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第37音 壊せない心と壊しがい


教室。


静止。


誰も動けない。


ミオの視線の先。


そこに立っていたのは。


「……レン」


天城レン。


修学旅行。


夏祭り。


笑顔。


全部。


記憶そのまま。


レンが優しく笑う。


「あの時、ごめん」


ミオの呼吸が止まりそうになる。


「……なんで」


「なんでいなくなったの」


レンが静かに近づく。


「会いたかった」


「ずっと」


その声。


表情。


完全に本人だった。


クラスメイト達も空気を読んで静かになる。


デットエコーが後ろで笑う。


「どう?」


「よく出来てるでしょ?」


ビートが叫ぶ。


「騙されるな!!」


ミオが震える。


分かってる。


これは偽物。


ノイズ。


でも。


記憶が。


感情が。


揺れる。


レンがさらに近づく。


「ミオ」


「あの日」


「行けなくてごめん」


ミオの目が揺れる。


レンが続ける。


「本当は」


「ずっと君のこと――」


その瞬間。


ミオの脳裏に。


本物のレンの笑顔。


優しかった時間。


そして。


“違和感”。


ミオが気づく。


本物のレンなら。


そんな言い方をしない。


もっと不器用で。


もっと自然で。


こんな風に。


人の傷を抉るような喋り方はしない。


ミオがゆっくり顔を上げる。


涙目のまま。


でも。


瞳は折れていなかった。


「……レンを」


デットエコーがニヤつく。


「うん?」


ミオが拳を握る。


「勝手に使うなぁぁぁぁ!!」


ギターアックス展開。


轟音。


ミオが一直線に突撃。


レン型ノイズを一撃で斬り裂く。


ザンッ!!


ノイズが崩れる。


教室に静寂。


デットエコーが少し驚く。


「へぇ」


ミオが睨む。


涙を拭きながら。


「レンは」


「そんな顔しない」


「そんな言葉使わない」


「そんな風に人を傷つけない!!」


その瞬間。


レン型ノイズが完全消滅。


デットエコーが舌打ち。


「……記憶破壊は失敗か」


ビートが少し安心する。


「ミオ……」


だが。


デットエコーはすぐ笑った。


「じゃあ次」


「もっと簡単な方法にしよう」


指を鳴らす。


その瞬間。


学校中に黒いノイズが拡散。


窓。


廊下。


体育館。


校庭。


全部。


ノイズだらけ。


悲鳴が響く。


「きゃぁぁぁ!!」


「助けて!!」


ミオが目を見開く。


デットエコーが笑う。


「君は優しい」


「だからさ」


「壊れやすい」


その瞬間。


無数のノイズが生徒達へ襲いかかる。


ミオが叫ぶ。


「やめろ!!」


デットエコーが両手を広げる。


「選べよ、ヒーロー」


「敵を倒す?」


「みんなを守る?」


「両方できるかな?」


完全な悪意。


ミオは歯を食いしばる。


セレスティア達はまだ到着できない。


学校は隔離。


今ここで戦えるのは。


ミオだけ。


デットエコーが笑う。


「君は絶対に見捨てない」


「だから最高のおもちゃなんだ」


その瞬間。


校庭側で爆発。


ノイズ群が生徒達へ迫る。


ミオは迷わなかった。


「ビート!!」


「了解!!」


音楽起動。


スーツ展開。


虹色発光。


《MODE:RAPID POP》


機動特化。


超高速モード。


ミオが窓から飛び出す。


「みんな逃げてぇぇぇ!!」


ノイズの群れ。


生徒達。


恐怖。


その中心へ。


一人のヒーローが飛び込んだ。


デットエコーはその姿を見ながら。


静かに笑う。


「いいねぇ」


「壊しがいがある」


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