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2 ゲームを紹介します

やっとゲームの話が始まりました。

目が覚めると、なじみのある自室にいた。


まだ、夜は明けていない。


そっと起き上がると、部屋の奥にあるウオークインクローゼットに入り、魔石ランプを灯して、鏡を覗き込んだ。


銀色の髪と紫の目、なめらかな白い肌とピンクの唇、いつもの私の姿が映っている。少しほっとする。


なんだかやけにリアルな夢だったわ、と夢のことを思い出していると、ふと、自分の中に、夢の女の記憶があることに気が付いた。


正確には、女の名前や家族のことはわからない。


ただスマホという小さな板の中で繰り広げられていた絵物語のことははっきりと覚えている。


『アルテリア戦記』、略して『アル戦(アルいくさ)』という絵物語(ゲーム)だ。


アル戦というゲームは、一言でいうと、恋愛ゲームの要素がある育成型シミュレーションゲームだ。


キャラクターを集めて育成し、4人パーティを組んで、ターン制のミッションをクリアし、10ミッションごとに中ボスが出てくる。


1000ミッション終了後に出てくるラスボスを倒すと攻略成功となる。


このほか、スタジアムといって、プレイヤーたちが自分のパーティをお互い戦わせる機能もあった。


キャラクターは、私の知っている時点で100人ぐらいいたと思う。


それぞれ、Nノーマルから、Rレア)HRハイパーレア)SRスーパーレアSSRスペシャルスーパーレアURウルトラレアARアルティメットレアのランクがつけられている。


ランクが高いほどキャラクターは入手しにくく、初期ステータスが高い上にいいスキルを覚える。


キャラクターは、覚醒することで、より使いでのあるスキルを取得できる。


また、同じキャラクターを複数体集めて強化すると、ステータスやランクを上げたりできる。


基本、キャラクターはガチャを回して集めるのだけれど、それ以外に主人公が通う学園で発生するサブミッションを受けたキャラクターは、ガチャなしで集めることができる。


あと、キャラクターの好感度を上げて、キャラクターごとのサブミッションを進めて強化したり、覚醒させたりすることができる。


つまり、好感度という恋愛ゲーム的な要素があるのだ。


もちろん、好感度上げをせずに、パーティメンバーをガチャで出てきたキャラクターで固め、主人公とメンバーとが友人関係のままゲームを進め、パーティで学園の授業で発生するミニゲームをやったり、ミッションをクリアしてコツコツと強化しても、攻略成功することはできる。


しかし、ガチャで出てくるのはほとんどモブキャラ、つまりNからHRぐらいで、SRですらめったに出ない。


こういったモブキャラの育成は大変なうえ、ランク上げの制限がある。


つまり時間も手間もかかる上、難しい。


また、ガチャでSSRを出すには、重課金か、めちゃくちゃな強運が必要らしい。


URやARなんて、夢のまた夢、私は運が良ければガチャでそのうち出るだろうとしか考えておらず、最初から攻略情報の調査もしていないほどだった。


だから、ガチャで高ランクのキャラを入手する方法も難しい。


一方、攻略対象者は、SRからURの高ランクキャラで、好感度を上げると確実にスカウトできるし、もっと好感度を上げて告白されると、そのキャラとのサブミッションが発生してお得な報酬がもらえる。


さらに告白にOKすると覚醒して特別なスキルも獲得できる。


つまりクリアがすごく楽になるのだ。


この方法だと、告白にOKすると他の恋愛エンドに進みそうな攻略対象者のサブミッションでバットエンドが発生し、パーティメンバーにできなくなるのだが、告白されてもすぐに返事をしないでおけば、他の攻略対象者もパーティメンバーにできる上、好感度も上がる。


告白への返事は、卒業式にはしなくてはならないが、学園の授業とミッションは同時並行で進めることができるから、学園の時間軸を卒業式前から進めずにミッションだけやればいい。


特定のメンバーとミッションを進めることで始まるサブミッションもあるので、そうなっても恋愛ゲーム要素は十分楽しめる。


つまり、攻略対象者たちの逆ハーレムを作るのが一番楽な攻略方法だと言われており、私もその方法でゲームを進めていた。


さらにネット情報だから本当かどうかわからないけれど、誰の告白にも返事をせずに逆ハーレムを続けていると、URのシークレットキャラをパーティメンバーにできるらしい。


このシークレットキャラは、まさにチートな強さで、このキャラのレベルを上げておくだけで一気にクリアできたという攻略情報を見たことがある。


このように、恋愛ゲームに力を入れれば、ミッションを楽にこなすことができるし、恋愛ゲームが面倒な人は重課金してガチャを回すか、育成に時間をかければクリアできる。


楽しみ方がいろいろあってゲームバランスが絶妙だった上、主人公の性別や伸ばしたいスキルの方向性を選べて対象層が広いので、アル戦は結構流行っていたと思う。


前世の私もはまり、ブラックな仕事を終えて家に帰るとゲーム、たまにある休日は布団に寝転んだまま一日中ゲームと自堕落に生活していた記憶がある。


結局、途中からミッションが難しくなって、私は最終ミッションにたどり着けなかったのだけれど。





ゲームのメインストーリー紹介は、たしか、このような感じだった。

『平和な国アルテリア、しかし、隣国ディアスに不穏な動きがあり、平和が脅かされていた。

そんな中、平民である主人公が聖なるスキルを持っていると判明し、男爵家の養子になってエリート学生が集う王立学園に進学する。

主人公は学園で知り合った友人や恋人と一緒に、ディアスのたくらみを見破って戦い、アルテリアを救う』


そして、私、ライラ=オルロヴァ公爵令嬢はアル戦の悪役令嬢、主人公、主にヒロインが第三王子イワンの攻略を進めた場合の当て馬だった。


ライラは、第三王子イワンと生まれた時から婚約していて、イワンとヒロインの仲のよさに嫉妬し、ヒロインをいじめて悪口を言いふらした。


そして卒業パーティで断罪されて絞首刑になり、ついでにオルロー公爵家も没落したのではなかったかしら。




そこまで思い出して、私は、心臓を冷たい手でつかまれたような気持になった。


のどが締め付けられるように苦しい。


ネット小説では、悪役令嬢は断罪を回避するため、攻略対象と仲良くなったり、ヒロインとの接触を避けたり、なんなら内政チートで実力をつけたりする。


けれど、私はその手は使えない。


おそらく、現在の状況からすれば、ミトロヒナ嬢が主人公だろう。


そして、私は、ミトロヒナ嬢の悪口を広めているからだ。


2022.07.09 読みにくい箇所と改行を修正しました。

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