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3 いじわると償い方

また更新が遅くなってしまい申し訳ありません。

目覚めると、もう昼過ぎだった。

嫌な夢を見たような気がするけれど、不思議なほどすっきりしている。


学園の保健室で寝ていたため、アンドレ先生にご挨拶して帰ろうとすると、ちょうどキアラがお迎えに来てくれたところだった。

ピョートル殿下が私のリュックサックとスビートをコテージに届けてくれ、ついでに私が早朝の散歩中に気分が悪くなったようだったので、学園の保健室で様子を見てもらっていると説明してくれたようだ。

ピョートル殿下は、何事も雑だったイヴァン殿下と違い、結構マメね。


昨日、私はスビートと一緒に、光の妖精たちを助けるためアルテリア学園の中庭にある王宮ダンジョンに行った。途中、ピョートル殿下も参加した。

光の妖精たちをいじめていたのは、トノリ・タハロフだった。

なにがやりたかったのかわからないけれど、トノリはダンジョンの3階層に闇の結界を展開し、結界に閉じ込められた光の妖精たちへ精神攻撃をかけていた。

私は、結界の中に飛び込んで光の妖精たちを逃がしていた。

私は無・無属性でダメージを受けにくい上、スビートが体力を全回復してくたし、ちゃんとご飯も食べていたけれど、長時間闇攻撃をされたため、精神的に病んでしまったみたい。

あの時は、自分の過去の悪行を思い出して、何度も何度も叫びたくなり、自責の念にかられて、もう私なんか生きていてはいけないとまで思った。そのまま私は倒れてしまったようだった。


冷静になれば、やってしまったことは取り返しがつかないのだから、自分を責めるよりも、被害者に償う方法を考えたり、もう同じことを繰り返さない方法を考えたりするべきだと思う。

ただ、そういった対応をしようと思うのは、罪悪感があり後悔しているからこそだし、後悔せずに被害者に償おうとしても、被害者は怒ってしまうだろう。


闇の攻撃は、罪悪感や後悔の念を増幅させるみたい。



考え事をしながらキアラとコテージに帰る道すがら、私はキアラに話しかけた。


「キアラ、いつもありがとう。

私、ドレスを着るのが面倒だとか、もっとゆったりした格好がしたいとか、文句ばかりでごめんなさい。

キアラがいつもきれいにしてくれるから、助かっているわ。


あと、私が、コテージに来たばかりのころ、キアラにいっぱい意地悪をしてしまって、ごめんなさい。

あの後、自分がよくないことをしたと気が付いたのに、今まで謝らないでいたことも、申し訳なかったと思っているわ」


そう、私は、親元から離されて王都に連れてこられたばかりのころ、意地の悪い気持ちから、かなえるのが難しいわがままばかり言ってキアラを困らせていた。

ダイが相手してくれたおかげで、いじわるするより楽しいことが見つかったから止めたけれど、本当は、もっと早くにちゃんと謝っておくべきだったのだ。


トノリの闇魔法のおかげで、ちゃんと思い出すことができてよかったと思う。


キアラは、少し笑っていた。


「お嬢様、確かにひどかったですよね。

真冬にスイカを食べたい、すぐ用意しなければクビだとか、今になれば笑い話ですけれど」


「ごめんなさい。反省しています。どうやれば、償えるかしら」


「ふふ、その後のお嬢様の成長を拝見させていただきましたから、もういいですよ。子供のやったことですし。

お嬢様は、当時、ご両親と離れてさみしかったのでしょうね。

私も、当時はまだ、そういった気持ちを配慮できませんでしたからね。


でも、実は、当時、クビになった時に備えて、学園の教師になろうかと思って準備していたのですよ」


「え、キアラに辞められたら困るわ」


「辞めませんよ。夫もオルローのタウンハウスで働いていますし。


私、学園で数学が得意だったので、学生時代、数学の教師になりたかったから」


その時、ダイから聞いた話を思い出した。


「エカテリーナ先生?」


「え、どうして知っているんですか!

学園では教師は身分を隠すために偽名でもOKと聞いて、いろいろ名前を妄想して、一番普通だという理由で決めた名前なのに」


「いえ、前にダイが言っていたような。ダイも小耳にはさんだのかしら」


「誰にも言っていないと思いますが、言ったのかしら。え、恥ずかしい」


キアラは納得してくれた。

確かに、キアラは色っぽくて、護衛もでき、コテージの経理を担当しているスーパー侍女長なので、SSRキャラクターでも納得ね!


コテージに着いた。

自室に戻り、また自分の過去の悪行を思い出す。


私は、ミトロヒナ嬢の悪口を言った。

確かに、ミトロヒナ嬢にも悪いところがあったと思うけれど、でも私のやったこともひどい。

ただ、謝罪すると、ミトロヒナ嬢は私が彼女に与えた攻撃以上に強く反撃することが分かり切っているから、自分の身を守るためには謝罪するという選択肢は取れない。

どうしよう。


あーあ、意地悪は、やろうと思ってやるものではなくて、ついやってしまうものなのだと思う。私が悪役令嬢だからかしら。


でも、前世でも結構ひどいいじめがあった。

どうして、普通の人が他人をいじめてしまうのかしら。そして、どうやれば償えるのかしら。


ぼんやり考えるけれど、結論は出ない。


そのうち、闇魔法からピョートル殿下が救ってくれたことを思い出した。


そういえば、ピョートル殿下は私にも光のスキルを使ってくださったようだ。

結界の中で、いきなり頬を触られたときは、何か変なことをされるのではないかと警戒してしまったけれど、殿下は光のスキルを使ってくれただけだった。

おかげで心のモヤモヤがすっきりしたわ。


そして、トノリを結界から引きずり出した後、殿下は、私にまた光のスキルを使ってくださった。


思い出して、いきなり赤面してしまった。

殿下は、お疲れだったため、スキルを使う時、私を抱え込んだ。

殿下は大人だし先生だから、その程度の生徒とのスキンシップも慣れているのかもしれないけれど、私は免疫がないのだ。


整った顔立ちだけどなんだか地味だの、不憫なハンサムだの、結構ひどいことを勝手に思っていたけれど、やはりハンサムに力強く抱きしめられるとどきどきする。

光のスキルの効果だと思うけれど、辛い気持ちが消え、暖かさを感じて、気持よかったし。


その後、私は地面に落ちていたジャケットを殿下にかけ、殿下が目を覚ますまで休憩しようと思ってスビートと毛布にくるまっているうちに、眠ってしまったみたい。

多分、眠りこけている私を保健室まで運んでくださったのもピョートル殿下だろう。

殿下は紳士だから何も言わないだろうけれど、心の中では、地べたで寝るなんて令嬢にあるまじきお転婆だと思われていそう。


ああ、ダメダメ、別にピョートル殿下に何と思われようと関係ないわ。


それよりも、このパーティでダンジョンに行ったことをダイが聞いたら、なんて言うかしら。

URキャラ縛りとか言って悶絶していそう。ダイに言うの、すごく楽しみだわ。


ぽわぽわしていると、スビートが言った。


「ライラ、さっきから百面相してる」


「ねえ、スビート、昨日の冒険、結構面白かったわね。

ダイに自慢してやろうかしら。きっと悔しがるわよ」


「ライラ、ライラは、ほんと助けがいないよね」


スビートは、呆れた顔をして自分の背中をなめるところんと転がった。


「あーん、スビートが回復してくれたことに感謝してるわ。ほんとよ」


「うん、ええっと、そうじゃなく……、ま、いっか」



コテージにいる使用人は、皆さん強いみたいですね。


2022.11.03 微修正しました。

キアラが退職後に変身していたのは、エカテリーナ先生、SSRキャラクターです。後は文章とか、多少。

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