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政略結婚の身代わりにされた姉ですが、王子に一目惚れされていました  作者: 葉月麗雄


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13/20

社交界での再会

クラリスはジュリアンに直接問いただそうと思っていた。

なぜ、私と婚約したのか。身代わりと知りながら。。

幸い怪我はだいぶ回復していて、普通に歩けるようにまでなっていた。


「これなら大丈夫。今夜は社交界がある。ジュリアンが参加しているかもしれない」


クラリスはメイドの目を盗んで部屋から抜け出し、社交界の会場へと向かった。

メイドが部屋に戻った時、もぬけの空であった。


「クラリス様! クラリス様、どこにおいでですか?」


慌ててクラリスを探すメイドだったが、宮廷内のどこにも見当たらず、メイドは急ぎジュリアンへ報告に走った。




「クラリスがいなくなった?」


「申し訳ございません。少し目を離した際に姿が見えなくなっていました」


メイドは頭を下げて謝罪するが、ジュリアンは彼女を責める事はしなかった。


「気にしなくていい。クラリスは何かわけがあって自ら宮廷を出たんだ。君に責任はない」


そうは言っても何の用があってどこにいったのか。

ジュリアンはクラリスが行きそうな場所を考えていた。

すると横からヴィクトワールが声を掛ける。


「あなたに会いに行こうとしてるんじゃないの?」


「僕に?」


「二度も命を狙われたんでしょ。自分がここに居ると迷惑がかかると考えていてもおかしくないよ」


「そんな事気にしなくていいのに。。」


「あなたはもう少し女心というものを理解した方がいいわね。気にするなと言われてもあの子の立場じゃ不安で仕方がないでしょう」


姉にそう言われてジュリアンは自らの額を叩いた。

迂闊だったと。

休ませるだけでなく、安心させてあげなければいけなかった。


「だとすると社交界に行った可能性が高いわね。急いで行った方がいいんじゃないの。今夜の社交界、ミレイユも出席しているって報告があったわよ。おそらくあなた目当てでしょうけど」


「それはまずい。。クラリスを探してくる」


ジュリアンはそう言って馬に乗り、走り去った。


「策士としての才能はあっても好きな人には策を弄せない。可愛いところがあるじゃない。ここからは策は一切なし。正面から受け止めてあげなきゃ」


☆☆☆


社交界の開かれている会場にクラリスはジュリアンの姿を探し歩いた。

途中で出会う貴族たちに挨拶されるが、今はそれどころじゃなかった。

心情を悪くしないように笑顔で会釈するのがやっとで、ジュリアンを探すのに懸命である。


「ジュリアン、どこ?」


しかし、その社交界にはジュリアン目当てでミレイユも来ていた。

2人は思わぬ場所で再会する事となってしまったのだ。


「ミレイユ?」


「クラリス。。どうしてこんな所に。いや、お前がこの国の次期王妃なら当然か」


いいところで会った。

ここでこいつに恥ずかし目を与えてジダルクでの評価を落とし込んでやる。

ミレイユは自らの出て直接邪魔者を排除するために声を上げる。


「紳士淑女の皆様。私はエルドラスト王国の正統王位継承王女ミレイユです。近頃ジュリアン王子が婚約された事は存じ上げていると思います」


貴族たちは怪訝な表情でミレイユを見る。


"なぜエルドラストの王女がこの場にいるの?"


"何かあったのか?"


会場がミレイユに注目する中、ミレイユは声のトーンをやや落として話し出す。


「そこにいるクラリスは本来なら私がジュリアンの婚約者だったのに姉の権利を行使して自分が婚約者として勝手に行ってしまったのです」


ミレイユはいかにも姉に逆らえなかった可哀想な妹を演じていた。


「嘘よ! あなたの身代わり私が行かされたんじゃない」


クラリスは思わず感情的になった。

いつもならミレイユ相手に感情を表に出す事はなかったのだが、社交界の場で大勢の前での嘘には我慢が出来なかった。

だが、この場で感情的になるのは得策ではなかった。


「私はエルドラスト王国の王位継承権を持つ王女。側室の娘であるクラリスには王位継承権がありません。どちらがジュリアン王子の婚約者として相応しいか皆様はおわかりになりましょう」


"側室の娘ですって。。"


"それなら正統王女のミレイユ様よね"


それを言われてしまうとクラリスにはあがなう術がなかった。


「姉は王位継承権がなかったので、ジュリアン王子と結婚したかったのです。始めは黙っていましたが、これを阻止しなければ両国にとって有益ではございませんわ。ですのでこの場をお借りして私が正式にジュリアン王子の婚約者だと発表させて頂きました」


"なんて図々しい。。"


"そんなに権力が欲しいのかしら?"


会場のあちこちからそんな声が聞こえてくる。

クラリスを見る目が軽蔑の眼差しに変わってくるのがはっきり感じ取れた。


「あなたはジュリアンが王位継承二位とわかって私を身代わりに。。」


そこまで言って言葉が止まってしまった。

この場でそんな事を言ったところで誰が信用するだろうか。

正統王女の肩書きにみんながうなづき出している。

もはや私の言う事など誰も聞く耳を持たない。。

これでクラリスの中で何かが折れてしまった。


〔悔しい。。悔しい悔しい。。〕


クラリスは思わずその場から走り去った。


「おほほほ。負けを認めて逃げたわね」


ミレイユは勝ち誇った表情で周囲を見渡す。

社交界の人々はこの時はミレイユがジュリアンの婚約者に改めてなるものだと見ていた。

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