頼をこなす中で、パーティーの仲間たちから何度も馬鹿にされたことで、レグルは次第に自分に自信を持てなくなっていった。それでも、彼は彼らと共に依頼へ向かい続けた。生活のために金を稼がなければならなかったからだ。
すでに両親のもとを離れて暮らしているレグルには、ある約束があった。
いつか、金持ちになって成功した姿で両親のもとへ帰る。
そう約束していたのだ。
そして今日、彼らはダンジョン第一階層の掃討依頼を受けていた。
勇者パーティーには八人のメンバーがいた。全員でダンジョンへ続く森の道を歩いている。
その中でレグルだけは最後尾を歩き、俯いたまま地面を見つめていた。
「今日は張り切って、たくさん金貨を稼ごうぜ。掃討を終えれば、金貨二十五枚ももらえるんだからな!」
「すげぇ!」
「頑張ろうぜ!」
「ああ!」
彼らはダンジョンへと足を踏み入れた。
すると、目の前には大量の魔物が現れた。
「くそっ! リック、気をつけろ!」
「え?」
リックは天井を這い回る魔物に気を取られ、迫り来る攻撃に気づかなかった。
巨大なオークが重い木製の棍棒を振り上げ、重装備の男へと叩きつける。
その衝撃でリックの身体は石壁へと吹き飛ばされ、男は意識を失った。
「ぐはっ!」
「リック!」
「戦闘態勢!」
剣士たちは剣を抜き、魔法使いたちは詠唱を始めた。
そして、互いに背中を守るように円陣を組む。
レグルは不安になり、額に汗を浮かべ始めた。
今や出口への道は魔物たちによって塞がれている。
ここから逃げるのは難しい。
そう、レグルは理解していた。
「アカリア!」
少女が呪文を叫ぶ。
すると、彼女の背後に魔法陣が現れ、そこから紫色の雷が次々と放たれた。
魔物たちは一体、また一体と倒れていく。
だが、いくら倒しても魔物の数は減らなかった。
ゴブリンたちはスライムにまたがり、乗り物のようにして冒険者たちへと突撃してくる。
そこで、パーティーのリーダーであるガレットは祝福された剣を抜き、前衛の仲間たちと共に魔物の群れへと飛び込んだ。
彼らは次々と魔物を斬り倒していく。
レグル以外の全員が魔物の血で汚れていった。
しかし、それでもダンジョン第一階層の掃討を終えることはできなかった。
第一階層の魔物すら倒しきれなかった彼らは、まるで臆病者のように逃げ出した。
俯いたまま、歯を食いしばりながら冒険者ギルドへと戻っていく。
リックは、そこに置き去りにされた。
もう助けることはできない。
そう判断したからだった。
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