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1 戦闘力以外の力

本日、更新が遅くなり、すいません。


あと、昼頃、人物紹介をアップしています。

ダイは、おじいさまの命令を受け、森の貴婦人ことエンシェントドラゴンに、水星の杖をお借りしたお礼を言いに行った。

ばあさんにこき使われそう、とダイは言っていた。


がんばってね!



今日は闘技大会だ。私もがんばろう。


おじいさまと一緒に学園に行く。

馬車の中で、おじいさまが、被害者たちの派閥のトップと会った話を少し聞かせてくださった。

そのトップは、ある問題をめぐり現在おじいさまと対立しているらしいのだが、今後、一緒に食事をすることになったそうだ。


「奴は、ライラにとても感謝していたよ。まあ、悪いことがあればいいこともあるさ」

おじいさまは、とても楽しそうに言った。


おじいさまは、困難なことに取り組まれる時が最高に楽しいとおっしゃるような方だから、まあ、すべてが丸く収まったわけではないようだけれど、解決に向けて何らかの手ごたえを感じているようだ。

ありがたいことだと思う。


闘技会館に着いた。

真ん中に闘技場があり、周りを観客席が取り囲んでいる。

ゲームではスタジアム機能の会場になっていたところと全く同じだ。ちょっと感動した。


おじいさまは、保護者観覧席のほうに行くと、席に座っていたアローラ公爵にあいさつした。

アローラ公爵は、司法卿を務めており、ケイトリン様のお父様だ。


おじいさまは、奥に設置された簡易な日よけテントのほうに移動した。

テントは、オルロー家の事務官が設置したようだ。

芝生の上に赤いじゅうたんが敷かれ、椅子が3つ、サイドテーブルには飲み物が用意されている。


おじいさまは、椅子に座ると、アローラ公爵に一緒に観覧しないかと誘ったが断わられたとおっしゃった。

「やつは司法卿だけあって、堅物だからな」


私がおじいさまの横に立っていると、知らない男性がいらっしゃった。

おじいさまが椅子を勧め、男性はそれに応じた。

さらに、リタのお父様であるジュコフス伯爵がおじいさまの後ろに立ち、男性の後ろにも警備担当者らしき男性が立った。


「かわいいライラ、健闘を祈っているよ」

おじいさまが明るくおっしゃったので、私は出場者控室に向かう。


控室には、リタやケイトリン様、トーニャちゃんがもうお見えになっていたので、おしゃべりしながら準備運動をした。


闘技大会は8つのグループの1位、2位になったパーティがトーナメント方式で戦う。


第1試合はナザール様と生徒会書記の8年生パーティがあっさりと勝利した。

ナザール様のスキル【円滑行政】は、自分も含めた対象者のスピードを上げ、また打撃のクリティカル率を上げるバフ効果があるようだ。

ナザール様達は、準々決勝もあっさりと勝利した。


私達のパーティはCグループ第1位だったため、第3試合だ。

とはいえ、やはりリタはスキルを一切使うことなく、剣技だけで相手パーティを戦闘不能にした。準々決勝もそんな感じで、私が役に立つことは一切なかった。

リタが優秀すぎて、鼻が高いわ。


第4試合は、トノリ・タハロフ様とミトロヒナ嬢のパーティが出ていた。

彼らは、Dグループを1位通過したようだ。

試合は、トノリ様が無詠唱で放った闇魔法を相手チームが盾スキルで防ぎ、もう一人が魔法スキルでトノリ様とミトロヒナ嬢を気絶させて戦闘不能にし、相手パーティが勝利した。


トニアちゃんの情報によれば、どうも予選会では、ミトロヒナ嬢が最初の試合で「私を害するなんて、差別よ」と叫んだため、試合外で報復されることを恐れた相手のパーティが次々棄権したらしい。

さすがに衆人環視の闘技大会では通じない戦い方だったようね。


ちなみに、スキル実技の点数は、戦った場合にしか入らないから、ミトロヒナ嬢のパーティは決勝トーナメントまで進んでいるが、2回分しか点数が入っていないそうだ。

トーニャちゃん、そんな情報、どこで調べてきたのかしら。



イヴァン殿下とボリス・サハロフ様は第6試合だったが、相手パーティが棄権した。

Fグループの予選会での彼らの戦い方が学生たちに知れ渡ってしまったようだ。

このことは、オルロー家の家宝の噂が広まっている可能性を示す事実でもある。困ったわね。


彼らは準々決勝では、筋肉ムキムキの9年生パーティと対決した。

9年生パーティは、二人がかりでボリス様に殴りかかり場外に投げ飛ばして戦闘不能にした上で、イヴァン殿下に向かった。

相手チームの一人にイヴァン殿下の拳があたり【雷】スキルの電撃を受けたようだが、もう一人がイヴァン殿下を殴り飛ばすと、審判が勝利宣言をする前に叫んだ。


「棄権します!」



観衆が驚いている中、相手チームの人は理由を述べた。

「今、私のスキルを使いましたが、イヴァン殿下には何らダメージを与えることができなかったようです。

私ごとき末端の貴族の拳では、到底太刀打ちできないようですので、棄権させていただきます!」



審判の先生はぼそぼそと言った。

「……勝者、イヴァン、ボリス・サハロフ」


相手チームは、さっさと荷物をまとめ、引き揚げて行った。


イヴァン殿下とボリス様は、何とも言えない表情で控室に戻って来た。

おそらく、素直に喜んでいいのか、わからなかったのだろう。


だが、ミトロヒナ嬢が大喜びで出迎えたためか、彼らも笑い始め、「たいしたことなかった」、「ボリスはもう少し修行しなくてはな」などと言う声が聞こえてきた。




愚かなことだ。


おそらく、相手チームは、イヴァン殿下がダメージ低減の高性能アイテムを使っていることを皮肉って「我々ごとき末端貴族では太刀打ちできない」と言ったのだろう。


闘技大会のルールに照らせば、アイテム使用は違反行為ではない。

だから、富や権力を使えば、自分たちの戦闘力が低くても勝つことができる。


だが、あまりにも戦闘力以外の力を濫用すれば、だれも本気で相手にしてくれなくなる。



イヴァン殿下たちは、長い目で見れば、試合に勝って勝負に負けたのではないだろうか。

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